第61章 ⑩六道

終焉之章 ⑩六道

諸勢力が力を合わせたことで、大蛇神はひとまず撃退した。一方、諸蛇は依然、荒、晴明、神楽の三人を遠目に囲みながら、近づいてこようとはしない。黒紫色をした無數の蛇の両眼が彼らを見つめている。まるで今から喰らおうとする獲物を吟味するかのように。

在衆勢力的聯合之下,大蛇神終于被暫時擊退。而在遠離争鬥的地方,群蛇仍舊圍繞着荒,晴明和神樂三人爬行,卻遲遲不肯靠近。無數雙紫黑色的蛇眼看向他們,仿佛在确認即将葬身口中的獵物。

【晴明】

「邪神であっても、自分の計畫を何度も壊された私たちのことは、ぞんざいに扱う気はないというわけか。」

看來即使是邪神,面對曾經三番五次打亂自己計劃的我們,也無法一笑置之嗎?

【神堕ロチ】

「私は生き延びるためにあがく姿を稱賛する。この戦亂でお前たち三人は泥沼に足を踏み入れながらも、最後諦めようとしなかった。その壯烈にして悲しくも美しい姿から、どうして目を離すことができよう?」

我向來欣賞生命為生存掙紮的姿态。在這戰亂之中,你們三人早就步入泥潭卻又到最後都不肯放棄地掙紮,這壯烈又凄美的樣子,叫我如何能移開雙目?

【晴明】

「貴様の過去の過ちから生まれた妖魔どもは、目を向けるに値しないというのか?」

那些因你最初的罪惡而誕生的妖鬼,難道不值得你的注目嗎?

【神堕ロチ】

「奴らの誕生によって、私はこの世界の法則の誤りに気がついた。しかし、人間として生まれた妖魔は人間と同じく純粋ではない。ゆえに、私に希望をもたらした奴らも、最後は私とともに新たな世界に向かって歩むことはできなかった。」

他們的誕生曾使我看到了這個世界法則的謬誤。但就和人類一樣,誕生于人類的妖鬼并不純粹,故而給我帶來希望的他們,最終卻無法陪伴我走向新世界的起點。

【晴明】

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「禦饌津、縁結神、そして鈴彥姫は? 」

禦馔津,緣結神,和鈴彥姬呢?

【神堕ロチ】

「奴らは當時の高天原の諸神とは違う。この世の衆生とともにあがこうとする覚悟を持っている。ならば、衆生とともに終焉を迎えるのだな。」

誠然她們和當年的高天原諸神不同,有着陪同此世的衆生一起掙紮的膽識,那麽就與衆生一同迎接終焉的到來吧。

【晴明】

「夜刀神と帝釈天は?」

夜刀神和帝釋天又如何?

【神堕ロチ】

「私のかつての取引相手なのだ。奴らは最後の瞬間まで、私にたやすく反逆できるという幻想に浸らせておくとしよう。その瞬間の後悔と絶望こそ、私に捧げる最高の謝意だ。そうではないか?」

既然是我曾經的交易對象,就讓他們沉浸在能夠輕易反叛我的幻想中,直到最後一刻。那一刻的後悔與絕望才會是向我獻上的最甜蜜的歉意,你說不是嗎?

【晴明】

「ならば、もう一人の私は?」

那麽另一個我呢?

【神堕ロチ】

「黒晴明はそもそも私の力によってこの世に生まれたのだ。私はかつて奴に大きな期待をかけ、奴も都での堂々たる戦いぶりをもってそれに応えた。奴は今では勝算がないと分かっていながら貴様の側に立つことを選んだ。これもまた期待を裏切られる楽しみというもの。」

黑晴明本是借助了我的力量才誕生于世,我曾對他寄予厚望,而他也回應了我一場京都紛争的盛景。如今他明知沒有任何勝算,卻選擇了站在你的一邊,也是個超出期望的樂趣。

【晴明】

「ならば、私は一人なのに貴様を阻む可能性があるのか?」

那麽說,這一個我卻還有阻撓你的可能?

【神堕ロチ】

「私がこの世の生命萬物のあがきを最後まで見とどけたいと望み、そして貴様もあがくことを選んだ。ならば、私が貴様の抵抗に期待するのも當然のことだ、晴明。」

我既然要将世間生命萬物的掙紮看到最後,而你還在選擇掙紮,我自然是期待着你的抗争啊,晴明。

【晴明】

「じゃあ、俺の方から「晴明」がお前を倒す方法を教えようか。」

既然如此,不如我就說出「晴明」準備拿來戰勝你的方法吧。

【神堕ロチ】

「しっかり聞いておくんだね。」

洗耳恭聽。

【晴明】

「貴様の裁きは確かに完璧だった。審判官、罪人、処刑人、処刑の神器、法則…全てが滞りなく用意されていた。世界は今や、完全に貴様の手中に収まった。「虛無」の波が世界を洗い盡くした後、貴様に必要なのは、新たな世界を迎えることだけだ。しかし私が今、裁きの儀式を見る限り、貴様は審判場を用意していないようだが。かつて貴様が裁かれた高天原神殿は、貴様の反逆で灰燼に帰した。だから、神殿を再び得ようとすれば、雲外鏡の投影によるほかない。それこそ、貴様があえて當時の裁きの真相を幻として皆に見せた本當の理由だ。貴様は幻によって皆に目の前の刑神場が鏡に映った倒影に過ぎないことを忘れさせたのだ。つまり、黒鏡の投影が阻まれれば、貴様の裁きは全て失敗に帰すということだ。」

确實你的審判已經十分完美,審判者、被審判的罪人、行刑人、處刑神器、法則,你全都一一準備。如今看來,世界也已經徹底落入了你的手中,「虛無」的浪潮會清空現有的世界,接下來你就只需要迎接新世界的到來。但是,據我現在對整個審判儀式的觀察,你并沒有準備好審判場。因為那曾經審判過你的高天原神殿已在你的反叛之中化為烏有,只有憑借雲外鏡的投影,你才能重獲它。這才是你故意将當年審判的真相作為幻境展現給衆人的真正緣由。你是在用那段幻境讓衆人忘記眼前的刑神場不過是鏡中倒影,換言之,只要阻止了黑鏡的投影,你的審判就會功虧一篑。

【神堕ロチ】

「なるほど…それも確かに我が裁きを阻むための一つの方法ではある。しかし、貴様は結界に閉じ込められ、私は貴様と黒鏡との間を隔てているのだぞ。私は子羊のあがきを見るにやぶさかではないが、逃してやる気はないぞ。貴様は口にした計畫をどう実現するつもりだ?」

你說的不錯,那也确實不失為阻止我審判的一種方法,只是你被困在結界之中,而我又擋在你和黑鏡之間。我樂于觀賞羔羊的掙紮,卻不會任它随意脫逃,你要如何實現你口中的安排呢?

【晴明】

「ヤマタノロチ…貴様はこの「晴明」が考えつくことを、もう一人の「晴明」が考えつかないと思うか?」

八岐大蛇,你覺得這一個「晴明」能想到的東西,另一個「晴明」卻想不到嗎?

【黒晴明】

「皆、時は來た。私が黒鏡の方へ向かうのを援護してくれ!」

諸位,時機已到,請助我去往黑鏡的方向!

【鈴鹿禦前】

「私をこんなに待たせるとは…。もう少しで私一人で出かけるところだったぞ。さあ、乗れ!」

竟讓我等了這麽久,再等下去我怕是都要自己出手了,随我上船!

鈴鹿禦前が再び鬼船を召喚し、黒晴明を引き止め、船首に飛び乗らせる。船は泥をかき分け、天秤のある方角へ走り滑っていく。しかし、その後を追ってきた蛇魔が船尾に嚙みつくと、鬼船はほとんど身動きできなくなる。

鈴鹿禦前再度召喚出了鬼船,一把拉住黑晴明跳上船頭,駕馭鬼浪沖散淤泥,船朝着天平所在的方位滑行着,然而蛇魔緊追其後咬住了船尾,使得鬼船幾乎無法動彈。

【蟬氷雪女】

「黒晴明様の邪魔立てなどさせるものか。」

休想阻礙黑晴明大人。

雪女が結界の外に降り立ち、つららを張って海水を凍らせ、蛇魔の行く手を阻む。このため、鬼船は天秤の下までやってくる。鬼船を引き受けた朧車は、黒晴明の目の前に降りてくる。

雪女飛落在結界之外張開了冰棱,凍結海水擋住了蛇魔的去路,使得鬼船行駛到了天平之下,接替鬼船的胧車馬上落在了黑晴明的面前。

【燼天玉藻前】

「上がってくるがいい。乗せていってやろう。」

上來,我帶你飛上去。

黒晴明を朧車に乗せると、玉藻前は朧車を駆り、天高くそびえる天秤のてっぺんに向かって飛んでいく。後に続く蛇魔は再度合體して大蛇と化し、口を開けて朧車を地上に引き戻そうとするが、そこをめがけて振り落とされてきたのは刀だった。

将黑晴明拉上胧車後,玉藻前驅使胧車朝着高聳入雲的天平頂端飛去,身後的蛇魔又故技重施合為長蛇,張開血口欲将胧車拉回地面,然而迎接它們的卻是飛斬而來的武士刀。

【鬼切】

「あまり認めたくはないが、貴様とともに戦うのは他の者よりも心地よい。」

雖有些不想承認,但和你一起戰鬥總比其他人來得快意。

無數の蛇魔が地上に集まり、潮の流れのようにうごめいている。孔雀の光が空から地上に落ちると、蛇魔たちは散り散りに追い払われる。八百比丘尼が杖を手に、鬼船の帆柱の上に立っている。

無數蛇魔聚集在地面如同潮水般湧來,孔雀的光輝自上而下降落,将蛇群驅散,八百比丘尼握着手杖站在鬼船桅杆之上。

【八百比丘尼】

「ささやかなお返しです。大したことではありません。」

小小回禮,不成敬意。

數本の赤い糸が蛇魔たちを縛りつけ、続いて鈴の音とともに、炎が蛇魔たちを焼き盡くす。

數道紅線将蛇群捆綁在一起,随之而來的火焰帶着鈴聲,将蛇群燒為灰燼。

【縁結神】

「縁がここで盡きること、認めぬ!」

本神明可不允許緣分在這裏終焉!

【鈴彥姫】

「お主の行く手に立ち込める霧、我が炎で払ってくれよう!」

就讓我的火焰,為你驅散前路上的陰霾!

何度か危険を冒してようやく天秤の上に降り立った朧車は傷だらけになっている。天秤の頂上を守る蛇魔はいない。ヤマタノロチは上から、黒晴明が上がってくるのを見下ろしている。

經歷數次艱險終于降落在天平上的胧車傷痕累累,天平的頂端沒有蛇魔把守,八岐大蛇居高臨下看着黑晴明的到來。

【神堕ロチ】

「お待ちしておりました。」

我已恭候多時了。

蛇神は小さな蛇を手に持っている。小さな蛇の體內からは黒い妖気が漂っている。それまで何もなかった天秤の周囲に突然蛇魔が潮の流れのように湧き出し、黒晴明に襲ってくる。危機一髪というところで、両側から飛び出してきた黒炎と妖火が蛇魔を再び一掃する。

蛇神掌心握住一條小蛇,黑色妖氣從小蛇體內溢出,原本空蕩蕩的天平周圍突然又湧出了如潮水般猛烈的蛇魔,朝着黑晴明的方向襲來。危機一發之時,分別從兩側襲來的黑焰和妖火将蛇魔再次一掃而空。

【煉獄茨木童子】

「フン…全くわずらわしき仕事よ。萬事屋の陰陽師の分際で人に迷惑ばかりかけおって。」

哼,真是個繁瑣的差事,不過是個萬事屋陰陽師,卻盡給人添麻煩。

【鬼王酒呑童子】

「ゆけ!人間と妖怪の血を併せ持つ貴様が、果たしてどんな結末をもたらすか、しっかりと見定めてくれる。」

上吧,讓我好好看看,同時承擔人族和妖族血脈的你,究竟能帶來怎樣不同的結局。

天秤の頂上の雲外鏡の下から黒晴明が頭上の黒鏡に手を伸ばすが、その背後からヤマタノロチの笑い聲が響いてくる。

在天平頂端雲外鏡的下方,黑晴明朝着頭頂的黑鏡伸出了手,然而在他的身後卻傳來了八岐大蛇的笑聲。

【神堕ロチ】

「確かに面白い餘興だ。貴様らがいずれも「晴明」だという認識が偏っていることは認めよう。だが黒晴明よ、その黒鏡に本気で觸れるつもりか?貴様は私が與えたきっかけによって生まれたのだ。今の黒鏡に觸れれば、その瞬間に同化されてしまうぞ。悪の心、そして獨立した個體として存在する方法を知る貴様に、世界のために本當に虛無に戻る覚悟があるというのか?それとも、最後にしばしの安寧を貴様に與え、ともにこの世界の終わりを見屆けるとしようか。」

這的确是一個有趣的餘興節目,我承認我對你們同為「晴明」的認識有些偏頗。但是黑晴明啊,你當真打算觸碰那黑鏡嗎?依靠我所給予的契機才終于誕生的你,一旦觸碰如今的黑鏡,在一瞬間就會被它同化為一體。知曉了邪惡之心,又知曉了如何作為獨立個體存在的你,難道真有為整個世界而重歸虛無的勇氣嗎?亦或者,讓我賜予你最後的片刻安寧,來和我一同看着這世界的終結。

【黒晴明】

「「黒晴明」ならば確かに、人の世を救うために自分の命を犠牲にすることはないかもしれんな。だが、俺は違う。」

若是「黑晴明」的話,或許确實沒有為了拯救人世就将性命雙手獻上的意思吧。但是,我有。

【神堕ロチ】

「ほう?面白い。」

哦?有意思。

目の前の「晴明」が突然、黒晴明の偽裝を解き、元の姿に戻る。晴明は手を伸ばし、宙に浮かぶ黒鏡をつかむ。黒鏡は晴明が觸れた途端、まばゆい光を放ち、鏡から人形に戻ってしまった。

眼前的「晴明」突然退去了黑晴明的僞裝變回原來的模樣,他義無反顧地伸手抓住了漂浮在空中的黑鏡。黑鏡在接觸到他的瞬間迸發出耀眼的光芒,幾乎要從鏡子化為人形。

【神堕ロチ】

「晴明…私のためにわざわざこの見世物を見せてくれたのか?なかなか新味のある趣向だな。だが、魂の半分しかないお前に本當に終焉を阻むことができるのか?」

晴明,你竟是為我而演了這一出戲?也算是頗有新意了。但只有一半靈魂的你,真的能阻止終焉嗎?

ヤマタノロチは結界を開き、目の前の晴明をとらえようとするが、手に集めた力が突然消える。動きをいったん止めたヤマタノロチが下を見ると、癒えたはずの草薙剣の傷口が開いており、散らばった刀身の欠片と共鳴し、ヤマタノロチの力をかき亂す。

八岐大蛇張開結界試圖困住眼前的晴明,然而原本凝聚的力量卻突然從手中消失。他的動作停滞了一刻,低下頭來,卻發現本已愈合的草薙劍傷口竟化為一道裂痕,與散落的劍身碎片共鳴起來,打亂了他的神力。

【神楽】

「今だ!」

就是現在!

【荒】

「天罰·月!」

荒の流星がヤマタノロチに向かって襲いかかり、蛇神の足並みを亂す。一瞬動きを止められた蛇神は蛇魔を召喚して自分の前をふさぐ。蛇魔は流星を避けると合體し、荒を避け、その後ろにいる神楽に向かっていく。間一髪のところで、虎にも豹にも見える大きな獣が空から降り立つ。鋭い爪で蛇魔の皮を裂き、鋭い牙で骨を噛み砕くと、天地を揺るがすような雄叫びを上げる。

荒的流星朝着八岐大蛇的方向襲去,打亂了蛇神原本的步調,被停滞了一瞬的蛇神召喚出蛇魔擋在了身前,蛇魔躲閃着流星化為一體,竟然繞過荒,朝着他背後的神樂而去。危急之時,一頭如虎又如豹的巨獸突然從天而降,其利爪撕裂蛇皮,尖牙穿透蛇骨,吼聲震天動地。

【墓守り】

「邪神よ、俺様のことを忘れていいと誰が言った!」

邪神,是誰準你忘了本大人的!

【神堕ロチ】

「ははは、忘れてはいないよ、子貓ちゃん。」

呵呵,我可沒有忘了你,小貓咪。

ヤマタノロチは突然掌を返し、蛇魔に墓守りを攻撃するのをやめさせ、晴明の結界にまとわりつかせる。蛇魔は瘴気を吐き、結界を何とか維持している晴明の體內に蛇毒を流し込もうとする。

八岐大蛇突然手心一轉,不再驅使蛇魔攻擊鎮墓獸一方,轉而纏住了晴明的結界,蛇魔口吐瘴氣,朝着內部釋放蛇毒,意圖用蛇毒侵染強撐結界的晴明。

【神堕ロチ】

「そして、君が陰陽師には甘いということも忘れてはいない。」

也沒有忘記,你對陰陽師這一類人是多麽心軟。

【墓守り】

「卑劣な奴め…。」

卑鄙之徒。

にらみ合いが続き、墓守りはうかつに動けない。一方、晴明は次第に衰弱し、地に崩れ落ちる狀態にある。そのとき、刃羽の嵐が突然瘴気を打ち払う。ヤマタノロチが晴明と相対している間に、大天狗が黒晴明を縛る結界を解いた。

僵持之際,鎮墓獸不敢妄動,而晴明更是逐漸衰弱,幾欲跪倒在地。就在這時,羽刃暴風突然襲來吹散了瘴氣,大天狗趁八岐大蛇對付晴明之際,突襲打破了束縛黑晴明的結界。

【大天狗】

「黒晴明様、お迎えに上がりました!」

黑晴明大人,我來迎接您了!

蛇魔の包囲から逃れた黒晴明はためらうことなく、もう一人の晴明に駆け寄っていく。瘴気と結界をうまく回避した黒晴明が晴明の手を握る。

從蛇魔的包圍中逃出的黑晴明毫不猶豫地沖向了另一個晴明的方向,他穿過瘴氣和結界,握住了晴明的手。

【黒晴明】

「分かった風な口をきくな、ヤマタノロチ!フン、晴明…今回だけだ。俺の力を貸してやる!」

別一副了解我的口氣了,八岐大蛇。哼,晴明……只此一次,我借給你我的力量!

二人が力を合わせると、黒鏡の中の蛇神の力が駆逐され、鏡が人形に変わり、頭をもたげ、目の前の二人の晴明に視線を向ける。

二人合力之下,黑鏡中蛇神的力量遭到驅逐,鏡子徹底化為人形,擡頭看向眼前的晴明二人。

【晴明】

「黒鏡…私との誓いを覚えているか?鬼王の宴の前に白鏡と私に誓ったはずだ。「都を守る。たとえ身がちぎれようと誓いには背かない」と。お前は忘れたのだろう。だが、もう一人のお前は覚えている。」

黑鏡,你還記得與我的約定嗎?鬼王之宴前,你與白鏡曾答應我守護京都,即使粉身碎骨,也不會違背約定。你忘記了,但另一個你卻還記得。

晴明は白鏡の最後の一欠片を取り出し、霊力を注ぎ、人形へと変える。人形となった白鏡はゆっくりともう一人の自分そっと見つめ、手を差し伸べる。しばし動きを止めていた黒鏡も手を差し出し、二人の指が鏡面で觸れ合う。

晴明拿出最後一片白鏡碎片,注入靈力使其化為人形,人形的白鏡靜靜地看向另一個自己,朝他伸出了手。黑鏡停滞了一下,也伸出手回應,二人的手指在鏡面處相遇。

【雲外鏡·陰】

「やっと私のもとに戻ってきてくれた。」

你終于,回到了我的身邊。

しばし靜寂が続いた後、雲外鏡は再び鏡に戻る。すると、黒鏡の鏡面に白鏡と全く同じ形のひびが入る。ひびは瞬く間に鏡面全體に広がり、目の前の審判場にも次第にひびが入る。地面や壁に亀裂が生じていることから、空間に突如ねじれが生じたのは明らかだった。

片刻的沉寂後,雲外鏡重新化為鏡身,這一回黑鏡上出現了和白鏡一模一樣的裂痕。裂痕迅速蔓延到了整個鏡面,緊接着眼前的審判場也開始逐漸碎裂,龜裂的地面和破碎的高牆昭示着空間的突然扭曲。

【神堕ロチ】

「お主らの抵抗の意思、過去のどんな時よりも眩いものであった。ただ、お主らが抵抗しようとする定めは、自身の限界を大きく超えておった。」

你們這份抗争的意志,簡直比過去的任何一刻一秒都要更加耀眼。只不過,你們想要對抗的命運,還是遠遠超出了自身的極限。

そのとき、ヤマタノロチが草薙剣で受けた負傷から回復する。ヤマタノロチはひびだらけの雲外鏡を神力で覆い、バラバラになった鏡を元通りにする。黒紫色の妖気が地面や壁の隙間から立ち上ると、真っ白だった審判場が一面黒くなる。そのとき、破壊を欲しいままにしていた五振りの天羽々斬のうち一振りが突然、まるで何かを感じたかのように向きを変える。この一振りは霊力を集め、突然金色の雷電を放ち、刑神場中央の雲外鏡に突き刺さる。その瞬間、大地が揺れ、黒霧が晴れ、鏡を一つにまとめていた力が雷によって打ち破られる。雲外鏡が壊れ始めると同時に刑神場も雷鳴の中、崩れ去っていく。

此時,八岐大蛇已從草薙劍的影響中恢複了動作,他驅使神力環繞裂痕遍布的雲外鏡,将四分五裂的鏡面重新聚攏。紫黑色的妖氣從地面和牆面的縫隙中湧出,将原本純白的審判場映照成一片不祥的黑色之景。就在這時,肆意破壞着的五把天羽羽斬之中的一把,突然如感知了什麽一般調轉了方向。只見它彙聚了靈力,驟然釋放出金色的雷電,擊向了刑神場正中的雲外鏡。一瞬間大地震動,黑霧散去,雷電擊破了凝聚鏡子的力量,在雲外鏡開始碎裂的同時,刑神場也在雷聲之中分崩離析。

【晴明】

「これは…幻の中で見た須佐之男の力…?」

這是……幻境中曾見過的須佐之男的力量?

【荒】

「…」

【神堕ロチ】

「やはり…須佐之男…千年の時を経て姿を現そうというのか。」

果然,須佐之男,這千年之後你也将要現身了吧。

雷鳴が次第に遠のいていく。

雷鳴聲漸漸遠去。

【神堕ロチ】

「この終焉を新世界への祝福としよう。」

就讓這終焉化為對新世界的祝福吧。

【黒晴明】

「ヤマタノロチよ、貴様の新世界は祝福されることも、到來することもない。刑神場は破壊された。貴様の裁きは終わったに等しい。」

八岐大蛇,你的新世界不會得到祝福,更不會到來,刑神場已毀,你的審判已等同結束。

【神堕ロチ】

「ならば、天羽々斬の突き刺さった太陽はどうなる?」

那麽被天羽羽斬擊中的太陽,又将如何呢。

そのとき、天羽々斬に貫かれた太陽が突然割れ始め、金色の內側が現れる。花びらが幾重にも開き、驚いたことに、割れた太陽は蓮の花に変化する。

就在這時,空中被天羽羽斬刺穿的太陽突然綻開,展露出金色的內裏,層層花瓣綻放,破碎的太陽竟化作一朵綻放的蓮花。

【神堕ロチ】

「面白い。まさか幻術で太陽への攻撃を食い止めようとはな…。だが、天羽々斬が太陽を貫いていないとすれば、誰を貫いたというのだ?」

有意思,竟然想到以幻術阻擋對太陽的傷害?不過,天羽羽斬如果沒有擊中太陽,那究竟擊中了誰呢?

帝釈天は冷や汗をかき、口から鮮血を吐く。しかし、天羽々斬は蓮の花の中にとどまることなく、太陽の端から刑神場へと落ちていき、まるで何かを訴えるかのように地面に突き刺さる。刀身の周りには雷が舞っている。

帝釋天冷汗涔涔,口吐鮮紅。然而天羽羽斬卻并沒有停留在蓮花之中,而是緩緩地從太陽的一側脫落,落回了刑神場上,如同在宣昭着什麽一般砸入了地面,而劍身上纏繞着嘶鳴的雷電。

【神堕ロチ】

「太陽とこの世界のため、災厄を再び防ごうというのか?砕かれた運命を知りながら千年もあがき続けるとは…その執念、うるわしく…愚かだ。」

再次替太陽和這個世界擋下一劫嗎?明知毀滅的命運卻掙紮千年,這執念是多麽美妙,又多麽愚蠢。

雲外鏡とともに世界が鏡のように歪み砕けていく。黒鏡の欠片も白鏡とともに宙に飛び散る。世界が闇から解き放たれ、太陽の光が大地を照らした。その瞬間それぞれが光を反射し、晴れ上がった空のもと、散らばって消えていく。

随着雲外鏡的碎裂,整個世界如同鏡子一般扭曲破碎,黑鏡的碎片随白鏡一同升入空中。在世界掙脫黑暗,陽光普照大地的一瞬,反射着片片光輝,四散消失在了放晴的空中。

【神堕ロチ】

「神器としてはすさまじい結末を迎えたものだ。」

對神器而言,真是波瀾壯闊的結局啊。

【晴明】

「雲外鏡の運命をこのまま終わらせはせん。」

我不會讓雲外鏡的命運就這樣結束。

【神堕ロチ】

「だが、殘念ながら一歩遅かったな。」

只可惜,還是晚了一步。

蛇神は振り返ると、空と大地の間に目を向ける。そこには巨大な空間の裂け目があるだけだ。五振りの天羽々斬によって切り開かれた異界の裂け目が、千年以上封印されていた六道の扉が再び開いたのだ。

蛇神轉身看向天空與陸地之間,只見那裏橫亘着一條巨大的空間裂縫,是五把天羽羽斬合力斬開的異界裂縫,将封印了上千年的六道之門再次開啓。

【阿修羅】

「宿願はやはり果たしたようだな。」

看來你還是得償所願了。

【神堕ロチ】

「お互い様だ。」

彼此彼此。

【阿修羅】

「人の心が読めるなどと勘違いするな。私が何を欲しているのか、貴様には分かるまい。」

別再自以為通曉人心了,我想要的是什麽,你不會明白。

【神堕ロチ】

「お返しの言葉と言ってはなんだが…破壊神の貴様にも、私が欲するものは分かるまいな。」

那我也回敬一句,我想要的東西,身為破壞神的你也無法理解。

【阿修羅】

「ほう…それは六道の中にあるのか?」

哦,那東西可是在六道之中?

【神堕ロチ】

「罪悪。」

【阿修羅】

「ここにあるではないか。 」

這裏不就有。

【神堕ロチ】

「自ずとある。だからこそ、「奴ら」に當時殘した種がどれほど大きな樹へと育ったか、どれほど美しい花を咲かせたか、目の當たりにさせる必要があるのだ。そこになった甘くみずみずしい果実…私が獨り占めするわけにもいくまい?」

自然是有的。正是因為如此,才更要讓「他們」來看看當年留下的種子,已經長成了怎樣的蒼天大樹,又開出了怎樣美麗的花。那所結出的甜美多汁的果實,我豈能一個人獨享。

【阿修羅】

「貴様にまだ他に友がいたとはな。この世には奇妙なことはいくらでもあるものだ。」

你這樣的家夥居然還有朋友,世上還真是什麽怪事都有。

【神堕ロチ】

「貴様のように天羽々斬をもってしても完全には粉砕できぬほどの神性を持つ者も珍しい。破壊神の神性には罪悪よりも善意が多く存在するとでもいうのか?「奴ら」を貴様に紹介してやるというのはどうだ?きっと仲良く付き合えるはずだ。」

像你這樣神格異常到連天羽羽斬都無法完全摧毀的家夥,也是世間罕見,難道破壞神的神格中,善意竟會多于罪惡嗎?不如我将「他們」介紹給你如何,想必相處起來也會相當愉快。

霊神體は巨大な手で天羽々斬を取り、審判場に再び姿を現す。しかし、今度はヤマタノロチの目の前に降り立ってしまう。

靈神體巨手手握天羽羽斬重新出現在了審判場上,然而這一回,卻是落在了八岐大蛇的面前。

【阿修羅】

「我が真の友は一人だけだ、永遠にな。」

我真正的朋友,永遠只有一個。

【神堕ロチ】

「ふふ…ならばその友にしっかりと見ていてもらうんだな。いずれ貴様が破壊の欲望を押さえられなくなれば、きっとその友が貴様の目の前に立ちふさがる最初の人間となろう。友が命を失った日…それが貴様が真の破壊の神として生まれ変わるときだ!」

呵呵,既然如此,你可要把那位朋友好好看住,有朝一日當你壓不住破壞的欲望,他定會是第一個擋在你面前的人。他殒命之日,就是你作為破壞之神真正重生之時。

阿修羅はこれを聞いて黙っている。ヤマタノロチはさらに笑みを深め、衆人の方を向く。

阿修羅聞言不再說話,而八岐大蛇卻加深了臉上的笑容,八岐大蛇轉而看向衆人。

【神堕ロチ】

「運命とは不思議なものだが、結末は決まっている―人間はそう言う。だからこそ、抵抗することは稱賛され、あらゆる命は尊いのだ。この世の全てが私をこれほど狂おしくさせるのだ。ならば…結末が破滅であると知りながら、創造に狂喜する工匠たちよ。最後は死に別れると知りながら、生死を誓い寄り添い合う戀人たちよ。最後は老いさらばえて死にゆくと知りながら、生まれた日に泣く赤子たちよ。憂うことはない。お前たちのあらゆる抵抗、憤り、目覚め…今日、私がそのまま受け取った。お前たちの輝き、我が両の目に焼きつけよう。お前たちの姿形がこの舊世界とともに消え去り、お前たちの物語が忘れ去られたとしても、今日見屆けた美しき世界、我が心の中のお前たちを私が必ずや新たな世界の始まりへと連れていこう。苦しみを渇望しているのは果たして私なのか、それとも衆生なのか、ときどき分からなくなることがある。だが一つだけ確かなのは、そのはかない命に私が魅了されているということだ。衆生よ。お前たちが數千年の間待ち望んできた自由は、すぐにお前たちのもとに戻ってこよう。七邪神は異界の裂け目を越え、六道の扉をくぐり、お前たちが數千年間探り続けてきた指を引き止め、お前たちの數千年間乾き続けた唇と舌を潤してやろう。皆、この最後の希望の味を存分に堪能するがいい。さすれば、希望が潰えたとき、私は新世界誕生の祝福として完全なる絶望を手に入れることができる。我がために美しき景色をもっと用意せよ。もっと私を魅了してくれ。そして新たな世界でもう一度私をたたえ、私を求め、私に取り入るのだ。」

人類常說命運不可捉摸,但結局卻從來都是定數,正是因此,所有的掙紮才值得贊揚,所有的生命才難能可貴。這人世間的一切,才會讓我如此欲罷不能。那所有明知結局是毀滅卻為創造而狂喜的匠人們,那所有明知終會陰陽相隔卻起誓生死相随的戀人們,那明知會終結于衰亡而啼哭在誕生之日的嬰童們。無須擔心,今日你們的所有掙紮、憤慨和覺悟,我都已如實收到,用我的雙目,記住了你們的光輝。即使你們的身形随着這舊世界而消散,你們的故事也随之被遺忘,我也定會将今日所見到的美景,将我心中的你們,帶往新世界的起點。有時我甚至不免疑惑,渴望苦難的究竟是我還是衆生,然而有一件事我卻萬分确定,那就是我是如此為這般脆弱的生命而着迷。衆生啊,很快,你們所期望了數千年的自由就将回到你們的手中。七惡神會跨過異界的裂縫,穿過六道之門,前來重新拉住你們摸索了數千年的手指,潤澤你們幹涸了數千年的唇舌。就請諸位好好地品味這最後希望的滋味吧,這樣當希望熄滅之時,我才會收獲最甘美的絕望,作為新世界誕生的祝福。來為我準備更多的美景吧,來讓我更加為你們着迷吧,然後在新的世界中,再一次稱頌我,渴求我,取悅我。

話し終えると、ヤマタノロチは六道の扉に消えていった。

言罷,八岐大蛇消失在了六道之門中。

【荒】

「邪神は去った。しかし、高天原によって一千年前に六道が施した封印も解かれた。七邪神の再結集と闇の時代の再來は、この世界にとって避けられない未來となった。六道の最初の邪神がまもなく貴様らの世界に蘇るだろう。それだけではない。ヤマタノロチが五人の邪神を殘りの五道から解き放ち、この世へと連れてくるのだ。そのとき七邪神は、この裁きとは比べものにならぬ災厄をもたらすだろう。」

邪神已去,但千年前高天原對六道的封印也被破除。七惡神的重聚,黑暗時代的回歸,将是這個世界無可避免的未來。過不了多久,六道的第一名惡神,即将在你們的世界蘇醒。不僅如此,八岐大蛇也會将另外五名惡神從其他五道中放出,并帶領他們來到人間。屆時七惡神所帶來的災難,将不是這場審判能夠比拟的。

【黒晴明】

「災厄を避ける手立てはもはやないのか?」

已經沒辦法阻止災難的到來了嗎?

【荒】

「これが天命だ。」

天命如此。

【晴明】

「ならば、新たな大戦に備えるべきだな。」

既然如此,是時候準備迎接新的大戰了。

【荒】

「そう一筋縄にはいかん。巨大な異界の裂け目…もはやその存在そのものが災厄だ。世界の法則がこれによって揺らいでいる。ヤマタノロチが何もしなくとも、お前たちの世界は六道の異界に呑み込まれ、最後は消失することだろう。ましてや…」

不是那麽簡單的事情。巨大的異界縫隙,其本身的存在就已經是一場災難,世界的法則都會因此動搖。就算八岐大蛇什麽都不做,你們的世界,也會漸漸被六道中的異界吞噬,最後消失,更何況……

【八百比丘尼】

「ましてや、長く封印されていた邪神たちがようやく解き放たれる機會を得たのだ。何もしないということが考えられるか?」

更何況,惡神們被封印了這麽久,好不容易得到跑出來的機會,自然不會什麽也不做,對不對?

【源博雅】

「敵に抗するではなく、天災に抗うような狀況というのか?百戦錬磨の手練であっても手を下すのは難しかろうな。」

并非對抗敵手而是如同對抗天災一般的情境嗎?這就算是身經百戰之人,也會無從下手啊。

【鈴鹿禦前】

「どんなときであれ、守るべき家族がいる限り希望は消えない。災厄に抗うことができなくても、自らがどんな災厄と相対しているのか、はっきりさせておくことは必要だ。」

不管什麽時候,只要想守護的家人還在,希望就不會消失。就算天災無法違抗,也要弄清楚,自己面對的是怎樣的災禍。

【鬼王酒呑童子】

「それは我ら鬼族の始祖、妖魔がこの世に生まれたきっかけとなったものだ。我らが非難するものはこれを遠ざけ、我らが心にかけるものはこれに執着し、造物としての我らの性格をより強い形で持つ。彼らが帰還すれば、多くの妖魔が妖力によって正気を失うだろう…全くゆううつなことだ。」

那是我等鬼族的始祖,是妖鬼誕生于世的契機,我等痛斥的,他們避而不及,我等眷顧的,他們則貪戀百倍,我等是怎樣的造物,他們只會更甚。他們的歸來恐怕會使更多妖鬼因妖力而發狂……還真是讓人高興不起來啊。

【源頼光】

「鬼王様…まさか、族人を掌握できぬことを怖れていると?」

鬼王大人難不成是怕掌控不了族人?

【煉獄茨木童子】

「理性を失い、鬼道の本來のあり方を忘れたあの意志の弱い者どもが我らの敵となろうか。我が友は鬼王として人間たちの運命を嘆いているだけだ!」

那等喪失了理智,忘記了鬼道真意的意志薄弱之徒,豈會是我們的對手。吾友只是身為鬼王,哀嘆族人們的命運罷了!

【源頼光】

「いつの頃からか、人間は無知がゆえに妖魔を怖れるようになった。そして今、私たちも無知がゆえに邪神の到來を怖れている。この恐怖は彼らの糧となり、彼らが世界を呑み込むためのさじとなるだろう。」

曾幾何時人類因未知的恐懼而懼怕妖鬼,而如今,我們也以未知的恐懼而畏懼惡神的到來,這恐懼将化作他們的食糧,化作他們吞噬世界的鑰匙。

【鬼王酒呑童子】

「たとえそうであってもやはりその恐怖から生まれたものを力に変えるというのか?」

即使如此,你還依然把這從恐懼中所誕生的東西,當作是力量嗎?

【源頼光】

「もちろんだ。」

當然。

【晴明】

「今回影響が及ぶのは人間だけでも、妖魔だけでもない。これは高天原の神々が創造した世界へのヤマタノロチからの宣戦布告なのだ。」

這一次,将要波及的,不只有人類,也不只有妖鬼,這是八岐大蛇對包括高天原神族所創造的整個世界的宣戰。

【鈴彥姫】

「最悪の場合、私たちはどうなる?」

在最壞的情形下,我們會面對什麽呢?

【荒】

「六道の扉が開き、七邪神が戻ってくれば、世界は再び善と悪の二つに分かれることとなろう。」

六道之門打開和七惡神的歸來會将世界重新分為善和惡的兩極。

【晴明】

「だが、純粋な善と純粋な悪…いずれも生命の本質ではない。「完全なる生命」とはそもそもがこの世で最も大きな自己矛盾を抱えるもの。両者が妥協なき対立點まで追い込まれれば―生命という概念は消え去るだろう。」

可是,純粹的善和純粹的惡都并非生命的本質,所謂完整的生命,本就是這世上最自相矛盾的東西,當二者被迫走到不可調和的對立面——生命的概念,會消失。

【神楽】

「しかし、須佐之男様は數千年もの間、行方が知れぬ。誰が我々とともに七邪神がもたらす災厄を防いでくれるというのか?」

可身為處刑之神的須佐大人已失蹤數千年,又有誰能幫助我們一起阻止七惡神帶來的災難呢?

【禦饌津】

「…荒様、高天原はどうしてこれまで須佐之男様の行方を公にしようとしなかったのですか?そして、天照様は一體いつ目覚めるのですか?月読様を探しに行く。六道の扉をどうやれば閉じれるのか、月読様なら知っているかもしれない。」

……荒大人,為何高天原到現在都不肯公布須佐大人的去向,而天照大人何時才會醒來?我要去找月讀大人,或許他知道該如何關閉六道之門。

【荒】

「禦饌津、先に皆とともに都に戻っていてくれ。」

禦馔津,你先随大家回京都。

【禦饌津】

「でも……!」

可是!

【荒】

「戻るんだ。」

回去吧。

禦饌津がまだ何か言おうとするが、鈴彥姫が引き止める。

禦馔津還想說什麽,然而鈴彥姬卻拉住了她。

【鈴彥姫】

「行きましょう。私からも少し話したいことがあるの。」

走吧,我也有些話要跟你說。

【黒晴明】

「大天狗、雪女。今回はつらい思いをさせてしまったね。」

大天狗,雪女,這一次委屈你們了。

【蟬氷雪女】

「自分がついていっているのが黒晴明様でないことに全く気づかないとは… 大天狗…君は途中で気づいたのに、わざと私に真実を伝えなかったのか?」

我居然,一直都沒有發現自己跟随的并非是黑晴明大人……大天狗,你是中途察覺,卻故意沒有告訴我真相嗎?

【大天狗】

「今回は大義のため、十分な數の仲間が必要だっただけだ。」

只是這一次為達成大義,需要足夠多的盟友罷了。

ここまで聞くと、幻術を使ったため力盡きていた帝釈天が急に立ち上がり、衆人を背にした破壊神の方へと歩いて行く。

聞言,因使用幻術而精疲力竭的帝釋天突然站了起來,朝着背向衆人的破壞神方向走去。

【帝釈天】

「紅蓮の破壊神よ…貴様は今もヤマタノロチの仲間なのか?」

紅蓮的破壞神……你仍舊是八岐大蛇的盟友嗎?

そこに巨大な霊神體が立ちふさがる。

然而巨大的靈神體卻擋在了他面前。

【阿修羅】

「私とヤマタノロチとの取引は天羽々斬を手にし、私自身の神性を打ち砕けば終わる。だが、天羽々斬は私の神性を抑え込むだけで、打ち砕くことはできなかった。これからも神性を打ち砕く手立てを探し続けねばならぬゆえ、私はあの邪神に手を貸すことも、奴らの仲間となることもない。」

我與八岐大蛇的交易,在拿到天羽羽斬,破壞我自身的神格就終止了。然而天羽羽斬只壓制了我的神格卻無法摧毀它,我将繼續尋找毀去神格的方法,因此不會再幫那邪神,但也不會加入你們。

【帝釈天】

「邪神と渡り合えるほどの強大な力を持ちながら、なぜその力をもってこの世界を変えようとしない?」

你有如此強大的力量,足以對抗邪神,為何不用這力量來改變這個世界?

【阿修羅】

「…全く、貴様はいつもそんなことばかり…。」

……你總是在說這樣的話。

【帝釈天】

「何だと?」

什麽?

【阿修羅】

「私の手にかかって命を落としたくなければ、二度と私の目の前に姿を現すな。」

你若是不想殒命在我手中,就不要再來找我。

【帝釈天】

「貴様を探し出してやる。貴様の本當の名前、そしてあの炎のような紅蓮…必ず探し出してやるぞ。」

我會找到你的,你真正的名字和那如火般的紅蓮,我一定都會找到。

【荒】

「晴明、先ほど二人で目にした天羽々斬が突然屈服した幻を覚えているか。」

晴明,你可記得,剛才你與我共同見到天羽羽斬一時倒戈的異象。

【晴明】

「覚えている。」

記得。

【荒】

「あの幻が世界を救うための最後の希望を示すものだとしたら?大陰陽師よ。世界のため、我を助け、この世で最も危険なる陣を完成させる用意はあるか。」

若我說,那異象就昭示着拯救世間的最後希望呢?大陰陽師啊,你可願意為了世界,而幫助我,完成一個這世上最為危險的陣法。

【晴明】

「詳しく聞こう。」

願聞其詳。

——數日後、晴明の庭院

——幾日後,晴明庭院

【晴明】

「こんな文様は見たことがない。それにこの法陣、どうやって展開すればいいのか…。」

我從未見過這樣的紋樣,甚至看不出該如何啓動這法陣。

【荒】

「これは高天原に伝わる秘術だ。展開するために必要なのは霊力ではなく僅有絶無の星辰の力、つまり天命の力だ。蛇神の裁きはこの世界にとって阻むことのできない終焉であり、この世の萬物の定めでもある。そのため、天命の力でなければそれを覆すことはできないのだ。そうは言っても…私にできることは、終焉の時が「この」世界に降りかからないようにすることだけだ。」

這是高天原獨有的秘術,啓動它所用的不是靈力,而是千年難遇的星辰之力,換言之,就是天命的力量。蛇神的審判是這個世界無法阻止的終結,也是世間萬物的天命,因此只有運用天命的力量才有颠覆它的可能。即使如此,我所能做到的,也就只有讓終焉之刻不降臨到「這個」世界罷了。

荒が細長い小箱を取り出す。開けると、中には金色の雷が舞う天羽々斬が入っていた。

荒拿出了一個狹長的木匣,打開匣子,裏面正是那把纏繞着金色閃電的天羽羽斬。

【晴明】

「荒、まさかお前は…」

荒,難道你……

【荒】

「ヤマタノロチはこの世の萬物を裁き、この世の萬物に終焉の審判を下す。これは邪神として変えられぬ天命だ。私たちは邪神の定めを変えることはできないが、この世の萬物の定めを変えようとしている。私は數千年も前に、天羽々斬の本當の持ち主から世界の運命を擔う約束をことづかっていた。晴明、もう一度聞こう。世界のため、この世で最も危険なる陣を完成させる用意はあるか―」

八岐大蛇審判世間萬物,并為世間萬物判下終焉,是身為邪神的他所無法更改的天命,我們無法更改邪神的命運,卻要更改世間萬物的命運。而早在數千年前,天羽羽斬真正的主人就授予了我,一個肩負世界命運的諾言。晴明,我再問你一次,你可願意為了世界,完成這世上最為危險的陣法——

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