第32章 昨日之境①宿命之逢

紅蓮華冕昨日之境①宿命之逢

宿命の邂逅

……鬼域の奧、善見城の近く

——鬼域深處,善見城附近

【煉獄茨木童子】

「くそ、腕の痛みが収まらない……まるで折られたようだ……鬼手の暴走など、いつ振りだろう。目覚めたらここにいた。鬼手が何かに召喚されて、私を連れて來たようだ。あの神の城へ……」

該死,我的手臂越來越痛了……仿佛是被人狠狠折斷了般……距離上次鬼手暴動有多久,我已記不清了,醒來後就被鬼手帶到了這裏。它像是受到某種召喚,要将我強行帶往那個地方。就是那座天神般的城池——

茨木童子が遠くを見る。そこにあるのは白銀の城……漆黒の鬼域で、聖なる光が輝く。

茨木童子望向遠方,那裏是一座銀白色的都城,如同漆黑鬼域中的一抹白,閃耀着聖潔無暇的光。

【煉獄茨木童子】

「事の発端は、鬼王の宴だった。三大鬼王が集う都の宴で、雲外鏡が突然終末を予言した。吸い込まれた都の霊力の行方と、鬼手に殘る暴走の精神力の殘片……すべては鬼域の天人を指していた。

事情的開端,要從鬼王之宴說起了。在那三大鬼王聚集京都的宴會上,雲外鏡突然預示了末日的征兆。根據京都靈力被吸取的流向,以及導致我鬼手暴動的精神力殘片——一切陰謀都指向了鬼域中的天人。

鬼族の未來のため、私は友と鬼域の奧へと向かったが、途中ではぐれてしまった。鬼手の度重なる暴走。自慢の力だったが、今は足手まといだ……いや、鬼手は私を支配しようとしている。だが無駄だ。私の力は私の強さのため、友のため、大江山のためにある。そう簡単に屈するものか!

為了鬼族的未來,我與摯友前往了鬼域深處,不料卻在途中失散。鬼手頻頻暴動。曾經我所引以為傲的力量,已然成了累贅……不,這鬼手想要掌控我,不過是癡心妄想。我的力量為我的強大而存在,為摯友而存在,為大江山而存在,我豈能輕易言敗!

今の手がかりは、遠くにあるあの城だけだ。あそこが天人の居場所に違いない。」

現在唯一的線索,就是遠方那座城池了,顯然那是天人的所在地。

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神聖なる白銀の城が、山々の頂に立っている。雲の上に浮かぶ天國のように、鬼域の終わりなき動亂を見下ろしている。

只見,神聖銀白的城池立于群山之巅,仿佛浮于雲端的天國,永恒地俯瞰着鬼域無窮無盡的刀山火海。

【煉獄茨木童子】

「何故殺伐とした鬼域の中に、こんな神聖な場所があるんだ?友はかつて、鬼域の中は至る所が烈火と氷に覆われていると言っていた。

為何這荒涼的鬼域之中,會有這般聖潔的地方?摯友曾說過鬼域內無處不是烈焰與寒冰。

ここに聳える壯大な城は、鬼族の手によって造られたものだとは思えない。言うなれば、天界から降りてきた聖地のようだ。これが夢ではないなら、可能性はただ一つ……天人の圧倒的な力が、鬼域に存在する。友はあそこへ向かったのだろうか。

這座城池聳立在此,恢弘的氣勢不像是鬼族手筆,倒仿佛天界降下的聖地。若這不是夢,那麽只有一個可能——那就是天人以壓倒性的力量,存在于鬼域中。摯友他,或許正是去了那裏。

私を尾行する輩共よ、出て來い!」

一直跟着我的家夥們,出來吧!

【藍爪鬼】靛爪鬼

「お前はどこから來た?この妖気の匂い、鬼域の者じゃないな。」

你是哪裏來的東西,這妖氣的味道,不像是鬼域的。

【翠甲鬼】

「よそ者め、勝手に迦樓羅様の領土に踏み入るな!」

外來鬼,迦樓羅大人的地盤你也敢冒犯!

【赤潮鬼】

「どこから來た鬼か知らんが、こいつの力とこの鎧は悪くない。捉えて迦樓羅様に獻上しよう。」

雖然不知他是哪來的鬼,不過這家夥的力量和這身铠甲不錯,不如把他捉去獻給迦樓羅大人。

【藍爪鬼】

「ひひひ、一緒にかかれ、ひひ……!」

嘻嘻嘻,那就一起上吧,嗷嗷——!

鬼族の大軍が、茨木童子を取り囲む。獲物を狩る悪鬼たちが獣のように唸る。

鬼族大軍一擁而上,将茨木童子重重包圍,看到獵物的惡鬼們像獸群般低吼着。

【煉獄茨木童子】

「こいつらは、大規模な軍隊となって動いている。友の言う通りだな。鬼域の者は皆好戦的のようだ。今の鬼手では、長くは戦えない。何とか突破口を見出し、短時間で決着をつけなければ!」

這些鬼族,竟組成了有規模的軍隊。看來摯友所說鬼域之民盡是些嗜殺好戰之徒,所言不虛。現在鬼手失常,無法持久戰鬥。得想辦法找個突破口,速戰速決!

十數人の悪鬼を薙ぎ倒した茨木童子を見て、悪鬼達が警戒し始めた。空から數羽の黒金巨鳥が現れ、茨木童子の弱點を見通したかのように、彼の鬼手を啄む。茨木童子は押されはじめ、黒金巨鳥はますます増えていく。

只見茨木童子出手掀翻了十數只惡鬼,惡鬼們逐漸警惕起眼前的獵物。空中卻飛來數只黑金巨鳥,像是識破了茨木童子的弱點,狠狠啄着他的鬼手。茨木童子逐漸落入下風,而聞訊追來的黑金巨鳥卻越來越多。

【煉獄茨木童子】

「こいつらは何なんだ?見た目は鴉に似ていて、群れになって襲ってくる。油斷すると、鬼手の鎖を狙ってくる。まずい、また鬼手が暴走し始めた……ぐあああ!こうなったら、言うことを聞かぬ厄介な鬼手など、捨ててしまおう!」

這些怪物到底是什麽東西?身形有如渡鴉,善飛且迅猛,更是一哄而上。我稍有疏忽,它們就試圖扯開鬼手的鎖鏈。不好,鬼手又開始暴動了……呃啊啊啊!既然如此,與其帶着這不肯聽命的累贅,不如舍棄它!

戦いの中、茨木童子が腕を切り落とそうとする。鬼手が引き裂かれる寸前……

血戰之中,茨木童子打算将手臂連根斬斷。眼看鬼手即将被撕裂——

【???(帝釈天)】

「やめなさい。」

停手。

【煉獄茨木童子】

「誰だ?」

誰?

【???(帝釈天)】

「やめるんだ、茨木童子。」

請停手吧。茨木童子。

【煉獄茨木童子】

「誰だ?なぜ私の頭の中で話している?」

你是誰?為何能在我的腦海中說話?

その直後、空から漆黒の巨大な影が降りてきた。いくつかの黒い觸手が振り下ろされ、地面に大きな衝撃を與える。地面が割れ、茨木童子を囲む鬼達が蹴散らされた。茨木童子が頭を上げると、黒い影が鬼の群れに突っ込み、鬼神の如く悪鬼たちを薙ぎ倒している。

緊接着,空中飛落下一個漆黑而高大的身影。數條黑色觸手直沖而下,彙聚成巨大的沖擊波砸入地面。頓時大地龜裂,茨木童子周邊的衆鬼被打散。茨木童子擡起頭,那黑影沖入鬼群,毫不費力地将惡鬼們撕碎如同戰神一般所向披靡。

【煉獄茨木童子】

「殺気まみれの黒いやつ、一體何者だ?」

這個充滿殺氣的黑色家夥,又是何方神聖?

【藍爪鬼】

「な、何なんだ、黒い觸手?離せ!助けて!ぐああああ……!」

這、這是什麽東西,黑色的觸手?放開我!你們快救我!呃啊啊啊啊啊——!

【翠甲鬼】

「引き裂かれてしまった!なんて恐ろしい力だ!どうやらここまでのようだ、逃げろ!」

竟然被直接撕碎了!這是怎樣可怕的力量!大家不要戀戰,快逃!

【???(阿修羅)】

「ふん……逃げるつもりか?」

呵……想逃?

【金翅鳥甲】

「あああああ!間に合わない!」

啊啊啊啊啊!來不及了!

【???(阿修羅)】

「首を締め付けられて、もがけばもがくほど苦しくなる気分はどうだ?」

被纏住脖子,越掙紮越痛苦的滋味如何?

【金翅鳥甲】

「ぐああ……私に構うな!はやく逃げろ!」

唔啊啊……別管我!你們快逃!

【翠甲鬼】

「私を援護しろ!戻って迦樓羅様に報告せねば!あああ!!足が!よくも私の足を!許さん!」

所有人掩護我!我要回去複命,告訴迦樓羅大人!啊啊啊!!我的腿!你竟然砍斷我的腿!不可饒恕!

【???(阿修羅)】

「逃げれるなら逃げてみろ。」

我倒要看看你怎麽跑。

逃げようとした鬼族は、全員觸手に引き裂かれた。

想要逃走的鬼族盡數被觸手撕成碎片。

【???(帝釈天)】

「阿修羅、全員殺すのはだめだ!」

阿修羅,記得留活口!

【阿修羅】

「面倒くさいな、帝釈天。」

帝釋天,你倒是麻煩。

【煉獄茨木童子】

「こいつらは一體……」

這兩個家夥究竟……

茨木童子の鬼手に一輪の白蓮が咲き、暴走が鎮められた。

一朵白蓮在茨木童子的鬼手上綻放開,鬼手的暴動瞬間平息了。

【煉獄茨木童子】

「どういう事だ、この花は?痛みが吸い取られたかのように、花が咲いた途端、痛みが和らいだ。」

這蓮花是怎麽回事?仿佛将我的苦痛吸走了,花一綻放,痛苦頓時減輕了。

白い服を着た人影が茨木童子に近づき、手を差し伸べた。

不遠處,穿着白衣的身影向着茨木童子走來,他向茨木童子伸出了手。

【帝釈天】

「はじめまして、遠くから來た友人、茨木童子よ。私は帝釈天という。」

初次見面,遠道而來的朋友,茨木童子。我叫帝釋天。

【煉獄茨木童子】

「さっきの花はお前の術だな。私の頭の中で話していたのもお前か。何者だ?なぜ我が名を知っている?」

剛才那蓮花是你的法術吧,你還在我的腦海裏說話。你到底是何人?又從哪裏聽說了我的名號?

【帝釈天】

「こうして會うのは初めてだが、あなたの事は色々知っている。あなたが探している友人はこの方でしょう。」

雖說是初次見面,我卻是知道不少你的事情。想必這位就是你尋覓多時的友人了。

【鬼王酒呑童子】

「どこから聞いたんだと思うよな?俺が話したんだ。」

還能是從哪聽來的?當然是我說的。

【煉獄茨木童子】

「……友!」

……摯友!

【帝釈天】

「ふふ、友人との再會だ。無理もない。あなた達と同じように、あの黒き闘神は私の友……阿修羅だ。」

呵呵,摯友相見,盛情難卻。和你們一樣,那位黑色戰神也正是我的友人——阿修羅。

【煉獄茨木童子】

「阿修羅とはさっきのイカれたやつか?亂暴な戦い方だった。」

阿修羅是剛才那看起來很嗜殺的家夥嗎?他的戰鬥方式還真是暴力。

【鬼王酒呑童子】

「茨木童子、どうして追ってきたんだ。新しくできた酒友に、もっとお前の悪口を言っておけばよかったな。」

茨木童子,早知道你這麽不聽話非要追來。我就該對着新結交的酒友,多說說你的壞事。

【煉獄茨木童子】

「なるほど、彼らが新しくできた酒友というわけだな?友に相応しいか試させてもらおう!」

原來他們是摯友新結交的酒友?那我可要考一考他們夠不夠格!

【帝釈天】

「……酒は苦手だ。勘弁してくれ。」

……我不善飲酒,還請你手下留情。

【煉獄茨木童子】

「酒呑童子の酒友である以上、只者ではあるまい。謙遜するな、戦績を言え!」

既然是酒吞童子的酒友,肯定不是等閑之輩,不要妄自菲薄,報上你的戰績來!

【帝釈天】

「遠くから來た友人達よ、私の話なら、あとでいくらでもできる。今は目の前の敵に集中しよう……あれ?敵は?しまった、阿修羅……!何人か生かしておけと言ったはずだ。また皆殺しにしたのか!金翅鳥の情報を聞き出せないじゃないか。」

兩位遠方的朋友,若要聽我的故事,之後有的是時光。現在還是讓我們面對眼前的敵人吧——

啊?敵人呢?糟了,阿修羅……!之前和你說好要留活口,你這是又把敵人都殺光了!這下可怎麽探聽金翅烏的情報。

【阿修羅】

「まあ落ち着け、一匹生かしておいた。」

急什麽,我這不是給你留了一只。

【金翅鳥甲】

「ううう~~~うう!う~~!」

嗚嗚嗚~~~嗚嗚!嗚~~!

阿修羅が捕虜の金翅鳥を連れてきた。

阿修羅扛着俘虜的金翅烏走來。

【帝釈天】

「いきいきしているね。」

這只金翅烏倒是活蹦亂跳。

【煉獄茨木童子】

「帝釈天、何を?」

帝釋天,你這是要?

【帝釈天】

「見ての通り、読心術で金翅鳥一族の情報を探るんだ。我々は天人一族の城である善見城を守る戦士だ。善見城の侵略を企む強敵がいる。それが迦樓羅が率いる金翅鳥と鬼族の軍隊だ。

如你所見,我要以讀心術探知金翅烏一族的情報。我們是共同為天人一族守護都城·善見城的戰士。而當下侵略善見城的勁敵,正是迦樓羅率領的金翅烏及鬼族軍隊。

私は友の阿修羅と共に戦い、數年が経った。私の力は心霊共感だ。戦闘には向かないが、情報偵察や、他の戦士達を遠くから支援するのに向いている。そして阿修羅は天人一族內で最強の能力を持っている。戦場で彼に勝てる者はいない。我が一族に名を馳せる闘神だ。そして私は彼の補佐役だ。」

我與畢生摯友阿修羅并肩作戰,我們一同征戰數年。我的能力是心靈共感,雖然無法戰鬥,但可偵察情報,在戰場上遠距離支援其他戰士。而我的友人阿修羅有着天人一族最強大的能力,骁勇善戰,所向披靡。正是我族中赫赫有名的戰神。我如今擔任他的副手。

【阿修羅】

「戯けたことを言う。戦になれば俺よりずっと無茶するくせに、補佐役だなどと。」

別聽這家夥胡說。一聽說要打仗比我還不要命百倍,有你這樣的副手那還得了。

【帝釈天】

「はは、酒はまだなのに、阿修羅はすでに酔っているみたいだ。人の前で私を冷やかすなんて。」

呵呵,吾友阿修羅今日還沒喝酒就已經醉了,竟然當着外人的面數落我。

【阿修羅】

「お前の傷はまだ癒えていない。なのに勝手に抜け出して。次こんなことをしたら杖刑二十回だ。しかし、捕虜に話す気がない以上、お前に頼るしかない。」

你有傷未愈,不讓你來還偷跑過來。再有下次,我就罰你二十軍棍。也罷。既然來了,這俘虜不肯開口,剩下就靠你了。

【帝釈天】

「皆、靜かにしてください。」

請諸位暫時保持安靜。

帝釈天が金翅鳥の頭に手を置くと、その手に蓮が咲いた……帝釈天の頭の中に、情報が流れ込む。しかし金翅鳥が口の中に隠していた毒を飲み、一瞬で泡を吹いた。帝釈天も冷や汗をかいている。

帝釋天将手掌放在被俘的金翅烏頭頂,一朵蓮花從他手中生出——情報逐漸通過蓮花流入帝釋天的腦海中。誰知金翅烏一口吞下口中藏着的毒藥,轉瞬就口吐白沫抽搐起來。帝釋天也随之留下陣陣冷汗。

【帝釈天】

「……金翅鳥が毒を飲んで自殺しようとしている。ゴホッ……痛い……」

……這金翅烏在吞毒自盡。咳……好痛……

【煉獄茨木童子】

「どうした?」

你是怎麽了?

【阿修羅】

「おい、帝釈天、大丈夫か。こいつは心霊共感を使う時、相手の五感と同調する。金翅鳥が死ぬ時の苦痛を體験したはずだ。」

喂,帝釋天,你還好吧。這家夥使用心靈共感時,會和對方的五感同步。他會體驗到金翅烏死亡的痛苦。

【帝釈天】

「阿修羅、私は平気だ……ゴホッ……皆……靜かに……まだ迦樓羅の情報をつかめていない。瀕死の者の思考を読み取るのには高い集中力が必要だ……邪魔しないでくれ。」

阿修羅,我沒事……咳……請你們……稍安勿躁……我能在他死前抽取有關迦樓羅的情報。但讀取瀕死之人的心智十分費神……務必不能打斷我。

その時、數十人の悪鬼が殺到し、皆を取り囲んだ。

就在這時,數十名惡鬼援軍趕到,将幾人包圍起來。

【大食い猛鬼】巨食猛鬼

「ひひひ、この村はこの前潰したはずだが、こいつらは生き殘りか?」

嘿嘿嘿,最近才殺完了前面的村子,這幾個家夥是漏網之魚嗎?

【翠甲鬼】

「上等だ、俺達に會ったが運の盡きだ!」

豈不正好,得來全不費功夫,倒是便宜了我們!

【赤潮鬼】

「ははは、殺してやる!」

哈哈哈,殺了他們!

【帝釈天】

「ゴホ、今日は……ついてないな……これでは……間に合わない……」

咳、今天……真是不巧……難道……沒法完成嗎……

【煉獄茨木童子】

「こいつらのせいでうまく読み取れないのか。」

這些追兵會打擾到讀心。

【鬼王酒呑童子】

「次から次へと。茨木童子を助けてくれた借りがある、力を貸そう。」

一波未平一波又起,本大爺看在你們救了茨木童子的份上,願出一份力。

【阿修羅】

「手出し無用だ。俺がやる。」

你們不必出手,我來就行。

【鬼王酒呑童子】

「強がってる場合か。帝釈天は動けねえし、お前を助けることもできねえ。」

這可不是逞強的時候,帝釋天不能行動,更不能助你。

【阿修羅】

「直接やり合うと騒々しくなる。彼を邪魔しないためにも、これが最善だ。」

若是直接肉搏,響動必然不小。為了他不受幹擾,我的方式是最有效的。

一瞬で、何本もの黒い觸手が現れる。長い觸手が風の如く、そっと悪鬼たちの息を止めた。

帝釈天に近づく悪鬼が次々と殺された。悲鳴を上げる隙もなく、觸手に喉を貫通される。

一瞬間,數條黑色觸手暴漲。修長的觸手仿佛迅捷的風,掃過的地方,惡鬼們悄無聲息地死去。任何要靠近帝釋天的惡鬼都被一個個殺死,在他們發聲前已被觸手捅穿了喉嚨。

【帝釈天】

「ふう……終わった!」

呼……完成了!

【煉獄茨木童子】

「流石だな。」

你們可真是配合默契。

【阿修羅】

「これが俺達のやり方だ。帝釈天が動けなくなっても、俺は側にいる。しかし、恐らくこの辺りの兵士達は、既に俺達に気づいているだろう。迦樓羅に報告されてはまずい、悪鬼を生きて返してはならない。全員殺す。」

這就是我們二人的合作之道。哪怕他不能行動,也能随時同在。不過,我們恐怕已經驚動了這一帶的駐兵。為防止他們通報迦樓羅,這群惡鬼不能活着回去。我要殺光他們。

【帝釈天】

「……阿修羅。」

…….阿修羅。

【鬼王酒呑童子】

「(こいつ……)お前らの連攜は、確かに素晴らしい。友と肩を並べて戦う以上に気持ちいいことはねえ。そうだろう、茨木童子?」

(這家夥……)你們一動一靜,确實天衣無縫。然而要我說,沒有比和友人并肩作戰更爽快的事。茨木童子,你怎麽看?

【煉獄茨木童子】

「その通りだ!」

摯友所言甚是!

【鬼王酒呑童子】

「かかれ!皆殺しだ!」

一起上!不留活口!

力を合わせて金翅鳥の追手を始末した後、一行は善見城に向かう。

并肩作戰解決了金翅烏的追兵後,一行人打算前往善見城。

……善見城、城內

——善見城,殿內

【帝釈天】

「天人の都……善見城へようこそ。ここでしばし休憩しましょう。茨木童子の鬼手が暴走したのは、鬼手に天人の霊神體の欠片が宿っていたからだ。私が取り出したので、じきに回復するでしょう。」

歡迎諸位來到天人的都城——善見城。請在這裏稍作休整。茨木童子之所以受鬼手暴動之苦,是因在鬼手之中,寄宿着一枚天人的靈神體碎片。如今我已經将其取出,不日就能平複了。

【煉獄茨木童子】

「天人の霊神體?」

天人的靈神體?

【帝釈天】

「そういえば、まだ話していなかったな。我々天人一族は、精神力で操る霊神體を生まれた時から持っている。それは心と精神の力、我々の魂の源。天人は皆それぞれ異なる霊神體を持っている。強い霊神體は、武器として用いることもある。それは先天的なものだ。

對了,還未與你們介紹過呢。我們天人一族,每個人生來都伴有由精神力所操控的靈神體。這是心靈和精神的力量,也是我們的靈魂本源。每個天人的靈神體都各不相同,有的極為強大,可以用作武器。是先天決定的。

私の霊神體がさっき使った蓮は、心霊共感の力を持つ。阿修羅のものは最強の武器で、どんな形にも変えられるらしい。まあ……今のがお気に入りみたいだけれど。霊神體が傷つくか、融合、破裂、あるいは天人が死ぬと、欠片が分離される。鬼手に宿っていた欠片は、亡くなったとある強い天人のものだと思う。」

我的靈神體就是剛才使用的蓮花,能力是心靈共感。而阿修羅的則是最強武器,據說可以變成任何形态。不過……他可能是喜歡目前的樣子吧。靈神體若是受傷、融合、破裂,或是天人死去,就會分離出碎片。我猜測,寄宿在鬼手中的碎片可能就是源自某位已故的強大天人。

【煉獄茨木童子】

「天人一族は鬼族とはかけ離れた存在だ、なのになぜ鬼域に?」

聽來天人一族和鬼族相距甚遠,為何會居住在鬼域裏?

【帝釈天】

「本來天人一族は、忉利天で暮らしていた。しかし統治者が無能だった故、忉利天は零落してしまった。我々の先祖は、忉利天を捨てて鬼域にやってきた。善見城を造り、鬼域の住民となった。鬼域では鬼達が橫行跋扈し、戦争なんて日常茶飯事だ。争いは止むことを知らず、今に至った。」

天人一族原本居住在忉利天,因統治者昏聩貪婪,使故土忉利天衰敗。我們的先祖放棄故土來到鬼域,修築善見城,從此天人也就成了鬼域的住民。鬼域中群鬼厮殺,混沌無序,鬼族與我們戰事不斷,戰火從不曾停歇,直至今日。

【煉獄茨木童子】

「君達のような戦士が居れば、天人が鬼域で領地を得るのも難しくないだろうな。」

有你二人這樣的戰士,想必天人在鬼城中贏得一席之地絕不是難事。

【阿修羅】

「お前達は鬼族なのに、なぜ天人に肩入れする?」

你們本就是鬼族,為什麽反倒替天人說話?

【鬼王酒呑童子】

「鬼族だって一枚岩じゃねえ。鬼として生まれた者もいれば、鬼に成り果てた者もいる。神も仏も例外じゃねえ。鬼に堕ちた者はいくらでもいる。天人の霊神體が鬼族に宿ることもある、天人が鬼に成り下がることがあってもおかしくねえだろう。

鬼族非是一族,而有百樣,有生來就是鬼的,也有生來是他族,之後堕入鬼道的。連神佛都不能免俗,堕入鬼道的大有人在。既然天人的靈神體碎片能寄宿在鬼族身上,那想必未嘗沒有天人堕鬼的時候。

鬼族にも色々いる。まとまることなんてねえ。唯一の共通點と言えば、力を欲するならず者ってことくらいだ。弱肉強食、世の理だ。もし天人が我が大江山の鬼を皆殺しにしようというなら、そんなことは俺様が決して許さん。」

鬼族各有淵源,自古以來就是一盤散沙,唯一的共同點就是離經叛道,崇尚力量。強者的掠食,何錯之有?當然若有朝一日天人要将我大江山的鬼衆趕盡殺絕,本大爺可是不答應的。

【阿修羅】

「それでも殺すと言ったら?」

若我偏要趕盡殺絕呢?

【鬼王酒呑童子】

「はははは!その時はお前が鬼に堕ちたことを祝ってから倒すさ。」

哈哈哈哈!那我只有先恭賀你堕入鬼道,然後再與你一決高下了。

【帝釈天】

「阿修羅、二人は客人だ、それにこれから共に戦う仲間でもある。我々と共に鬼族を討伐してほしい。やつらの最大の拠點、鬼域の深淵にある竜巣城を落とすんだ。あそこが迦樓羅が率いる悪鬼の巣だ。落とせば、天人と鬼族の争いは終わる。今日我々が金翅鳥から得た情報はすでに、天人の正規軍の皆に知らされている。十日以內に決行される。」

阿修羅,這兩位是客人,也将會是和我們并肩的戰友。我正是想邀請二位一同迎戰鬼族,拿下他們最大的據點,鬼域深淵後的龍巢城。那裏是迦樓羅統領的惡鬼聚集地。若能蕩平,定将終結天人與鬼族的戰事。今日我們從金翅烏之處探知的情報,天人的正規軍已人盡皆知。不日十天衆就會征兵開戰。

【煉獄茨木童子】

「なんで俺達が天人の手助けをしなきゃならねえんだ?」

我們又為何要幫天人征讨深淵?

【帝釈天】

「私は貴族の生まれだが、正規軍の兵権は十天衆の手にある。」

我雖是貴族之子,但天人的正規軍兵權僅掌握在十天衆之手。

【阿修羅】

「鬼族との戦に対して十天衆は消極的だ。善見城の辺境が落とされても、見て見ぬ振りをしていた。」

十天衆對鬼族戰事消極懈怠,對善見城邊境淪陷不聞不問。

【帝釈天】

「私達が「翼の団」という民兵団を率いて、辺境の鬼族を撃退し、領地を取り戻した。今阿修羅は翼の団の総帥、天人の闘神であり英雄だ。だが十天衆と翼の団の関係は微妙だ。私達を非難しようとするばかりで、戦いは見過ごされている。千年続いた戦争を終わらせるためには、戦力が必要だ。」

于是我們帶領着名為「翼之團」的民兵團,在邊境擊退鬼族,拯救陷落的城莊。如今阿修羅正是翼之團一軍統帥,天人的戰神和英雄。但十天衆與翼之團關系微妙,拼命要抓我們的錯處,更對征戰置之不理。要徹底終結這千百年的戰争,我們就需要更多的戰力。

【煉獄茨木童子】

「十天衆とは何だ、全く緊張感がない。もしかして、さっき言っていた天人の強者か?」

這十天衆又是什麽人,競管得如此之寬,莫不是你剛才所說的,天人中的強者?

【阿修羅】

「強者なんかじゃない。貴族の身分だけが取り柄の、ただの間抜けどもだ。あいつらのせいで天人は故郷である忉利天を失い、鬼域に落ちた。なのに外敵に妥協し、民の命を顧みず、真の強者を恐れている。腐った十天衆を玉座から引きずり下ろさない限り、天人に繁栄は訪れない。」

他們不是什麽強者,不過是一群靠貴族身份上位的庸才。本就是讓天人失去故土忉利天,跌入鬼域的罪魁禍首。卻一再對外敵妥協,罔顧平民性命,又懼怕真正的強者出手。要将迂腐的十天衆取而代之,天人才能迎來盛世。

【鬼王酒呑童子】

「まさに內憂外患だな。そういうことなら、戦が終わらないのも納得できる。本當に勝つためには、內亂をおさめ、貴族を徹底的に潰さなければ。」

看來天人一族實則是內憂兼具外患,如此一來也難怪戰事難以平息。想要真正打贏這場仗,要先平定內亂,将道貌岸然的貴族連根拔起才是。

【阿修羅】

「ああ、鬼族だけでなく、十天衆も片付けるんだ。今まで贅沢三昧してきた貴族の首を、酒杯代わりにしてやる。」

不錯,我不僅要平定鬼族之戰,還要将十天衆解決。用那些養尊處優的貴族頭顱,盛酒豪飲。

【帝釈天】

「阿修羅は用が済んだら私を殺すつもりだったのか。」

原來阿修羅竟是想将我用完就殺。

【阿修羅】

「ん?お前には貴族らしさのかけらもないから、お前の出身を忘れるのも無理はないよな。」

哦?你這家夥亳無貴族的禮數,讓人偶爾忘了你的出身,也是情有可原。

【鬼王酒呑童子】

「帝釈天は貴族なのに、なぜ自らこのような苦行に身を投じるんだ?」

帝釋天明明身份高貴,卻自甘落入眼前這樣的絕境來,又是為了什麽?

【帝釈天】

「阿修羅と同じだ。天人一族の未來のためさ。」

自然和阿修羅一樣,是為了天人一族的未來。

【煉獄茨木童子】

「ふん、つまらんやつめ。」

哼,無趣的家夥。

【帝釈天】

「まあ、貴族だって良いことばかりではないさ。口を慎まない者に対して腹が立っても、我慢していた。」

哎,貴族出身也不乏壞處,教養太好,有時面對那些口無遮攔之徒,我也真想發發脾氣。

【鬼王酒呑童子】

「大目に見てやれ。人の心を読み取れるお前なら、率直な人のありがたさが良くわかるはずだ。気分を害したのなら、謝る。」

不要這麽小氣,你這樣能讀取人心之人,肯定更清楚直率之人的難能可貴。如有冒犯,我酒吞童子在這裏就給你賠個不是。

【阿修羅】

「まったくだ。戦は偽りを厭わない。噓をつくのは簡単だが、真心は大切だ。騙していいのは敵だけ。友人なら、全て打ち明けるべきだ。」

說的正是,俗話說兵不厭詐,粉飾的謊言容易,赤誠之心卻難得。可見謊言是留給敵人的,既然是朋友,就更該坦誠相見。

【帝釈天】

「……友人にだって、隠し事くらいあるさ。逆に友人だからこそ、隠さなければならない事もある。酒呑童子、本當に詫びる気があるなら、私達と共に竜巣を討伐してくれないか。」

……就算是朋友,也難免有隐瞞的事。倒不如說正因為是朋友,有時才會有不得不隐瞞之事。不過如果酒吞童子真的想要賠罪,不如加入我們,随我和阿修羅一同征讨深淵後的龍巢。

【鬼王酒呑童子】

「竜巣ってのは、今日茨木童子を襲った鬼族どもの集まる場所か?」

龍巢就是今天襲擊茨木童子的鬼族聚集地?

【帝釈天】

「その通りだ。竜巣城と善見城は、深淵で隔てられている。深淵こそが、善見城を攻めてきた鬼族の巣だ。周辺の町は略奪され、破壊され、人々が苦しんでいる。迦樓羅が率いる金翅鳥は、優れた飛行能力を持つ。深淵の地形の利もあり、竜巣城は難攻不落となった。二人の協力を得て迦樓羅を倒し、竜巣を落とし、金翅鳥と鬼族を殲滅することができれば。天人の戦争はおさまる。私と阿修羅は城に戻り、十天衆の隙を狙う。」

正是。龍巢城與善見城之間隔着深淵,深淵正是這一帶進攻善見城的鬼族巢穴。附近的城莊常被掠奪殺戮一空,深受其苦。迦樓羅所統領的金翅烏一族善飛行,憑借深淵的地勢之利,使龍巢難攻不落。如果這一戰二位能助我們一同打敗迦樓羅,拿下龍巢清剿金翅烏與鬼族。天人的戰事定能緩和,我與阿修羅就能班師回城,找尋十天衆的破綻。

【煉獄茨木童子】

「待て……」

慢着……

【鬼王酒呑童子】

「いいだろう、俺と茨木童子はちょうど暇を持て餘してるしな。茨木童子を助けてくれた借りもある。迦樓羅ってやつを倒してやろう。」

這自然是沒問題,我與茨木童子正好閑來無事。你幫助了我的友人,我自然也要代為道謝。不如我們就陪你們去會一會這迦樓羅。

【帝釈天】

「ありがとう。今日の用は済んだし、二人は翼の団本営で休んでください。私と阿修羅は先に失禮する。」

感謝二位遠道而來的朋友,今日諸事已畢。二位可移步翼之團本營休息。我與阿修羅先告辭了。

……善見城、翼の団本営

——善見城,翼之團本營

【煉獄茨木童子】

「なぜあの二人の頼みに応じた?暇どころか、差し迫った事態のはずだ。他族の争いに関わっている場合か。」

摯友為何會答應他們二人?你走時十分匆忙,分明是事态緊急,又怎麽會是閑來無事,來插手他族的戰事。

【鬼王酒呑童子】

「鬼域に入ってから、霊力の流れが異常だと感じた。流れを辿ってみたら善見城を見つけ、二人に出くわした。阿修羅と帝釈天は、どうやって鬼域深淵を攻めるか議論していたな。都の霊力はあの深淵に流れ込んでいる。あの二人がいなくても、行ってみるつもりだった。」

我進入鬼域後沒多久就感到了靈力流動不同尋常。順着流向一路找到善見城,偶遇了他們二人。阿修羅與帝釋天當時就在商議進攻鬼域深淵。那萬丈深淵正是京都靈力流向之地。即使沒有他們二人,我也要去一探究競。

【煉獄茨木童子】

「友なら、同行者は不要だと思うが。」

以摯友你的本領,大可不必與人同道。

【鬼王酒呑童子】

「便宜上彼らを助けると言っただけだ、お前も來たしな。今までのやり取りを見た感じだと、あの二人の目的は戦争を鎮めるだけじゃねえ。あの二人のどちらかが、霊力を操る張本人かもしれん。」

本大爺自然不是來給他們做幫手的,更何況你也已經來了。只是這一路走來,我感到這二人的目的,恐怕并非是平息戰火這麽簡單。或許他們之中,正有着操控靈力的罪魁禍首。

【煉獄茨木童子】

「もしかして阿修羅は、本當に十天衆を殺し、鬼域をおさめる王になろうとしているのか?」

難不成那名為阿修羅的天人,真的想要手刃十天衆,血洗鬼域,自封為王?

【鬼王酒呑童子】

「斷言するにはまだ早い。それに、彼の友人も只者じゃねえ。そういえば、善見城は見た目は凄いが、中はどうなっているんだろうな。茨木童子、天人一族の酒を飲むのに付き合ってくれ!」

現在斷言是他還為時過早,我看他的那位友人也不是等閑之輩。不過既然來了,這善見城從外面看着氣宇軒昂,不知道裏面究竟怎樣。茨木童子,陪本大爺去嘗嘗這天人一族的酒!

【煉獄茨木童子】

「もちろんだ!」

那是自然!

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