第41章 地獄挽歌②過往
天魔歸來地獄挽歌②過往
過去
……深淵の獄
——深淵之獄
術陣が発動した後、小白、晴明、阿修羅、迦樓羅の四人は、他の人達とはぐれてしまった。
在陣法發動後,小白、晴明、阿修羅、迦樓羅四人,與其他人失散。
【小白】
「術陣が発動してわずか一瞬で、酒吞童子様や源頼光様達が消えてしまいました!」
陣法一發動,只是一眨眼間,酒吞童子大人他們,還有源賴光大人他們,突然就都不見了!
【晴明】
「実に手の込んだ術陣だ。機會があれば、ぜひこの陣を作った者と手合わせしたいものだ。」
實在是相當玄妙的陣法,如果有機會,真想與布陣之人好好切磋一番。
【小白】
「セイメイ様、これ以上この陣を褒めるのと、危険なことを口にするのはやめてください…小白は絶対、セイメイ様に帝釈天様と手合わせなんかさせませんから!」
晴明大人請您不要再誇贊陣法,也不要再說這種危險的事情了……小白是絕對不會讓您去和帝釋天大人切磋的!
【阿修羅】
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「陣の輪廻が既に始まっている。輪廻が終わるまでに六つの「眼」を壊さなければ。迦樓羅、皆に地図を配れ。皆がここに殘った以上、俺と共に地獄道の眼へ向かってくれ。」
陣法的輪回已經開始,我們必須趕在輪回結束前破壞六處陣眼。迦樓羅,把地圖拿出來分給他們,既然走運留了下來,就即刻随我前往地獄道陣眼。
【迦樓羅】
「はっ!」
是!
【小白】
「阿修羅様は人に有無を言わせない、嵐のような方ですね…そういえば、迦樓羅様はどんな経緯で阿修羅様に仕えるようになったんですか?幻境の中では、迦樓羅様が阿修羅様に片腕を切り落とされ、真っ二つになったところまでしか見えませんでした…」
阿修羅大人還真是雷厲風行絲毫不給人插話機會……話又說回來,迦樓羅大人是怎麽會跟着阿修羅大人的?小白在幻境裏就只看到迦樓羅大人被阿修羅大人砍掉了一只手,還劈成了兩半……
【迦樓羅】
「口うるさい狐だな。」
你這小白狐貍話怎麽這麽多。
【小白】
「小白は狐では…あれ?言われてすぐに言い方を直してくれたのは、迦樓羅様が初めてです。ご自身の羽が大事なんですね。」
小白是狐貍不是……咦!迦樓羅大人還是第一個經我糾正就改口的,看來迦樓羅大人真的很愛惜自己的羽毛。
【迦樓羅】
「ふん。翼族として、羽を大事にするのは當然のことだろう。そして阿修羅様に仕えることになったのも、突き詰めれば、羽を大切にしているからだ。」
哼,身為翼族,愛惜羽毛不是當然的嗎。要說我為什麽會跟着阿修羅大人,歸根結底,還是我愛惜羽毛啊。
……數百年前、善見城の監獄
——數百年前,善見城監獄
【迦樓羅】
「ふん、一回勝ったからって思い上がるな。この迦樓羅が生きている限り、翼族は何度でも立ち直ってみせる!」
哼,贏了我一場又如何,只要有我迦樓羅在,翼族無論多少次都能東山再起!
【雷公鬼】
「迦樓羅様、これからどうすれば良いでしょうか。」
大人,我們現在該怎麽辦?
【迦樓羅】
「安心しろ。翼団はでしゃばりすぎている。破城するなりすぐ手柄を橫取りしようとする光明天を見てみろ。そのうち阿修羅の運も盡きるだろう。私が手を出すまでもない。十天衆が翼団を潰すだろう。それより、脫出用の地下通路はどうなっている?」
放心好了,翼之團功高震主,看那光明天見城破就趕來搶功的樣子,阿修羅的好日子馬上就要到頭了。根本不需要我迦樓羅出手,十天衆自然會讓那翼之團分崩離析。出逃的地道挖得如何了?
【雷公鬼】
「今夜行けます。」
今晚就能走。
【迦樓羅】
「よし。仲間たちに知らせろ、今夜逃げるぞ。」
好,通知弟兄們,趁夜色随我出逃。
……その夜
——當夜
【牢獄衛兵】
「全員起きろ!新王が即位した。お前達の判決も下された。全員深淵に追放だ!」
都給我起來!新王登基了,你們這些罪人的判決已經下來了,全都流放去深淵!
【迦樓羅】
「新王だと?何だ、阿修羅が我慢できずに、帝釈天を殺めて自ら王になったのか?」
新王?怎麽,是阿修羅終于耐不住性子殺了帝釋天,自己稱王稱帝了?
【牢獄衛兵】
「黙れ!この罪人め、反亂軍の首領阿修羅なら、とうに新王である帝釈天様に処刑された!お前らがまだ生きているのは、ひとえに帝釈天様の禦慈悲のおかげだ。さあ、さっさと起きて、深淵に行け!」
住口!你這大罪人,新王帝釋天大人早已手刃叛軍首領阿修羅!你們能活到現在,全是陛下仁慈,都給我起來,現在就去深淵流放地!
【迦樓羅】
「なに?!」
什麽?!
【雷公鬼】
「迦樓羅様、どうすれば?」
大人,這可如何是好?
【迦樓羅】
「慌てるな。地下通路は使えなくなったが、彼らに従って外に行くのも同じことだ。外に出たら、隙を見て逃げれば良い。」
別慌神,地道用不上了,跟他們出去也是一樣,到了外面,見機就逃。
しかし道中の警備は想像以上に厳重だった。逃げる隙を見つけられず、迦樓羅と鬼族は深淵の獄まで送られてしまった。
然而押送一行戒備森嚴,根本找不到逃跑的破綻,迦樓羅與鬼族被一路押送到了深淵之獄。
【迦樓羅】
「卑怯な天人め。深い傷を負っていた一族が、収監された時に既にたくさん死んだ。追放することになっても、こんな忌々しい檻に入れて、我々の翼を封印する。なぜ我々翼族をこうも辱めるのか!」
卑鄙的天人,我一族原本就都受了重傷,關押時已經有許多死在牢裏。如今要流放,竟然還用如此歹毒的牢籠來關押,将我們的羽翼都封印在籠中。這樣折辱我等翼族,是何居心!
【牢獄衛兵】
「忌々しい檻だと?確かに頑丈な檻だが、お前達のために作ったものじゃない。今回護送しているのは反亂軍翼団の連中だ。頭領だった阿修羅もいる。この檻はやつのために考案されたものだ。阿修羅が脫獄しないように、見張りを強化し、絶対に隙をつかれるなと命じられたからな。お前達のような禿烏はそのついでに過ぎん。」
歹毒的牢籠?你這籠子确實是結實,不過只是順帶給你們一用罷了。這一行押送的是叛軍翼之團的罪人,更有前首領叛将阿修羅,這牢籠原本就是為他量身定做。上面交代了,為防阿修羅越獄,一路必須嚴加防守,絕不能讓阿修羅有可乘之機。至于你們這幾只禿毛烏鴉,不過是順路罷了。
【迦樓羅】
「何だと?!阿修羅も流刑になったのか?」
什麽?!阿修羅也被流放到了這裏?
【牢獄衛兵】
「檻を開けろ。全員、深淵に放り込め!」
開籠,都丢下深淵去!
【迦樓羅】
「うわああああ!!」
嗚啊啊啊啊啊!
深淵に入れられた後、その並々ならぬ力のおかげで、迦樓羅は殘った部下を率いてなんとか生き殘った。
進入深淵之獄後,迦樓羅因實力上佳,率領殘部得過且過了一陣子。
【迦樓羅】
「策士策に溺れるといったところか。阿修羅は殘虐無類なやつだと思っていたら、まさか帝釈天にこんな日の當たらぬ場所に閉じ込められるとは。実に狡猾極まりない奴だ。」
千算萬算,時機沒算準。原以為那阿修羅是暴戾之人,沒想到那帝釋天才是真的狡詐,将我迦樓羅困在這暗無天日的地方。
【金翅鳥】
「迦樓羅様、これからどうすれば良いでしょうか?」
迦樓羅大人,我們現在又該怎麽辦才好?
【迦樓羅】
「我々は翼の一族、檻になど閉じ込められてたまるものか!頑丈なやつを何人か呼んでこい。今夜上の入り口を調べるんだ。」
我們是翼族,又豈能做籠中之鳥!召集幾個身強力壯的,今夜随我去上面的入口,一探究竟。
夜になると、迦樓羅は金翅烏を何名か率いて、深淵の入り口を調べた。
夜晚,迦樓羅率領幾名金翅烏來到深淵入口調查。
【迦樓羅】
「入口にもこんなに強力な結界が張られている。崖の上には砦や詰め所があり、深淵から脫しようとする者は全員殺される。正面突破では、かなり難しいだろう。」
沒想到這入口也設下了如此強力的結界。崖上還有要塞和哨卡,擊殺逃出深淵的人,想要直接突破出去,恐怕并不容易。
【金翅鳥】
「我々は一生ここに閉じ込められることになるのでしょうか?」
難道我們就要永遠被關在這地方了嗎?
【雷公鬼】
「実に悔しい。龍巣城は迦樓羅様が私共を率いて、様々な苦労をなめ盡くして建てたものです。なのにあの天人どもに奪われ、我々がこんなところで囚われの身になってしまった!」
是啊,龍巢城是您帶我們辛辛苦苦建立起來的,卻被那群天人奪去,還将我們關在這裏!
【迦樓羅】
「もちろんこのまま諦めるつもりはない。お前らは南の方を調べてこい。殘りのやつは俺と共に北へ向かい、地形を探るんだ。砦にできそうな高臺や、使えそうな鉱石も探せ。」
我們當然不能坐以待斃。你們幾個往南,剩下随我往北,摸清這深淵地形,看看可有什麽有利的高地,可用的礦藏。
金翅鳥は空から見下ろすことで、すぐに深淵の獄の構造を把握することができた。
金翅烏利用飛行優勢,很快就将深淵之獄的構造探尋清楚。
【金翅鳥】
「迦樓羅様、深淵の獄では六箇所に大変強力な結界が張られていて、近づけませんでした。南の岩壁に枯れた木の根があり、薪として使えそうです。南西の方角には、火薬の材料にできる硝石、硫黃がたくさんありました。」
大人,我等已經探明,在深淵之獄中,這六個地方設有強力的結界,我等難以靠近。南側峭壁中上處多枯木根,可以用來燃燒生火。而西南角處的地貌,容易找到硝石、硫磺,可以制作火藥。
【雷公鬼】
「迦樓羅様、深淵の底で阿修羅を監禁している結界を見つけました。彼は封印に拘束され身動きできませんが、霊神體が深淵の中の霊力を吸収し、ますます力が強くなっています。この辺りの魔神は皆狩りをやめ、阿修羅の觸手を糧にしています! 」
大人,我等還在深淵最底部找到了關押阿修羅的結界。那阿修羅被困在封印中無法動彈,但靈神體不斷吸取這深淵中的靈力,力量反被養得用之不竭。這一帶的魔神根本不屑狩獵,是以他的觸手為食的!
【迦樓羅】
「ふん!それは好都合だ。すぐに俺を阿修羅のところへ連れて行け。そして硝石と硫黃を採掘するよう一族の者に伝えてこい。掘り出した物は全部火薬にして、彼の近くに隠すんだ。彼がいれば、毎日魔神を相手にする手間も省ける。」
呵!那正好,你們這就随我搬去阿修羅結界一帶。再命族人輪流去挖取硝石和硫磺,取來後制成火藥,就藏在他隔壁。有他在,也省得我們天天和那些魔神周旋。
砦を阿修羅の封印の近くに設置した後、迦樓羅はかつて自分を倒した阿修羅と再會した。結界の中には、阿修羅に殺された魔神の殘骸があちこちに散らばっている。ただ靜かに座っている阿修羅とは対照的に、複數の觸手が立て続けに周囲の封印に攻撃を仕掛けている。
将巢穴搬去阿修羅封印附近後,迦樓羅再度見到了曾經擊敗自己的阿修羅。結界內遍地都是被阿修羅殺死的魔神屍骸,而阿修羅只是坐着,唯獨觸手在不斷攻擊着四周的封印。
【迦樓羅】
「おい、阿修羅!俺のこと、覚えてるか?俺に勝ったお前はこうして檻の中、お前に負けた俺は外を自由に動き回っている。世の中何が起こるかわからないもんだな。」
喂,阿修羅!還記得我嗎?我這手下敗将好好地站在外面活蹦亂跳,你本是勝者,反倒被五花大綁鎖在籠子裏。真是人算不如天算,你說是不是?
屍の上に鎮座し目を閉じている阿修羅は、迦樓羅の挑発にも全く反応しない。
阿修羅坐在屍骨上閉目養神,絲毫不理會迦樓羅的挑釁。
【迦樓羅】
「俺の読みどおりだ。十天衆は必ず翼団に手を出すと思っていた。お前と帝釈天が仲違いするよう仕向けるだろうし、それで二人が敵同士に変わり、決裂する。しかし、まさかお前が帝釈天に、あの偽善者に負けるとは、実に情けない。天人一族は卑劣で偽善者ばかり、貴族はなおさらだ。あの時龍巣城で何度もやつを殺そうと試みたが、お前が邪魔に入って計畫は破綻した。あの日俺が成功していたら、今頃俺達は友人として、共に炎に呑まれる善見城を見物していたかもしれん。」
看看我算得多準,我算中了十天衆會對翼之團出手。算中了他們肯定會挑撥你和帝釋天的關系,也算中了你們兩個肯定會反目成仇,一拍兩散。不過真是沒想到,你竟然這麽不争氣,輸給了帝釋天那個僞君子。天人一族卑劣僞善,貴族尤甚。當年在龍巢城我數次要殺他,你卻幾次三番攔在我面前,真枉我迦樓羅因為他敗在你手裏。要是當日我得手了,興許今日你我還能坐下來當朋友,一起放火燒燒善見城。
阿修羅は一人で話し続ける迦樓羅を無視した。ようやく気力を十分に蓄えたのか、觸手で結界の天辺の封印を攻撃し始めた。
阿修羅無視了迦樓羅的喋喋不休。他似乎終于養精蓄銳夠了,開始以觸手重擊位于牢籠頂端的封印。
【迦樓羅】
「ふん、つまらんやつだな。この期に及んでまだ諦めないのか。」
哼,沒意思的家夥,都到了這會還在做無用功。
阿修羅の觸手が結界の外に伸びるたびに、待ち構えていた魔神達がすぐに噛みつく。觸手に貫通されても放さない。それでも阿修羅は諦めずに、結界の封印を攻撃し続けた。阿修羅の不幸を見て喜んでいた迦樓羅だが、阿修羅の力を吸収したせいで體內から□□を散り裂かれた時のことを思い出すと、思わず慄いた。
每當阿修羅的觸手伸出結界,周圍的魔神們就上去啃食,被觸手貫穿也不肯放棄離開。即使如此,阿修羅也仍舊不放棄,锲而不舍地攻擊着結界封印。迦樓羅看他落難幸災樂禍,但想起自己曾因吸收阿修羅的力量而肉身炸裂,不禁恐懼起來。
【迦樓羅】
「皆に知らせろ。俺の率いる鬼族は、餓死しそうでもこいつの霊神體だけは喰うな。違反する者は魔神の餌にする。あんな物を喰ってしまったら、腹を壊すだけでは済まない。」
傳我的令,但凡是我麾下的鬼族,就是餓死也不許吃那家夥的靈神體,違者直接趕出去喂魔神。吃那東西,也不怕吃壞肚子。
數ヶ月後、迦樓羅の殘りの部下は大量の火薬を用意した。
數月後,迦樓羅麾下的殘部們終于制造了大量火藥。
【迦樓羅】
「時が來た。今夜こそ岩壁に爆発で穴を開け、深淵の獄から出て行こう。」
是時候放手一搏,今晚随我炸開峭壁,我們一并逃出這深淵之獄。
【雷公鬼】
「はっ!」
是!
ちょうどその時、阿修羅の結界の方から天地を揺るがすほどの轟音が聞こえた。結界の封印が破壊されただけでなく、近くに貯蔵されていた火薬まで點火されてしまった。爆発の連鎖の後、阿修羅を拘束していた鎖の牢が木っ端微塵になった。目の前の出來事に、迦樓羅と金翅鳥一族はあっけにとられた。
就在這時,阿修羅的結界處突然爆發出一陣驚天動地的巨響。結界封印被炸毀,連帶着貯存在不遠處的大量火藥也被波及點燃。一通爆炸後炸碎了鎖住阿修羅的鎖鏈牢籠,一切都化為烏有。迦樓羅和金翅烏一族不由得被眼前的突變驚得目瞪口呆。
【迦樓羅】
「お前達……ここを動くな。俺が様子を見てくる。」
你們……別慌,我下去看看。
爆発後の赤い霧の中を降りた迦樓羅は、阿修羅が結界から出てくる瞬間に遭遇した。
在爆炸後的血霧之中,降落的迦樓羅正好撞見了阿修羅走出結界的一幕。
【魔神】
「た…頼む…命だけは助けてくれ!」
求、求您饒了我……放我一命吧!
【阿修羅】
「ふっ、體が歪み、正気もとっくに失っている。それでも生きていると言えるのか。俺の手で解脫させてもらえるんだ、ありがたく思え。」
呵,身形扭曲本心也早已迷失,你也算活着嗎?我親手送你解脫,你應當高興才是。
【魔神】
「うわああああ!」
嗚啊啊啊啊啊啊!
阿修羅の霊神體を飲み込んだ魔神の口から真っ赤な觸手が飛び出して、腹を引き裂き、魔神は血水と化した。阿修羅はそのまま、血の華が咲き亂れる殺戮の饗宴を始めた。
那些吞食了阿修羅靈神體的魔神們口中沖出猩紅的觸手,開膛破肚後,在地上化為一灘血水。阿修羅直接開啓了一場血腥無比的屠殺盛宴。
【迦樓羅】
「結界の外から封印を破るために、己の霊神體を砕き、わざと魔神どもに霊神體を喰わせたわけか!己の體を八つ裂きにする人間と変わらない。こいつ、気が狂ってる!狂人には話が通じない。阿修羅は再び自由になった……早く逃げねば!」
這家夥竟是故意讓魔神吞食他的靈神體,只為了使自己的靈神體破碎,離開結界,從而打破封印!這無異于凡人将自己的肉身大卸八塊,這家夥真是瘋了!跟瘋子是沒有道理可言的,阿修羅重獲自由……我再不逃就晚了!
【阿修羅】
「そこにいるのは誰だ。」
誰在那裏。
【迦樓羅】
「……し、しまった……」
……糟、糟了……
迦樓羅はすぐさま石柱の陰に隠れ、黒い翼で體を覆い、陰影に紛れて逃げようとした。しかし阿修羅に見つかってしまい、觸手に引っ張り出された。
迦樓羅立刻閃到石柱後,用黑翼罩住身體,想要藏在陰影中溜走。卻還是被阿修羅發現,被觸手纏住一把提起。
【阿修羅】
「おお、お前か。昔から弱者をいじめ、不利になったらすぐ逃げる卑怯者だった。少しも変わらないな。金翅鳥一族と天域の外れで長年悪事を働き、數え切れないほどの女子供を深淵に放り込み、魔神の餌した。そんなお前がここに入れられてしまった。魔神からかろうじて生き延びる生活はどうだ?」
哦,是你。你倒一點沒變,當年就是個只挑弱者下手,見勢不好就逃的小人。你與金翅烏一族在天域邊境為非作歹多年,被你丢進這深淵飼喂魔神的女人和孩子多不勝數。如今你也落進這地方,只能在魔神手裏讨生活的滋味如何?
【迦樓羅】
「その言葉、そのまま返してやる。貓かぶりの天人どもに手助けし妖鬼と戦ったあげく、戦争が終わるなりすぐここに蹴り落とされた!そして俺達のような、お前が軽蔑していた妖鬼と一緒にいるしかない。貴族と和睦したお前は、帝釈天に裏切られた。いい気味……」
這話我原封不動地還給你,幫助虛僞的天人一族對抗妖鬼,事成後卻被人一腳踢開!如今只能跟我們這些你曾經不屑的妖鬼為伍。與貴族稱兄道弟,果然被那帝釋天背後捅刀,這報應怎——
話を遮るように、阿修羅が迦樓羅の翼を掴んで力強く引っ張り、結界の爆発でできた大きな穴に強く叩きつけた。立ち上がろうとすると、一対の翼が二本の觸手に刺され、地面に固定された。
話音未落,迦樓羅被阿修羅扯着翅膀重重擊飛,接着被砸進結界炸碎後留下的巨坑中。剛想爬起來,一雙翅膀就被兩條觸手貫穿,釘在了地裏。
【迦樓羅】
「殺したいならさっさと殺せ、俺の翼と羽根を折るな!」
你這家夥要殺就殺,別拆我的翅膀和羽毛!
すると、もう一対の翼まで觸手に釘付けされてしまった。
緊接着另外一雙翅膀也被兩條觸手貫穿在地。
【迦樓羅】
「うわああああ!!冗談が通じないようだな、もっと言ってやる!俺は生きるために、數回魔神に貢物をしただけで悪鬼と呼ばれた。それなのに、深淵の魔神の生みの親たる帝釈天は、新王として君臨した!阿修羅よ、この迦樓羅こそ、権力者に反旗を掲げ下剋上する第一人者だ!城を攻略し王座を盜むのもこの俺だ!十天衆を殺し、天域の王になる。天人の手を借り、貴族と組むなど言語道斷!阿修羅よ、お前は負けて當然だ!」
嗚啊啊啊啊啊啊!!你是不是玩不起,我偏要說!我迦樓羅不過奉養一二魔神保平安罷了,就被人罵作惡鬼!那帝釋天養出這深淵之獄成千上萬魔神,卻被奉為新王!阿修羅,要說舉旗造反驅逐權貴,我迦樓羅才是頭一個!攻城略地篡權奪位,我迦樓羅也是第一人!我要殺那十天衆,要在天域稱王,根本不屑假天人的手,讓天人貴族來做盟友!阿修羅,你敗得活該!
【阿修羅】
「あの時龍巣城で、お前を深淵に落とすと言った。もっと早く実行すべきだった。お前ごときが好き勝手にほざいていいと錯覚させたのは俺の過ちだ。大好きな魔神の餌食になるが良い。」
當年在龍巢,我說過要讓你在深淵粉身碎骨。這話兌現晚了。竟讓你以為,你這喪家犬能在我腳下狂吠。就讓你最喜歡的魔神,将你生吞活剝吧。
觸手が迦樓羅を高く持ち上げ、暗闇に潛んでいる魔神達の方へ伸びる。爆発に巻き込まれ、體の一部を失った魔神は力を補填しようと、醜い體を蠢かせながら迦樓羅に近づいてくる。
觸手将迦樓羅高高挑起,伸向了黑暗深處魔神們的方向。受到爆炸波及的魔神們肢體殘缺,急需補充力量,紛紛蠕動着醜陋的肢體朝着迦樓羅伸出了手。
【迦樓羅】
「や、やめろ……!阿修羅様!大英雄阿修羅様!俺の負けだ、勘弁してくれ!せっかく建てた龍巣城をお前に乗っ取られ、石橋を壊され……やっとできた地下通路に、お前のせいで入りそこね、用意した火薬もお前が起こした爆発で全部臺無しだ……金翅鳥一族にはもう老いぼれしか殘っていない。安心して住める場所すらない。飛べる翼がなかったら、とっくに魔神に食い盡くされていた。俺がいなくなったら、翼族はどう生きていけばいいんだ!」
別、別……!阿修羅大将軍!阿修羅大英雄!算我怕了你好不好?我辛辛苦苦建的龍巢城讓你奪了,搭的石橋讓你砸了……挖好的地道因為押送你錯過時機了,制造的火藥也因為你炸結界毀完了……如今金翅烏一族獲罪只剩老弱病殘,連個住的地方都沒,要不是會飛早被魔神吃個幹淨。沒有了我,翼族該如何生存?
【阿修羅】
「安心しろ。一族を滅ぼし、道連れにしてやる。」
放心,我定會亡你翼族,把他們全送去陪你。
阿修羅は言い終わると、觸手を更に少し下げた。焦った迦樓羅は思わず阿修羅の觸手を掴んだ。
說完又将觸手向下落了幾分,情急之下,迦樓羅用力抓住了阿修羅的觸手。
【迦樓羅】
「俺を殺すのは得策じゃないぞ!阿修羅、お前はこの深淵から出て、帝釈天に復讐したくないのか?ここの地形、結界の「眼」の場所、出口の崖にある番所の數、警備の人數や場所!俺を見逃してくれれば、全部教えてやる。この深淵で飛べるのは我が一族だけ、役に立てるのも我が一族だけだ!帝釈天は敵情偵察が得意なんだろう?俺だって負けていない!」
你不能殺我!阿修羅,你不想逃出這深淵,向帝釋天複仇嗎?你可知這深淵地形如何,結界陣眼在何處,出口崖上有幾處哨卡,在什麽位置又安置了多少兵力!只要你放過我,你想知道什麽我都告訴你,這深淵裏只有我族會飛,也只有我族可以為你所用!那帝釋天不是善于偵察敵情嗎?他現在不在,我也不差呀!
【阿修羅】
「帝釈天にも負けないと?お前ごときが?」
你竟敢自比他?憑你?
【迦樓羅】
「いやいやいや……!天人の王には敵うものか!敵わない敵わない!だが忠誠心だけはある。昔から怖くてお前に楯突くことすらできなかったし、今は尚更だ。裏で悪知恵を働かせたりするものか。」
不不不……!我當然不敢自比天人之王!我比不上好不好?但我忠心,膽子小,過去我都不敢對上你,現在更不敢了,斷然是不會背後使壞的。
【阿修羅】
「いやに饒舌だな。俺より、深淵の亡霊に聞いたらどうだ。お前の約束が命に値するかどうか。ふん、お前が裏切ったところでどうなる。」
巧舌如簧,吵個不停。你不如問這深淵裏的亡靈,看他們覺得你的許諾,值不值你一條爛命。呵,就算你不忠心又如何。
突然、翼を貫通していた觸手が伸び、迦樓羅の霊神體を貫き、雙翼を拘束した。
刺穿羽翼的觸手突然伸長,又反過來穿透了迦樓羅的靈神體,将他的翅膀禁锢。
【阿修羅】
「これから俺の觸手がお前の黒翼を操る。俺の命令がない限り、飛ぶことは許されない。さもなければ、體が炸裂して死ぬというのはどんなものか味わわせてやる。そして一族も道連れだ。」
就讓我的觸手控制你的黑翼。從今往後,你想飛只能服從我的命令。否則,我讓你嘗嘗真正爆體而亡的滋味,之後再送你的族人下去陪葬。
【迦樓羅】
「阿修羅様の仰せのままに!」
聽憑阿修羅大人差遣!
……現在、深淵の獄
——如今,深淵之獄
【迦樓羅】
「……砦も火薬もなくなった俺は、一族を率いて阿修羅様の配下となった。以來、阿修羅様についてくる魔神がどんどん増え、深淵から脫出するために知恵を出し合うようになった。」
……老巢沒了,炸藥也沒了,我便帶領族人拜入阿修羅大人麾下。後來,願意跟着阿修羅大人的魔神越來越多,大家都聚在一起謀劃逃出深淵的方法。
【小白】
「迦樓羅様も大変ですね……でも、石橋が崩れたことを阿修羅様のせいにするのはいかがなものかと。小白は迦樓羅様が自ら破壊したと記憶していますが。」
迦樓羅大人也是很不容易呢……但是把石橋斷了的事情也算在阿修羅大人頭上是不是不太對,小白分明記得是迦樓羅大人自己砸的。
【迦樓羅】
「この狐め!」
你這狐貍!
【阿修羅】
「靜かに。」
安靜。
迦樓羅と小白はすぐ口をつぐんだ。
迦樓羅和小白齊齊噤聲。
【阿修羅】
「着いたぞ。ここが六つの「眼」の一つ、地獄道だ。」
我們到了,這裏是六個陣眼之一的地獄道。
【晴明】
「強力な精神力を眼から感じる。帝釈天の精神に直結しているはずだ。帝釈天が精神操作の手練と考えると、軽率に入ると再び幻境を見る恐れがある。」
這陣眼中充滿了強大的精神力,應該是與帝釋天的精神直接相連。而帝釋天是精神控制的高手,貿然接觸恐怕會被再度卷入幻境。
【阿修羅】
「幻と夢は紙一重。あいつの體に入れた霊神體の欠片には俺とあいつの力が融合していて、俺が主導権を持って行動することを可能にした。あいつの夢に入り、どんな秘密を抱えているのか見てくる。迦樓羅、客人二人は任せた。俺が夢の中を探索している間、誰にも邪魔もさせるな。」
幻境與夢境是一體兩面。打入他身體的靈神體碎片融合了我與他的力量,能夠助我反客為主。就讓我去他夢中一探究竟,看看他心中究竟藏着怎樣的秘密。迦樓羅,看顧好兩位客人,在我探夢期間,任何人不得來打擾。
【迦樓羅】
「はっ!」
是!