第48章 地獄挽歌⑨破淵
天魔歸來地獄挽歌⑨破淵
破淵
……深淵の獄、天人の要塞
——深淵之獄,天人要塞
阿修羅が帝釈天と共に幻術の中に消えた後、巨大な法陣は止まることなく迫ってきて、石崖を押しつぶし、魔神と天人の軍隊は揃って崖底に叩き落とされた。
阿修羅随帝釋天消失在幻術中後,巨大的法陣不斷下落,将石崖壓碎,衆魔神和天人軍隊皆被打入崖底。
【小白】
「あの巨大な目のような法陣、恐ろしいです!今も上から小白達を睨んでいます!」
那個像巨大眼睛一樣的法陣好可怕!到現在還在上面盯着我們!
【源頼光】
「あれは睨んでいるだけではない。あれが落ちてきてから、私達の移動速度も、攻撃に込められる力も、全て抑えられている。ちょっとでも油斷したら、目がかすんで、味方を敵だと思い込んでしまう。」
那東西可不只是盯着我們看這麽簡單。自從它落了下來,我們從步伐的速度到攻擊的力度全都被它壓制。稍有不慎,甚至會雙眼發花,把隊友認作敵人。
【晴明】
「このままではまずい。小白、源頼光、二人は一旦戻って、私と共にあれに抵抗するための結界を張ってくれ!」
再這樣下去不是辦法,小白,源賴光,你們兩個先收手,與我合力構建抵抗控制的結界!
【小白】
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「はい、セイメイ様!」
是,晴明大人!
三人は力を合わせて結界を張ったが、あまり効果がないようだ。魔神も天人も精神操作の幹渉を受け、敵味方関係なく殺戮を始めた。
然而三人合力構建的結界收效甚微。不論魔神還是天人,都受到了精神控制的影響,開始無差別地屠殺彼此。
【鬼切】
「だめだ、こいつらはもう敵と味方を區別できない!」
沒用,這群家夥已經不分敵我!
【小白】
「あれ?鬼切さんはいつ正気を取り戻したんですか!」
咦?鬼切又是什麽時候恢複的!
【鬼切】
「さっき法陣が迫ってきた時、皆を守るために、俺は力を解き放った。しかし、これ以上戦っても意味はない。全ての兵力を、守ることに集中させるべきでは?まだ正気を保てている者は、全員結界の中に入れ!鬼兵部、結界の外で中の人を守れ!」
剛才法陣下壓時太過緊急,為了支援大家,我的力量便釋放了。不過,再打下去也沒意義了,不如把所有兵力用于自保。還有意識的,全都進結界來!鬼兵部,集結在結界邊緣保護裏面的人!
しかし激戦を終えてすでにボロボロの鬼兵部は、あっという間に狂った魔神と天人達に倒され、結界は崩壊寸前になった。
然而鬼兵部經歷了一番苦戰,已經千瘡百孔,很快就被發狂的魔神和天人們擊倒,結界崩潰在即。
【鬼王酒呑童子】
「烈火梵天!」
烈焰焚天!
崩壊した結界の境目に烈火の障壁が現れ、倒された鬼兵部の代わりに狂った兵士達を阻んでいる。
崩潰的結界邊緣升起妖火屏障,代替被破壞的鬼兵部抵擋發狂的士兵們。
【鬼王酒呑童子】
「今は俺様の炎に頼るしかねえな。このまま消耗し続けても意味はない。出口は上だ、上に行くしかない。」
也只有先用我的妖火擋一擋了。這樣耗下去全無意義,出路在頭頂,我們必須往上。
【燼天玉藻前】
「簡単に言うな、あの目が障壁のように出口を塞いでいる。」
談何容易,那眼睛就像罩子一樣封閉了入口。
【煉獄茨木童子】
「地獄の手!」
地獄鬼手!
鬼手が地中から現れ、皆を高く掲げた。
地面升起鬼手,将衆人托離地面。
【煉獄茨木童子】
「すまない、この高さが限界だ。」
抱歉了摯友,我也只能升這麽高。
【鬼王酒呑童子】
「謝る必要はない。少なくとも當分は安全だ。晴明、もう結界を張る必要はねえ。お前ら、法陣を突破できないかやってみろ!」
沒什麽好抱歉的,至少暫時安全了。晴明,現在用不上結界了,你們幾個試試看能不能突破那法陣!
……その頃、帝釈天の幻境の中
——與此同時,帝釋天的幻境之中
【帝釈天(白)】
「阿修羅、一體何をためらっている!これがあなたの欲しかったものではないのか?私達は共にあの丘の上の、扉の前に蓮池がある小さな家に住んでいる。血筋のせいであなたを憎む人はいない。私の弱さを嘲笑う人もいない。戦争も死も存在しない。私達は家族や友達と共に過ごし、永遠に別れは來ない。」
阿修羅,你到底在猶豫什麽!難道這不是你想要的嗎?我們一起住在那座山坡上,在那門口有蓮池的小房子裏。沒有人因為你的血統而仇恨你,也沒有人因為我的弱小而輕視我。沒有戰争,也沒有死亡,我們和親人朋友們在一起,永遠也不必分開。
【帝釈天(黑)】
「そう、永遠に別れなくていいんだ!他人の願いも、要求も、全部無視していい。あなたが望めば、誰でも永遠にあなたのものになる!彼らを殺して何が悪い?彼らを裏切って何が悪い?あなたが望む限り、彼らは必ず蘇って、あなたを許す!何度も何度でも!あなたが私の計畫に加わり、私と共に忉利天と精神の海を繋げ、鬼域に降臨させてくれれば……」
是呀,永遠也不必分開!他人的願望,他人的訴求,你全部不必考慮,只要你想,任何人都永遠屬于你!就算你殺了他們又怎麽樣?就算你背叛了他們又怎麽樣?只要你想,他們都會活過來,會原諒你!一次一次又一次!只要你加入我的計劃,我們一起讓忉利天連同精神之海,一并降臨到鬼域——
【帝釈天(白)】
「そうすれば、辛い過去は消える。あなたが望めば、誰にでもなれる。」
你就能夠遠離痛苦的過去,成為任何你想要成為的樣子。
【帝釈天(黑)】
「そこに留まれば、いつかきっと、あなたの一番嫌いな魔神に成り下がってしまう!」
而繼續留在那裏,終有一天,你會成為你曾最憎恨的魔神!
【阿修羅】
「帝釈天、お前はいつの間に、自分を騙すのが上手くなったんだ?忉利天にいた時も、天人一族は忉利天神が望んだような平和を好む者達ではなかった。忉利天を離れた後、忉利天神が心配していたように絶滅に瀕したこともなかった。それは、忉利天神は最初から間違っていたことを証明した。彼は自分の創造物を理解していなかった。精神の海のような揺り籠も、忉利天神の庇護も、彼らは必要としていない!」
帝釋天,你從何時起,竟變成了這樣自欺欺人的人。天人一族在忉利天時,就不曾像忉利天神所期許的那樣與世無争。離開了忉利天後,也不像忉利天神所擔憂的那樣慘遭滅族。這說明忉利天神打一開始就是錯的,他并不了解自己的造物。他們并不需要精神之海這樣的溫室,也不需要忉利天神的保護!
【帝釈天(黑)】
「神の庇護が必要ないだと?鬼族に、一族の者に、家族に殺された人々に聞いたことはあるか!死にかけている人の精神の中に入り、彼らの考えを聞いたことはあるか?」
不需要神的保護?你問過那些死在鬼族,同族,乃至親族手裏的人們嗎!你可曾将精神接入垂死之人的腦中,親耳傾聽他們的所想?
【帝釈天(白)】
「彼らは…皆神に祈りを捧げていた。どうか奇跡を起こし、彼らを守ってくれと祈っていた。」
他們……都曾祈求神明,祈求神明能降下奇跡,庇護他們。
【帝釈天(黑)】
「あなたは自分こそが彼らの切望する神だと勘違いしていないか?違う!全ての人々を救える英雄など存在しない。あなたは天人一族の英雄、私の英雄だ。しかしあなたも、所詮はただの凡人に過ぎない!」
你以為你就是他們所祈求的神明嗎?不!沒有英雄能救下所有的人,你是天人一族的英雄,是我的英雄。可到頭來你也不過是一介凡人!
【帝釈天(白)】
「でも忉利天にはできる…精神の海の力を借りれば、私達は一気に天人、鬼族、そして魔神をも浄化し、生きとし生けるものを救うことができる!」
但是忉利天可以……借助精神之海,我們可以一口氣完成對所有天人,鬼族,乃至魔神們的淨化,救下所有的人!
【帝釈天(黑)】
「もちろん、あなたのことも浄化できる。阿修羅、あなたはずっと狂気に苛まれているのだろう?いつも、母親を殺してしまったことを悔んでいるのだろう?」
也可以完成對你的淨化。阿修羅,你不是一直被你的瘋病所困擾嗎?你不是一直懊悔親手殺死了自己的母親嗎?
【帝釈天(白)】
「その時、狂気に苛まれることはなくなる。その後、一緒にあなたの母上に謝ろう。きっと許してもらえるはずだ!」
到時候,你再也不會被狂暴所困擾,我們可以一起去向你的母親道歉,你一定會得到她的原諒!
【阿修羅】
「許して欲しくなどない!彼女の最後の言葉が教えてくれた。彼女は一度たりとも俺を責めたりしていない。俺を許せなかったのは、俺自身だ!しかし長い時間をかけて、俺も自分を許すことを學んだ…お前が俺に、自分を許すことを教えてくれた!帝釈天、分かったか?俺はもう前に向かって歩き出した。お前だけが、そこから動けないでいる。天人一族は既に、忉利天から遠く離れた。もう引き返す理由はない!」
我并不需要她的原諒!她用最後的囑托告訴了我,她從來沒有責怪過我,一直以來無法原諒我的,是我自己!然而這些年來,我也已經學會了原諒自己……是你教會了我原諒我自己!帝釋天,你明白嗎?我已經前行,你卻還在原地。天人一族也早已從忉利天走遠,沒有再調轉回頭的道理!
【帝釈天(黑)】
「それでも私は引き返すと言ったら?」
如果我偏要他們回頭呢?
【阿修羅】
「ならば帝釈天、お前はもうお前の一番嫌いな暴君になってしまった。」
那麽帝釋天,你早已成為了你曾最憎恨的暴君。
【帝釈天】
「ならば、私は暴君になるしかない。」
那我也就只好,做個暴君了。
……深淵の獄
——深淵之獄
【晴明】
「だめだ、この法陣に何をしても効果がない。どんな攻撃も吸収されてしまう。」
不行,這陣法根本無從下手,所有攻擊都被它吸收了。
【小白】
「まずいです、さっき吸収された攻撃がそのまま跳ね返されました!セイメイ様、危ない!」
糟了,剛才被它吸收的攻擊一下子就反射了出來!晴明大人小心!
【晴明】
「小白!」
小白は反射された攻撃を受け、鬼手の上から深淵に落ちてしまった。
小白被反射的陣法擊中,從鬼手上跌落進深淵。
【煉獄茨木童子】
「鬼手もこれ以上持ちこたえられない。」
鬼手也要抵擋不住了。
法陣の突然の反撃を受け、鬼手はついに持ちこたえられなくなり、皆も次々と深淵に落とされた。
在法陣的突然反擊下,鬼手終于支撐不住,衆人紛紛跌落。
【燼天玉藻前】
「晴明!どこにいる?」
晴明!你在哪裏?
【晴明】
「う!」
唔!
【燼天玉藻前】
「退け!汚らわしいやつめ!」
讓開!你們這群污物!
【鬼切】
「全員くたばれ!」
全都受死吧!
【源頼光】
「目を覚ませ、鬼切!今は仲間割れしている場合ではない!」
醒過來,鬼切!這不是你不分敵我的時候!
【鬼王酒呑童子】
「ごほん、結局、命をかけるしかねえのか?」
咳咳,到頭來,就只剩拼上性命這一條路了嗎?
【煉獄茨木童子】
「少し悔しいけれど、最後まで友と肩を並べて戦うことができた、悔いなどない!」
雖然有點不甘心,但能跟摯友你戰鬥到最後一刻,我已經無憾了!
天人の兵士と魔神は殺戮を止めることなく、一挙に押し寄せてきて、皆の姿はすぐに覆い隠された。
天人士兵和魔神不斷厮殺,一擁而上,很快将幾人淹沒。
……帝釈天の幻境の中
——帝釋天的幻境之中
【帝釈天】
「あなたの軍勢は全滅した。協力者も谷底に落ちてしまった。あなたはもう負けたんだ、阿修羅!暴君の私はどうだ?」
你的大軍全軍覆沒,盟友也葬身谷底,你已經敗了,阿修羅!我這暴君當得如何?
【阿修羅】
「何度繰り返されても噓は噓でしかない。皆を騙し通すことさえできれば、噓も真実になるとは思っていないだろうな?」
謊言說多少次都是謊言,你該不會以為只要大家被你騙了,謊言就能夠成為真實嗎?
【帝釈天】
「ならば教えてくれ、何が真実なんだ?」
那你倒是來告訴我,什麽才是真實啊?
【阿修羅】
「真実はいつでも目の前にある。お前はそれを見ようとしなかっただけだ、帝釈天!」
真實一直都在你的眼前,只是你不肯睜開眼看清楚啊,帝釋天!
激しい黒炎が阿修羅の胸の中で渦巻いている。そしてついに阿修羅の胸から噴き出した。
洶湧的黑焰在阿修羅的胸中翻滾,最終自阿修羅的胸口噴出。
【帝釈天】
「何をする気だ?」
你要做什麽?
【阿修羅】
「この偽りの噓を燃やし盡くし、お前に世界の本當の姿を見せてやる。はあああ!」
我要燒了這虛僞的謊言,讓你看清楚世界真正的樣子。呀啊啊啊!
阿修羅の額にある天眼が開いた。天眼が注視する中、幻境が崩壊し始め、本當の戦況がようやく白日の下に曬された。
阿修羅睜開了額頭上的天眼,在天眼的注視下,整個幻境開始崩塌,真實的戰況終于浮現。
【小白】
「一體どういうことです?小白はセイメイ様の身代わりになって、鬼手から落ちたのでは?」
這是怎麽回事?我不是為晴明大人擋了一擊,從鬼手上摔了下來嗎?
【晴明】
「私は小白の後を追って飛び降りたが、魔神に阻まれて皆が火の海に呑み込まれるのを見ていることしかできなかった。」
我為追趕小白跳了下去,結果被魔神攔住去路眼睜睜地看着你們葬身火海。
【燼天玉藻前】
「こっちはその真逆だ。晴明は魔神に殺されたが、私は晴明のそばに行くことすらできなかった。」
我看到的剛好相反,是晴明你葬身魔神之手,我卻追不到你的身邊。
【鬼切】
「俺も皆が死んだ光景を見屆けたあと、狂亂に陥って殺戮に身を任せた……」
我也是在看到大家死後,喪失理智大開殺戒……
【源頼光】
「皆自分こそが唯一生き殘った者だと思い込んで、復讐を始めたが、実はその手で仲間を殺していたのか。緊急狀況でなければ、本當にこの幻術を徹底的に分析したいところだ。恐らく、あの法陣の攻撃は跳ね返された陰陽道だけではない。同時に新しい幻術を仕掛けてきたはずだ。我々の防禦が弱かったせいで、術にかかってしまった。」
讓所有人都以為自己是唯一的幸存者,誤以為是複仇,實際上是親手殺死了自己的同伴。若不是情況緊急,我還真想研究下這幻術。那法陣的攻擊恐怕不僅是吸收的陰陽術,還有新一輪的幻術,我們防備薄弱,就這麽中招了。
【鬼王酒呑童子】
「よく見ると、鬼手はどこも壊れてねえな。」
仔細一看,鬼手還立得筆直,哪也沒去。
【煉獄茨木童子】
「私にもよく分からない、ただ妖力が揺れて……おそらく、この全ては、現実では一瞬で起きたことだ。」
我也不知道是怎麽回事,只記得妖力一陣波動……恐怕所經歷的這一切在現實中,不過是須臾之間。
【鬼王酒呑童子】
「どうもこうもねえ、上の阿修羅はやり遂げたはずだ。全員降りろ、殺戮の時間だ。」
還能是怎麽回事,阿修羅在上面應該是得手了。都下去吧,是時候大開殺戒了。
帝釈天の幻境は崩壊していく。帝釈天の幻影も崩れ始め、形を保てなくなった。漆黒の炎が次第に燃え盛り、聖なる白い光を少しずつ押さえていく。そして最後になると、殘ったのは阿修羅を見つめる紺碧の目だけだった。
帝釋天的幻境不斷崩塌,帝釋天的幻影也逐漸土崩瓦解,變得面目全非。漆黑的火焰越燒越旺,逼着潔白的亮光步步退卻,最終只留下一雙碧色的眼注視着阿修羅。
【帝釈天】
「阿修羅、光は全て偽りで、一時的なものだと言いたいのか?果てなき闇こそが真実で、未來永劫まで続くものだと言いたいのか?」
阿修羅,難道你是想說光明都是虛假,是一時的嗎?只有無邊的黑暗,才是真實,是永遠?
【阿修羅】
「光あるところには闇がある。天と地の間には、俺とお前、そして萬物があるのだから。帝釈天、お前が認めても認めなくても、これが真実なんだ。」
有光的地方會有影,是因為在天與地之間,有着你我,有着萬物。帝釋天,你認可也好,不認也罷,這就是真實。
【帝釈天】
「納得できない。」
我不接受。
阿修羅は帝釈天に背を向けた。炎は彼の後ろでもう一度、懐かしい六本の觸手に姿を変えた。二人の上空で、巨大な天眼が烈火に焼き盡くされた。
阿修羅就此轉身背向帝釋天,火焰在他的身後重新化為帝釋天所熟悉的六條觸手。在二人的頭頂,巨大的天眼逐步被烈焰焚燒殆盡。
【阿修羅】
「ならば帝釈天、俺はこの炎を、お前の目の前まで持っていく。」
那麽帝釋天,我會讓這火焰,一路燒到你面前。
偽りの光は消え、灼熱の闇が押し寄せて來て、帝釈天の法陣を全て呑み込んだ。白い光が消えると、魔神は再び元の世界に戻り、正気を取り戻した。
虛僞的光明褪去,熾熱的黑暗如潮水般湧來,吞噬了帝釋天的法陣。白光褪去,魔神們重見天日,恢複了神智。
【魔神】
「きっと阿修羅様が勝ったんだ!この絶好の機會を見逃すな、天人どもを殺せ!」
一定是阿修羅大人勝了!讓我們乘勝追擊,殺了這群天人!
【天人の兵士甲】
「例え貴様らと一緒に深淵に落ちることになっても、絶対にここからは出さない!死ね!ぐあ、胸が!これは……」
即使和你們一起堕入深淵,我們也不會讓你們出去的!受死吧!唔,我的胸口!這是……
真っ赤な觸手が空から伸びてきて、槍のように天人の兵士達の胸を貫いた。阿修羅は幻境を抜け出し、再び空に現れた。
猩紅的觸手從高處伸出,如同尖刺一樣穿透了天人士兵們的胸膛。阿修羅的身影擺脫了幻境,重新出現在了空中。
【阿修羅】
「もう一度言う、邪魔する者は、皆殺しだ!」
還是那句話,擋路的,不留活口!
【魔神】
「はっ!阿修羅様!殺せ!殺せ!」
是!阿修羅大人!殺!殺!
阿修羅の帰還は士気を大いに鼓舞し、魔神軍は破竹の勢いで天人軍の殘黨を制圧した。
阿修羅的歸來大大地鼓舞了士氣,魔神軍以破竹之勢壓制了天人軍隊的殘部。
【源頼光】
「何度も繰り返して、もう嫌になった。」
如此反反複複,我已經打得不耐煩了。
【鬼王酒呑童子】
「「源氏の當主」は何かいい考えでもあるのか?」
「源氏家主」有何高見?
【源頼光】
「晴明が鬼王の宴のあとに「鬼王様」に託した、雲外鏡の欠片はまだ持っているか?」
鬼王之宴後晴明托付給「鬼王大人」的雲外鏡碎片可還在?
【鬼王酒呑童子】
「茨木童子がなくしたりしていない限りはな。」
茨木童子要是沒搞丢那就還在。
【源頼光】
「……」
【煉獄茨木童子】
「友より託されたものをなくすはずがない!しかし源頼光の言葉に信憑性はあるのか?」
我才不會搞丢摯友托付的東西!但是源賴光的話如何能信?
【源頼光】
「渡さないならそれはそれでいい。玉藻前、あなたも一つ欠片を持っているはずだが?」
不給也無所謂,玉藻前,我記得你那裏也有一片吧?
【晴明】
「何をするつもりだ?」
你是想做什麽?
【源頼光】
「浄化だ。」
淨化。
【晴明】
「もしそんなことができるなら、なぜ今まで使わなかった?」
既然有這樣的本事,為何現在才拿出來用?
【源頼光】
「分かっているくせに。」
明知故問。
【煉獄茨木童子】
「ふん、受け取れ!」
哼,接着!
【小白】
「茨木童子様、そんなに亂暴に投げてはだめですよ!ヤマタノロチの妖力に汚染された雲外鏡の欠片は極めて危険です!ちょっとしたことで爆発するかもしれませんよ!」
茨木童子大人不可以這麽用力地扔!被大蛇妖力污染的雲外鏡碎片極其危險,稍有不慎就會爆炸的!
【源頼光】
「そう、あれを爆発させる。」
不錯,我就是要讓這東西爆炸。
源頼光は三つの欠片を受け取ると、そのまま陰陽道で起爆させ、深淵の敵陣の中に投げ入れた。
只見源賴光拿過三枚碎片後,直接用陰陽術點燃,丢向了深淵中的敵陣。
【源頼光】
「深淵の封印は非常に強いが、だからこそ逆に「浄化」に向いている。皆、崖の上で會おう!」
這深淵中的封印極為牢固,反倒是個适合的「淨化」之地。諸位崖上見!
次の瞬間、源頼光は折鶴を呼び出し、鬼切を連れて遠くへと飛んで行った。
緊接着源賴光召喚紙鶴,拉着鬼切就一同飛了出去。
【鬼切】
「これのどこが……浄化だと言えるんだ………!源頼光……!」
你這叫——哪門子淨化——!源賴光——!
【煉獄茨木童子】
「逃げ足が早いな。」
跑得倒是挺快的。
【小白】
「冗談を言っている場合じゃありませんよ!ここはもうじき崩れます、早く逃げてください!」
現在可不是說笑的時候啊大家!這裏要塌了,快跑啊!
【魔神】
「皆、逃げろ!」
大家沖啊!
耳を劈く爆音がしたあと、數人は魔神の大軍と共に深淵を抜け出し、再び太陽の光を拝んだ。その時、夜はもう既に明けていて、數百年もの間太陽の光を見ることができなかった魔神達は思わず感涙を流した。
一陣驚天動地的爆炸聲後,幾人和魔神大軍終于逃出了深淵,重見光明。此時,天色已破曉,魔神中有人數十數百年都不曾見過陽光,不由得喜極而泣。
【魔神】
「深淵では日差しが差し込むことすらない。また太陽が拝めるなんて、思ってもみなかった!やっと自由になったんだ!」
深淵裏沒有白晝,我都沒想過還能再見到陽光!我們終于自由了!
【小白】
「あれ、途中いなくなっていた迦樓羅様もここにいらっしゃいますね。」
咦,中途不見了的迦樓羅大人也在這裏呢。
【迦樓羅】
「そんなことはない。ただ高く飛んでいたから、見えなかっただけだ。」
哪有哪有,只是我飛得高,你們都沒看見罷了。
暁光の中、阿修羅が何事もなかったかのように皆に近づいてきた。
晨曦之中,阿修羅平靜地朝着衆人走來。
【阿修羅】
「俺はどのくらい消えていた?」
我消失了多久?
【迦樓羅】
「1時間くらいです。」
也就半個時辰光景。
【阿修羅】
「あの平和な百年が、たったの一時間か…」
那平靜安逸的百年,到頭來,竟只是半個時辰嗎……
【迦樓羅】
「百年ですか?」
百年?
【阿修羅】
「帝釈天の幻境の中、俺は伝説の故郷忉利天を見た。そしてそこで彼と共に百年の時を過ごした。忉利天の精神の海では、天人一族が戦争や飢饉に悩まされることはない。階級も貧富の差も存在しない。しかし現実では、それも戦争の策略の一つでしかない。帝釈天が敵を粛清するために使った武器と全く変わらない。迦樓羅、教えろ、お前は何度も俺に殺されかけた。死にそうになった時、お前はいつも何を考えた?神の助けがほしいと思うことはあったか?」
在帝釋天的幻境中,我看到了傳說中的故土忉利天,并在那裏與他度過了百年的時光。忉利天的精神之海裏,天人一族沒有戰争也沒有饑餓的困擾,沒有階級也沒有貧富的差距。然而這一切在現實之中,也不過是戰事中的一環,是帝釋天屠戮敵人武器中的一樣。迦樓羅,告訴我,你幾次三番險些葬于我手。每次死到臨頭時,你心中想的是什麽?是否曾希望有神來助。
【迦樓羅】
「それは……おそらく知らず知らずのうちに神に頼んだことはあるかもしれません。しかし冷靜になったら、神に頼むより、自分が神になるほうが爽快で気持ちいいと思うようになります。例え神に助けられても、私が感謝するとは考えにくい。むしろ欲張って、神に取って代わろうと企むでしょう。」
這……大概難免會這麽想一下。然而理智一回來,就覺得求神哪有當神來得痛快。就算有神來救我,我也不見得會感激涕零,指不定會得寸進尺,甚至想取而代之。
【阿修羅】
「確かにお前らしいな。」
确實是你會幹出來的事。
【迦樓羅】
「それに人助けはなかなか難しいです。方法や態度を間違えると、人助けができても、感謝はされません。例えばこの私のように。」
而救人更是頗有講究,方法不對氣場不合,就算救人于危難,也不會受人感激,比方說我。
【阿修羅】
「お前が人助けするのか?」
你會救人?
【迦樓羅】
「例えばの話です!」
打個比方而已!
【阿修羅】
「聞いたか、帝釈天。お前の計畫はうまくいかない。そして感謝されることもない。それでも、その度し難い頑固さを以て、人々を救いたいのか?」
聽到了嗎,帝釋天。你的計劃并不會順利,也并不會被人感謝。即使如此,你還是想用你那無可救藥的固執,去救世人嗎?
善見城の王宮、玉座に座る帝釈天は目を閉じたまま笑った。
善見城王殿,王座上的帝釋天閉着眼笑出了聲。
【帝釈天】
「ああ。それでも、私は救うのだ、阿修羅。」
是啊。我就是偏要救啊,阿修羅。
阿修羅の名が玉座の下で跪いている天人の将軍達の耳に入ると、彼らは驚いて頭を上げた。
王座下跪着的天人将領們聽到阿修羅的名字,驚恐地擡起頭來。
【帝釈天】
「これより、善見城の警備を固め、天魔阿修羅軍を迎撃する準備を整える。全員に伝えろ、油斷はできないと。」
即日起善見城加強戒備,準備迎戰天魔阿修羅一軍,任何人不得有一絲松懈。
【天人の将士甲】
「準備は全て整いました。必ずや命をかけて善見城を守り抜いてみせます!」
将士們已整裝待發,誓與善見城共存亡!
【帝釈天】
「ご苦労。蘇摩、近衛兵を連れて善見塔の入り口を守れ。毘瑠璃、善見塔の前にある詰め所に行って、善見塔へ通じる道を守れ。」
做得不錯。蘇摩,我命你領近衛把守善見塔入口。毗琉璃,你去善見塔的哨口,把守善見塔通路。
【毘瑠璃】
「はっ!必ずやご期待を裏切らないよう、使命を果たします!」
是!毗琉璃定不辱使命,絕不辜負大人的信賴!
【蘇摩】
「……はい。」
……是。
【帝釈天】
「この布陣で問題ないだろう。客人は手厚くもてなさなければ。どうせ最後になったら、あなた達はあの人を止められない。そうだろう、阿修羅。」
這樣一來布兵就萬無一失,不至于顯得我這個主人迎客不夠有誠意。反正你們到最後,也都是擋不住那個人的。你說對不對,阿修羅。