第45章 地獄挽歌⑥噬罪
天魔歸來地獄挽歌⑤舊憶
記憶
聖蓮池には結界が張られているようだ。暗い血の池から水の音が聞こえるが、池の底は見えない。
聖蓮池上似乎布置了結界,黑暗的血池中傳來水聲,但卻無法讓人看清水底。
【鬼王酒呑童子】
「陣眼を破壊するには蓮花が必要だと言ってたな。いくつもあるが、どれにする?」
你之前說打破陣眼要靠找到一株蓮花,我看這裏到處都是蓮花,不知道是哪一株?
【阿修羅】
「物は試しだ。」
試試便知。
阿修羅は池の端へ行き、血蓮を摘もうとした。花びらに觸れる前に、眩しい光に遮られた。光が消えると、阿修羅はまだ聖蓮池の前に立っていたが、時間が晝に切り替わっていた。聖蓮池の水は透き通っており、池の端に白い蓮花が咲いている。しかし酒呑童子の姿はない。
阿修羅走上前,想要摘取池邊的血蓮,然而還未觸及花瓣就被一陣白光打斷。白光散去,阿修羅仍在聖蓮池前,時間卻切換到了白晝。聖蓮池水清澈見底,池邊也開滿了潔白的蓮花,酒吞童子卻不知去向了。
【阿修羅】
「陣眼はまだ破壊されていない。別の夢に飛ばされたのか。晝の神殿は神々しく、善見城は平和だな。王になったあいつの目に、城はこんな風に映っているのか?肝心の蓮花は恐らく、前と同じ、帝釈天のところにあるはずだ。」
這陣眼未被打破,看來我是來到了另一個夢境。白晝時的神殿高高在上,善見城安寧祥和,那家夥當上了王以後,看見的就是這樣的景象嗎?恐怕那株夢境關鍵的蓮花,和之前一樣,亦跟随着帝釋天本人。
……聖蓮池の北、帝釈天の玉座前
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——聖蓮池以北,帝釋天的王座前
【毘瑠璃】
「お待ちください。あなたは何者ですか?」
請留步,你是何人?
【阿修羅】
「俺に名はない。」
我無名無姓。
【毘瑠璃】
「なぜ帝釈天様の玉座に?」
為何前去帝釋天大人的王座?
【阿修羅】
「辺境にあった家が、戦に巻き込まれてなくなった後、俺は帝釈天に拾われた。」
家本在邊境,被戰事所毀,後被帝釋天收留。
【毘瑠璃】
「帝釈天様は慈悲深く、助けた人は數多くいます。恩返しするおつもりなら、お引き取りください。家をなくした民のために、帝釈天様は家を再建する資金を用意しております。」
帝釋天大人慈悲,被他收留的人無數,如果你是想要留下報答恩情,大可不必。大人已為流民準備了返鄉的隊伍,願返鄉者每人皆可領重建家園的錢財。
【阿修羅】
「帝釈天は數え切れないほどの人々に恩恵を施している、誰に施したかなんて一々覚えていない。でも俺は違う。戦場だろうと拠點だろうと、俺はあいつとずっと一緒だった。王になったとは言え、俺を拒むわけがない。信じられないなら、あいつに確かめてもらおう。」
帝釋天的恩惠太多,自己也記不住給了誰。可我不同,過去無論是戰場還是營地,他從來都與我同在,就算當了新王也斷沒有不見我的道理。不信,我和你去問他?
【毘瑠璃】
「……天域復興のために、王は盡力なさっています。些細なことで邪魔するわけにはいきません。」
……天域百廢待興,新王殚精竭慮,就不為這等小事去打擾他了。
【阿修羅】
「そうだな。毘瑠璃様がここいるってことは、報告があるんだよな。急いだほうがいいだろう、新王のところへ案內しよう。」
說的正是,毗琉璃大人到了這裏,定是有要事禀報,事不宜遲,讓我帶你去觐見新王。
二人は王宮に入った。帝釈天は政務に沒頭していて、毘瑠璃が目の前に跪いても顔を上げることはなかった。
二人進入王殿,帝釋天正端坐在王位上處理城中事務,毗琉璃跪下在他座下也不曾擡頭。
【毘瑠璃】
「帝釈天様、ご報告があります。」
帝釋天大人,有軍情上報。
【帝釈天】
「なんだ。」
講。
【毘瑠璃】
「瑠璃城は鬼族の侵略を受けており、城主蘇摩が支援を求めています。」
琉璃城戰報,近日城外有鬼族軍隊侵擾,城主蘇摩大人請求善見城出兵支援。
【帝釈天】
「數は。」
人數如何。
【毘瑠璃】
「姉様の話によると、前回の侵入に比べて數は劣っていますが、あの時の相手とは違うようです。きちんとまとまっていて、口數少なく、それに……死を全く恐れていないようです。」
據姐姐所說,這批鬼族軍隊人數并不如之前鬼族入侵時的兵力,但和往日遇到的鬼族十分不同。他們紀律統一,少言寡語,而且……而且仿佛絲毫不顧自己性命。
帝釈天がついに顔を上げた。阿修羅は俯いて後退し、衛兵の列に紛れる。帝釈天は彼に気づいていない。
帝釋天終于擡起頭來,阿修羅低下頭退進侍衛之列,然而帝釋天似乎并未認出他。
【帝釈天】
「天域辺境の鬼族は粛清されたばかりだ。もしこんな軍隊が瑠璃城外に潛伏していたのなら、私が知らないわけがない。情報は確かなのか?」
天域邊境的鬼族剛剛肅清,若是藏了這麽一支軍隊在琉璃城外,我怎會不知道,會不會是謊報軍情?
【毘瑠璃】
「姉様と帝釈天様の間には誤解がありましたが、噓の情報を流したりはしません。」
姐姐她雖然和帝釋天大人有些誤會,但絕不會謊報軍情。
【帝釈天】
「それもそうだな。あなたは瑠璃城城主の座を捨てて、善見城に來たんだ。彼女も馬鹿な真似はしないだろう。善見城の兵を集めてくれ、私が兵を連れて瑠璃城に向かう。」
也是,你已離開琉璃城主之位,在善見城任職,她不會罔顧你的安危。集結善見城兵力,我将親自領兵前往琉璃城。
帝釈天が命令を下した後、阿修羅は王宮を出た。将兵達に紛れ込み、軍と共に瑠璃城へ向かった。
帝釋天的命令下達後,阿修羅從王殿離開,潛入了随軍的将士裏,跟着大軍一起前往了琉璃城。
【天人の将士甲】
「終わったばかりなのに、また戦争か。鬼族は一體どれだけいるんだ?」
這才多久,就又出征了,這鬼族軍難道是打不完的嗎?
【天人の将士乙】
「鬼族との戦争で、既に多くの兵士が死んだ。我々は今回、勝つことができるだろうか。」
平定與鬼族的外戰已耗費不少兵力,這一趟我們不知還能不能勝利。
【毘瑠璃】
「帝釈天様を信じましょう、きっと勝てます。」
帝釋天大人仁慈英明,定會大勝而歸。
【天人の将士甲】
「帝釈天様、瑠璃城の近くに到着しました。」
大人,我們已到了琉璃城附近。
【帝釈天】
「脇道を使おう。森をゆっくり抜けて、気づかれないように瑠璃城へ進軍する。」
抄小路,在林中緩慢接近琉璃城,不要讓人發現。
【天人の将士甲】
「はっ!」
是!
軍は脇道経由で瑠璃城の外に到着し、森の中に潛伏している。鬼族の軍が瑠璃城を囲んでおり、城壁を攻撃し、侵入しようとしている。
一行人抄小道到了琉璃城下,潛伏在樹林中。只見,琉璃城下已聚集了一支鬼族軍隊,将琉璃城層層圍住,并不斷進攻城牆,試圖突入。
【帝釈天】
「蘇摩が言っていたのは事実のようだ。」
看來蘇摩所說的軍情确實并非謊言。
【毘瑠璃】
「姉様は噓をついたりなんかしません。強がりの姉様が助けを求めるくらいです。きっと苦戦しているのでしょう……城の民達は大丈夫かしら。」
姐姐是不會欺騙我們的,她為人要強,既向我們求救,一定是已苦戰多日……不知道城中的百姓是否還安好。
【帝釈天】
「大丈夫だろう。前回の陥落を経て、瑠璃城の壁は強化された。やつらがまだ外にいるということは、城內はまだ無事だ。少なくとも、食料が殘っているうちは。しかしこの鬼族達は、鬼爪がとっくに血まみれになっているのに、城壁への攻撃を止めない。城壁に付いてる血から察するに、こうしている鬼は少なくないのだろう。力盡きて死んでしまったやつもいる……」
你先別擔心,琉璃城的城牆自上次陷落就加固過,他們既然還圍在外面,肯定是還不曾突入城中。只要城中糧草未斷,就不會有事。但看這些鬼族即使鬼爪早已血肉模糊,卻還在有條不紊地擊打着巋然不動的城牆。從牆上的血污來看,這麽做的鬼族不在少數,甚至有人力竭而死,橫屍城牆下……
【阿修羅】
「気まぐれに生きているはずだった鬼族が、一體誰のために必死になってるのか、考えているんだろう?」
你在想那些鬼族生來性格自由散漫,是為誰賣命,怎麽會這麽拼命,是嗎?
【帝釈天】
「あなたは?」
你是?
【阿修羅】
「お前も俺がわからないのか。」
沒想到這回你也認不出我。
【帝釈天】
「すまない、配下の将兵が多くてね、全員の顔を覚えているわけではないんだ。」
抱歉,手下的将士衆多,偶爾也有記不過來的時候。
【阿修羅】
「お前に関わったやつは大勢いる。俺のことを覚えていないのも當然だ。」
你勾結過的人成千上萬,記不起來我一個也是當然的。
【帝釈天】
「何か言ったか?」
你說什麽?
【阿修羅】
「今思い出せなくても、いつか思い出してくれればいい。今一番重要なのは、こいつらの心を読んで、裏に隠れているやつを調べることだ、そうだろう?」
我說現在記不起來沒什麽,等你自己想起來就好。當務之急是探一探這些家夥的內心,看看他們是為誰賣命,你說對不對?
【帝釈天】
「……その通りだ。」
……你說的不錯。
帝釈天は精神感応を使って敵の考えを読んでみた。
帝釋天以心靈感應試探了敵情。
【帝釈天】
「どういうことだ?やつらの頭は空っぽで、自我すら持っていない。まだ呼吸していることを除けば、死體とほぼ同じだ。それだけじゃない、この鬼族達は思考できないが、士気は妙に高くて、戦闘欲が高い上に痛みを感じない、まるで……まるで玉醸を飲んでいるようだ……」
怎麽回事?他們的腦海中空空如也,根本沒有自我意識,不過是比屍體多口氣罷了。不僅如此,這些鬼族雖然腦中毫無思想,但士氣高昂,情緒高漲,充滿了戰意且毫無痛覺,就有如……有如喝了玉釀一般……
【天人の将士甲】
「帝釈天様、城を攻めるはずの鬼族がここに向かって來ました。気づかれたようです!」
帝釋天大人,攻城的鬼族朝着這裏來了,我們恐怕被察覺了!
【毘瑠璃】
「まさか、誰かが私達の行動を漏らした?」
難道說有人洩露了我們的行蹤?
【帝釈天】
「いや、鬼族が何かの情報を得たと言うより、全員でこっちに向かっている。誰かが情報を漏らした場合、先に一部の精鋭を派遣するはずだ。あの様子は、明らかに誰かに操られている。」
不,那群鬼族并非是聞訊而動,而是一起朝着這裏來,如果是有人報信,總該有個先來後到。他們這個樣子,分明是受人操控。
【毘瑠璃】
「しかしやつらの兵力は我々の五倍以上、到底敵わない!私が正體を明かし、瑠璃城の城門を開かせ、一旦城に入ってから対策を練りましょう!」
可他們人數衆多,是我們五倍有餘,我們怕是要不敵!讓我亮出身份,命琉璃城開門,至少讓我們先入城再從長計議!
【帝釈天】
「だめだ、瑠璃城が城門を開くと、鬼族の軍隊は必ず瑠璃城へと向かう。それでは城の中にいる民たちが危ない。私達は援軍としてここに來た。例え戦死することになっても、決して城門を開いてはならない。」
不行,琉璃城一旦開了城門,鬼族軍一定會掉頭沖入城中,到時候城中的百姓就會遭殃。我們是來支援的,就算戰死城下,也不能開城門。
【毘瑠璃】
「ではどうしましょう?」
那該如何是好?
【帝釈天】
「やつらが傀儡である以上、きっと策略で勝てるはずだ。誰かが操っているということは、私にも操ることができるはずだ。全員、鬼族を迎え撃て!」
倘若他們只是傀儡,定然能用智謀取勝,別人能操控他們,我自然也可以。所有人,迎戰鬼族!
【天人の将士甲】
「はっ!」
是!
帝釈天は、自分達を迎え撃つべく現れた小人數の鬼族の部隊を避け、そのまま瑠璃城の近くにいる本隊を討つようにと全軍に命じた。瑠璃城の近くの本隊は急に攻撃を受けたせいで一時的に痛手を被ったが、兵力で圧倒的に有利な鬼族は、すぐに天人の軍隊に反撃を仕掛けた。
帝釋天命全部兵力繞過前來迎擊的小股鬼族軍隊,而直接攻向了駐紮在琉璃城下的大部隊。琉璃城下的鬼族雖然被殺了個措手不及,但兵力懸殊下,很快就對天人軍隊發起了反擊。
【天人の将士甲】
「やつらは數が多すぎる、それに全く命を惜しんでいないようだ。例え手が骨だけになってもまだ戦う気だ、これでは片時も持ちこたえられない!」
他們人數衆多,又完全不要命一般,就算斷了手也要露着骨頭繼續打,這攻勢我們片刻都撐不住了!
【天人の将士乙】
「うわあああああああ!胸が!」
唔啊啊啊啊啊!我的胸口!
【天人の将士甲】
「毘瑠璃様!どうか彼を助けてください!」
毗琉璃大人!救救他吧!
【帝釈天】
「毘瑠璃、動くな。」
毗琉璃,別動。
【毘瑠璃】
「帝釈天様!」
帝釋天大人!
【天人の将士甲】
「しまった、向こう側の鬼族の軍隊もこっちに向かってきた、囲まれてしまう!帝釈天様、早く撤退の命令を!このままでは手遅れになります!」
糟了,對面那隊鬼族軍隊也折返了,我們要被包圍了!帝釋天大人,請下令撤兵,不然就來不及了!
【帝釈天】
「誰も撤退するな、最後まで戦え、脫走する者は容赦なく殺せ!」
誰也不準走,給我戰鬥到最後一刻,凡有臨陣脫逃者,格殺勿論!
【天人の将士乙】
「助けて……」
救我……
【毘瑠璃】
「鬼族が合流し、挾み撃ちにされてしまった……帝釈天様を守れ!」
兩隊鬼族會合了,我們被兩面夾擊了……保護帝釋天大人!
【天人の将士甲】
「うわあああああああ!」
唔啊啊啊啊啊!
帝釈天が振り切ってきた鬼族の軍隊が引き返して、後方から天人の軍隊を襲い、城下の軍隊と共に天人の軍隊を囲んだ。天人の軍隊は敵うはずもなく、大打撃を受けた。四方から天人の兵士の悲鳴が聞こえる。
被帝釋天甩開的鬼族軍隊折返後從後方襲擊了天人的軍隊,與城牆下的鬼族們形成包圍之勢。天人一軍不敵,死傷慘重,四處都是天人将士的哀嚎聲。
【毘瑠璃】
「全員……戦死しました……帝釈天様、あなたの命令を守って、兵士達は全員瑠璃城の下で戦死しました…しかし鬼族にとってこの戦いは、痛くも癢くもないでしょう。これで、本當に瑠璃城を守れたのでしょうか?いいえ、この毘瑠璃は瑠璃城の前城主として、城にいる民のために、姉蘇摩のために、最後まで戦い抜いてみせます!」
我們……全軍覆沒……帝釋天大人,正如您所說,将士們全都戰死在了琉璃城下……但這場戰對于這群鬼族根本不痛不癢,這樣,真的算是守住了琉璃城嗎?不,我毗琉璃身為前琉璃城城主,為了城中的百姓,為了姐姐蘇摩,要血戰到底!
【帝釈天】
「私は蘇摩の要請に応じて援軍を送り込んだ、あとはあなた一人で戦えばいい。」
我已應蘇摩之邀将援軍送到,你就獨自迎戰吧。
【毘瑠璃】
「瑠璃城に攻め入ろうと企む鬼族ども!この瑠璃城の前城主毘瑠璃がいる限り、民を傷つけることは許さない!うわあああああああ!」
觊觎我琉璃城的鬼族們!我琉璃城前城主毗琉璃,絕不會讓你們傷我琉璃城百姓!唔啊啊啊啊啊!
毘瑠璃は胸を鬼族の矛に貫かれ、無念に倒れ、狂暴化した鬼族に囲まれた。
毗琉璃被鬼族以長矛刺穿胸口,掼倒在地後,狂暴的鬼族們一哄而上。
【毘瑠璃】
「帝釈天様!助けて!」
帝釋天大人!救我!
しかし帝釈天は、振り返ることなく消えた。
然而帝釋天已經頭也不回地走遠。
【毘瑠璃】
「やはり姉様の言う通りなのですか、本當に……私が間違っていたのか……え?どういうこと?私は怪我をしていない?戦死したはずの兵士達も、まだ生きている……しかしさっき我々は確かに……」
難道說姐姐所說是對的,我真的……看錯了您嗎……嗯?怎麽回事?我并沒有受傷?本已經戰死的将士們,也都還好好的……但剛才我們分明……
【阿修羅】
「さっきお前達は、帝釈天と共に襲ってきた鬼族の軍隊を避け、城門の下にいる攻城を任された軍隊を襲った。しかしすぐに攻撃を止めた。肩透かしを食らった鬼族の軍隊が引き返してきたのを見て、すぐに撤退したんだ。だが鬼族の二つの軍隊はそれを見なかったかのように、そのまま進んでぶつかり、敵を見つけたかのように殺し合いを始めた。互角の実力を持つ鬼族の二つの軍隊は戦い続け、すぐに全滅した。」
剛才你們跟着帝釋天繞過前來迎擊的鬼族軍隊,去城門下襲擊了負責攻城的鬼族部隊。然而只是不痛不癢地打了兩下,看到撲空的鬼族軍掉頭來追,就直接撤了出去。不過兩隊鬼族卻跟沒看到你們撤了一樣,依然往一處跑,撞到一起後,仿佛互相見了仇人般打了起來。兩邊鬼族打得不相上下,難舍難分,不一會就全軍覆沒了。
【天人の将士甲】
「しかし帝釈天様が撤退するなと命じたはず…」
可我分明記得帝釋天大人命我們不得撤兵……
【天人の将士乙】
「俺も戦死したはずだが、まだこうして生きている。」
我還戰死了呢,一眨眼現在卻又好好在這了。
【帝釈天】
「それは私が悪夢を見せたせいだ。あなた達は兵士だから、戦闘狀況の読みが私よりも上だった。夢が限りなく現実に近かったから、鬼族を容易く騙すことができた。しかし夢の中とはいえ、皆に辛い思いさせたことは事実だ。私の策は犠牲者を出さなかったが、それでも皆を傷つけてしまった。皆に謝りたい。瑠璃城を守るために仕方なくとった、私の軽率な行動を許してほしい。」
是我讓你們做了一場噩夢,你們是将士,對戰事局勢在心中的評估在我之上。夢境也極盡真實,用來騙過那些鬼族綽綽有餘。不過即使是夢境,卻還是讓諸位承受了真實的苦楚,雖然我的計謀并未使将士傷亡,卻還是傷到了你們。我向諸位道歉,希望諸位能看在琉璃城的安危上,原諒我的魯莽。
【天人の将士乙】
「とんでもないです!我々は結局無事なんです!一人も死なずに、夢を見ただけで勝てたなんて、むしろ喜ぶべきです。」
大人言重了!我們這不是沒事嗎?不費一兵一卒,做個夢就□□,高興還來不及呢。
【天人の将士甲】
「俺達が悪かったんです。帝釈天様を誤解した。俺達こそ、謝るべきです。」
是我們心胸狹隘,錯怪了大人,該道歉的是我們才對。
【毘瑠璃】
「私もです…帝釈天様を誤解した上、あんなことまで言ってしまった。どうか許してください!」
我也是……竟然錯怪了帝釋天大人您,還出言不遜,望您恕罪!
【帝釈天】
「あんなのはただの寝言だ、全く気にしてない。」
不過是一兩句夢話而已,我不會放在心上。
【毘瑠璃】
「城を囲んでいた鬼族は消えました。今すぐ姉様に手紙を出しますから、まもなく城內に迎え入れ、労ってもらえるはずです!」
圍城的鬼族已除,我這就叫人傳信給姐姐,開城門迎軍進城,擺酒犒勞諸位!
瑠璃城は城門を開いたが、城外に殘っている鬼族はまだ殺し合いを続けている。彼らには城に入る天人の軍隊や開けっ放しの城門が全く見えないようで、仲間の死體を踏みにじりながら、敵を殺す夢を見続けている。
琉璃城門打開,城門外僅剩的鬼族仍舊在互相厮殺。他們眼中仿佛看不到入城的天人軍隊和大開的城門,踩在遍地同伴的屍體上,沉浸在殺敵的美夢之中。
【阿修羅】
「片付け役として、ここに數人殘したらどうだ?敵は數人しか殘っていない。我々の敵ではないが、鬼族の血肉は瘴気を放つから、このまま放っておくと、瑠璃城は汚染されてしまうぞ。」
不如留幾個人把這裏清一清?還剩下幾個殘兵敗将,不是我們的對手,鬼族的血肉會散發瘴氣,堆積在這裏,也會污染琉璃城。
【帝釈天】
「いいだろう。」
也好。
そうして阿修羅は城外に殘り、鬼族の死體を確認し始めた。
阿修羅于是順理成章地留在了城門外,檢查這群鬼族的屍體。
【阿修羅】
「血まで玉醸の匂いを放っている、玉醸を飲んだのは間違いないな。一體いくら飲んだんだ?本當に自分で飲んだのか?」
連血裏都有着玉釀的氣味,是喝了玉釀無疑了。喝到這地步是得喝了多少,真的是自願喝下去的嗎?
【天人の将士甲】
「數こそ多いが、裝備は貧相なものばかりだな。俺に言わせりゃ、こいつらは元々敗軍か脫走兵かもしれない。帝釈天様によって故郷に追い返されたが、玉醸を飲まされて再び前線に送り込まれたんじゃないか?」
我看他們人雖然多,裝備卻不怎樣。說不定本來就是一群敗将逃兵,被帝釋天大人打回老家後,被灌了玉釀又踢回來。
【阿修羅】
「お前は善見城の兵士のようだが、玉醸のことを知っているか?」
你是善見城的兵,也知道玉釀?
【天人の将士甲】
「知っていますとも。玉醸は最初辺境の軍隊だけが使うものでしたが、すぐ善見城にも伝わってきました。貴族の中でも一時的に流行りました。」
怎麽不知道,玉釀雖然起源于邊境軍營,但是早就傳到了善見城,貴族之中一度服用成風。
【阿修羅】
「貴族の連中の霊神體はちっとも役に立たないし、玉醸を飲んでも意味ないけどな。」
那群貴族的靈神體本來就一無是處,喝不喝玉釀确實也沒什麽區別。
【天人の将士甲】
「しかし帝釈天様が即位してから、玉醸はどこにも見當たらなくなりました。それなのに鬼族はまだそれを持っている。つまり玉醸は元々鬼族が作ったものだったのですね。」
不過自從帝釋天大人上位,這樣東西已經見不到了,鬼族卻還有,看來這玉釀原本就是鬼族造出的東西。
【阿修羅】
「それはおそらく違う。あの鬼王迦樓羅でさえも、玉醸がどこから來たのか知らない。ただ儲かると思って、天人に売って金を稼いでいただけだ。しかしやつが持っているこの瑠璃心は、気配も効用も玉醸に似ているな。しかしどこで手に入れたかと聞いても、やつは口籠ってばかりで答えないんだ。過去のことはよく覚えていない、ただ昔から持っていると言うだけだ。」
這你恐怕是猜錯了,那鬼王迦樓羅自己對這東西的來歷也不知曉。只是覺得好用就散播給了龍巢對面的天人賺些錢財。倒是他手裏的那個琉璃心,氣息和效用都和這玉釀相近,問他是哪來的,他卻支支吾吾說不出個所以然來。只說自己記不太清過去的事,只記得拿着這東西很久了。
【天人の将士甲】
「迦樓羅、瑠璃心?なぜそこまで知っているのです?」
迦樓羅,琉璃心?你怎麽知道這麽多大事?
【阿修羅】
「俺はまだ夢の中にいる、これは全てただの寝言だ。」
我還沒醒,這些都是夢話。
【天人の将士甲】
「そういえば俺もまだ夢を見ている気分です。早くここを片付けて、帰って酒でも飲みましょう。」
這麽說來我也還有種還在夢中的感覺。咱們趕快打掃好這裏,回去喝口酒好解乏。
【阿修羅】
「どうやらこの鬼域で、天域を我が物にしたいと思っているのは、迦樓羅だけではないようだ。」
看來這鬼域之中,想要奪下這天域的,不止迦樓羅一個。
戦場を片付けると、阿修羅は殘りの天人の軍隊と共に城の中に入った。
戰場清完後,阿修羅随着剩下的天人軍隊入城。
【阿修羅】
「おい、帝釈天はどこにいる?」
喂,你可知道帝釋天在哪裏?
【天人の将士乙】
「帝釈天様は今日幻術を使って大変お疲れですから、宴を欠席して休まれるそうです。おそらく自室にいらっしゃるのでは。」
帝釋天大人今日使用幻術大費心神,沒有參宴就回去休息了,可能在房裏吧。
阿修羅は帝釈天の部屋の前まで來たが、すぐ帝釈天が中にいないことに気づいた。しかし毘瑠璃はそこで部屋の警備をしているようだ。
阿修羅找到了帝釋天的卧房,阿修羅感覺出帝釋天并不在房中,然而門前卻站着守門的毗琉璃。
【毘瑠璃】
「報告なら明日にしなさい、帝釈天様はすでにお休みになれました。」
有什麽事明日再禀報吧,今日帝釋天大人已經休息了。
【阿修羅】
「誤解だ。帝釈天が部屋の中にいないことはすでに本人の口から聞いた。ただ心配で、帰ってきたか確認しに來ただけだ。」
你誤會了,帝釋天早就交代我他不在房中,我是擔心他,特意來看他回沒回來的。
【毘瑠璃】
「……帝釈天様はまだお帰りではありません。」
……大人他還沒回來。
【阿修羅】
「一體どこに行ったんだ、危険な場所か?」
不知道他到底是去了哪裏,會不會有危險。
【毘瑠璃】
「鬼族はもういません。帝釈天様なら、例え一人になっても危険な目に遭うことはありえません。」
鬼族已除,大人即使一個人,也不會有什麽危險。
【阿修羅】
「そいつはどうかな、瑠璃城の城主蘇摩様と帝釈天の仲はあまりよくないという噂がある。それに瑠璃城は、今もまだ新王に忠誠を誓っていない。彼が瑠璃城で一人になると、何をされてもおかしくない。」
這可不好說,我聽說琉璃城城主蘇摩大人和帝釋天互看不順眼。琉璃城到現在還沒向新王稱臣呢,他一個人走在琉璃城裏,也保不齊會被人暗算。
【毘瑠璃】
「姉様はそんな恩義知らずの人ではありません。今日帝釈天様に助けてもらったばかりですし、決して恩を仇で返すようなことはいたしません!そもそも帝釈天様は瑠璃城の中にはいません。外にいる客人に會いに行ったのです。すぐに帰ってきます。」
姐姐不是那種人,她恩怨分明,今天帝釋天大人帶人解圍,她怎麽會做出恩将仇報的事來!更何況帝釋天大人根本就不在琉璃城中,而是外出會客,很快就會回來的。
【阿修羅】
「それなら俺もここで彼を待つ。」
那我就在這等他好了。
【天人の将士乙】
「毘瑠璃様!早く帝釈天様に報告してください!兵営が大変です。皆が二つの陣営に分かれて争っています。反亂を起こすつもりではないでしょうか?」
毗琉璃大人!快通報帝釋天大人!軍營裏出了亂子,一群人分成兩派,大打出手,這該不會是要造反吧?
【毘瑠璃】
「何ですって?!しかし帝釈天様は……」
什麽?!可是帝釋天大人他……
【阿修羅】
「ただ酒を飲みすぎんだろう。帝釈天の手を煩わせることはない、俺が様子を見にいく。」
我看不過是喝酒喝多了,不勞煩他帝釋天,我去看看。