第46章 地獄挽歌⑦絕境

天魔歸來地獄挽歌⑦絕境

絶望

【阿修羅】

「深淵の獄の崖には、五裏ごとに拠點が一つ建てられている。そして本拠點は、六道輪廻法陣の中心線の上にある崖に建てられた。法陣は解除されたとは言え、深淵の獄を突破したければ、この砦を何とかしなければいけない。本拠點は崖の上に建てられていて、三方が崖に囲まれているうえに、警備兵がいる。文字通りに抜け目なく深淵の獄を監視しているんだ。深淵を出ようとする者は全て止めることができる。やつらの目を掻い潛るのは、決して容易ではない。」

深淵之獄的崖上每五裏一哨所,總營位于六道輪回陣中心線上方的斷崖上。就算陣法已破,想要突破深淵之獄,也必須過了這關。總營沿石崖而建,三面環崖,因此也三面都設有軍力把守,可謂是無死角地監視深淵之獄。防止任何人從任何方向爬出深淵,想要從他們眼皮底下爬出去,絕非易事。

【鬼王酒呑童子】

「本拠點なら、當然大勢の兵士に守られている。なぜよりによってここを選んだ?他の場所から深淵を出るのはどうだ、その方が少しは楽だろう?」

既然是總營,必然兵力極重,何必要選在這一處打?在其他哨所的位置離開深淵,豈不是更容易些?

【迦樓羅】

「言うだけなら簡単だ。ここに本拠點が建てられたのは、ここの壁が一番登りやすいからだ。深淵の獄の壁は非常に滑りやすい、そうでなければすぐに砕けてしまう。我が翼族は飛べるから構わないが、魔神の大軍は墜落して死んでしまうだろう。」

說得輕巧,這總營設在這裏,就是因為這一處的石壁最容易爬上去。深淵之獄的峭壁要麽太光滑無處着力,要麽一踩就碎。我翼族倒是無所謂飛着就上去,魔神大軍怕是都要摔死崖底了。

【煉獄茨木童子】

「仮にここを登るとしたら、本拠點の三つの方向は崖になっている、よって死角になる両側から登るだろう。真っ黒な夜なら気づかれ難いし、奇襲を仕掛けるのに向いているのではないか?」

那就算非要從這裏爬,總營三面都是懸崖,你們從它腳下兩側往上爬去是為死角。到了夜裏一片漆黑更不容易察覺,豈不是奇襲起來輕而易舉?

【阿修羅】

「帝釈天は深淵の獄の監視に相當な手間をかけた。本拠點にいるのは全員選りすぐりの強者だ。兵士だけじゃない、術に長けた術士まで揃えた。彼は幻術や精神操作が得意で、部下の術士もそれに詳しい者ばかりだ。術士達はその場から一歩も動かずに、生き物が近づくと、すぐ感知して、城壁にいる兵士に知らせる。」

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帝釋天在深淵之獄上下足了力氣,駐紮在總營中的人都是千挑萬選的心腹。裏面不光是将士,還有精于法術的術士。他是幻術和精神操控的高手,他手下的術士也深谙此道。這些術士無需離開原地,只要有活物靠近,就能夠感知,通知城牆上的戰士。

【天剣刃心鬼切】

「例え気づかれても、弓兵の射程距離には限界がある。もし金翅鳥が同時に空で攪亂させれば、勝てる可能性もあるのでは?」

但就算發現了,弓兵是垂直射箭則射程有限,再配合金翅烏們在空中擾亂,也并非是全無勝算不是嗎?

【阿修羅】

「かつて小隊を派遣して、術士達の腕を試したことがある。一人だけなら、術士といえども偵察兵とほぼ変わらない。しかしやつらが力を合わせると、帝釈天のような大規模な精神操作も可能になってしまう。近づくだけでも精神的な混亂に陥る、相當厄介だ。」

我曾派小股兵力試探這群術士的本事,那些術士單一人來無非是偵察兵。聯合起來施術卻可以做到如同帝釋天本人那般大規模的精神操控。只要靠近就會精神混亂,處理起來頗為棘手。

【晴明】

「それなら、本拠點を陥落させるには、先に術士を何とかするべきだな。迦樓羅様が金翅鳥一族を率いて、一足先に術士達を排除することは可能だろうか?」

如果是這樣,那想要攻破總營,必須先解決這些術士。能否讓迦樓羅大人率領金翅烏一族,先為我們清除這些術士?

【迦樓羅】

「俺も同じ策を思いついたが、二度ほど上を飛んで調べてみた結果、術士達も弓兵の格好をしていることがわかった。おまけに散らばって兵士の中に隠れている。しかも本拠點だけではなく、周囲の拠點にも分散している。やつらを排除するには、先にやつらを見つけなければいけない。しかしそうなると、人手が足りない。」

我一開始也是這麽想的,跟着飛上去過兩回,卻見那些術士們也作普通弓兵打扮。藏匿在人群中,而且十分分散,不僅在總營中有,也分布在周圍的幾個哨所裏。想要清除他們,首先要找見他們,這樣一來,人手就不夠了。

【燼天玉藻前】

「となると、術士の居場所を突き止めるための部隊を、手配する必要があるな。あれは天人を想定して編み出された術だが、我々は天人ではない。それに人を惑わす幻術なら、少しだけ心得がある。偵察は私に任せてくれ。」

既然如此,必須有一隊人馬,專程去找出這些術士的所在。那法術專為天人所作,我等妖鬼卻不是天人,加之我也粗通些魅惑擾心的幻術,可以為諸位探路。

【阿修羅】

「術士の居場所を突き止めるために、俺が先陣を切る。」

為了确定術士所在,這頭陣将由我親自來打。

【天剣刃心鬼切】

「ここには人が大勢いる。皆に意見を聞き、策を検討すべきでは?」

既然現在人多勢衆,這次難道不該集思廣益,多聽聽他人的話嗎?

【源頼光】

「よく言った。彼を知り己を知れば百戦殆からずと言うだろう。「天域の闘神」は敵にかなり詳しいだろう。なぜ仲間達のことを知ろうとしなかった?」

說的不錯,所謂知己知彼百戰不殆,「天域戰神」既然已經熟知對手,又為何不肯多了解些盟友們的本事?

【阿修羅】

「「何の変哲もない」と自稱する陰陽師に、何かいい考えがあるのか?」

自稱「平平無奇」的陰陽師有何高見?

【源頼光】

「我が源氏が作った鬼兵部軍団は、自我というものを持たない。忠実に主の命令に従う上に、幻術の影響も受けない。」

我源氏所鍛造的鬼兵部一軍,并無自我意識,全憑主人調派,并不會受到幻術影響。

【迦樓羅】

「阿修羅様、これは予想外の奇兵です!」

阿修羅大人,那這可是奇兵呀!

しばし考えた後、阿修羅は作戦を練り直した。

阿修羅稍作思索後,重新制定了計策。

【阿修羅】

「迦樓羅、お前は一足先に金翅鳥を率いて深淵を出ろ。その後、空から爆弾を投げて、本拠點と周囲の拠點を攪亂し、術士に呪文を唱えさせろ。酒呑童子、茨木童子、玉藻前、お前らは俺と先頭部隊と共に裏道から崖に登る。そして術士達の居場所を突き止め、全員抹殺する。鬼兵部は幻術に影響されないが、足が遅いため、先陣を切るのには向いていない。だから正面から本拠點を攻撃して、陽動作戦を展開し、魔神の大軍のために時間を稼ぐ。殘りの者は、無事に深淵を出たら、すぐに鬼兵部と合流し、本拠點を攻め落として周囲の拠點を破壊する。一人たりとも生きて帰すな!」

迦樓羅,你先率領金翅烏一族沖出深淵,從高空丢下火藥,擾亂總營和周邊哨所,逼術士們施法念咒。酒吞童子,茨木童子和玉藻前,你們随我與前鋒軍自側道上崖,尋找術士們的所在,将其擊殺。鬼兵部雖不怕幻術,但移動較慢,不适合打頭陣。你們從正面攻擊總營,吸引兵力,為魔神大軍開路。剩下的人,一安全離開深淵,即刻與鬼兵部會合,攻擊總營,炸毀哨所,一個活口也不能留!

【魔神の将校】

「はっ!」

是!

【天剣刃心鬼切】

「鬼兵部は幻術の影響を受けないが、指示を出す俺と源頼光様が天人の精神操作に幹渉される可能性はまだ殘っている。」

鬼兵部雖不受影響,但帶領它們的我和源賴光,可能也會受到天人精神操控術的影響。

【小白】

「それなら小白とセイメイ様に任せてください。小白にセイメイ様の結界が加われば、必ず皆さんを守り抜くことができます!」

這就包在我和晴明大人身上吧,小白再加上晴明大人的結界,肯定能保護大家的!

……深夜

——深夜

【迦樓羅】

「我が同胞よ、俺についてこい!今夜さえ生き延びれば、お前達は晴れて自由の身だ!」

族人們,跟我飛上去!只要活過今夜,你們就是自由之身了!

【天人の兵士甲】

「おい、あそこから飛んできたのは何だ?」

你們看,那沖出來的是什麽?

【天人の兵士乙】

「金翅鳥?あいつらまだ生き殘っていたのか!弓兵、前に出ろ!一人殘さず射落とせ!」

金翅烏?這群東西居然還活着!弓兵列隊!給我把他們射下來!

【金翅鳥】

「喰らえ!」

看招!

【天人の兵士甲】

「うわああああ!!」

哇啊啊啊啊啊!

【天人の将校】

「爆弾だ、あいつら下でこんなもんまで作ってやがったのか!早く狼煙を上げて、術士達に術を使えと伝えろ!一人も逃がすな!」

是火藥,這群東西居然躲在下面制出了火藥!快,點燃烽火,通知術士們施法,不能讓他們逃出去!

狼煙が上がると、周囲の拠點が忽ち松明を點した。おかげで深淵の獄の境界は隈なく照らされた。空から呪文を唱える聲が聞こえる。術士達が術を唱え始めた。

烽火一燃,轉眼間周圍的哨所點燃了火把,照亮了深淵之獄的邊界。誦經的聲音自空中傳來,術士們的施術開始了。

【燼天玉藻前】

「南に五裏、そして北に十裏の拠點に火がついた。それ以外にも數人が本拠點の後ろに隠れているようだ。」

南五裏,北十裏兩處哨所亮了燈光,似乎還有數人藏在總營後的哨塔。

【阿修羅】

「お前ら、酒呑童子と茨木童子についていけ。拠點に隠れている術士を仕留めるんだ。殘りの者は俺と共に本拠點に向かう。」

你們幾個,跟随酒吞童子,茨木童子二位去哨所解決術士,剩下的人随我去總營哨塔。

【魔神の将校】

「はっ!」

是!

【煉獄茨木童子】

「私は北に向かう、友は南に行くといい。後でここに戻って合流しよう。」

我往北走,摯友向南即可,稍後我便會回來會合。

【鬼王酒呑童子】

「夜は暗い、道に迷うなよ。」

天黑路暗,可別迷了路。

皆夜陰に乗じて姿を隠し、別行動をとる。阿修羅と玉藻前は本拠點の後ろに回り込んだ」

幾人趁夜色隐藏氣息,分頭行動,阿修羅和玉藻前繞行到了總營的後方。

【燼天玉藻前】

「術を使う者があそこの拠點にいる、今攻め入るか?」

這術法之人就是來自那處哨塔,可要殺上去?

【阿修羅】

「その必要はない。この本拠點は帝釈天が自ら建てたものだ、全て翼の団の仕來りを踏襲している。兵糧は北に、武器庫は東に、衛兵は西に、警備兵は南に、今夜の風は後ろから前の城壁に吹いている、つまり追い風だ。武器庫と穀倉を燃やせ、そうすれば城壁にいる連中は逃げ道も、食い物も、使える矢も全て失う。」

不必。這總營是帝釋天親自布下,布局用的是當年翼之團紮營的慣例。糧草在北,兵庫在東,守衛在西,哨兵在南,如今是夜裏,谷風自後營吹向前陣城牆方向,是順風。給我燒了他們的兵庫和糧倉,我要城牆上的人無路可退,無糧可食,也無箭可用。

……深淵の崖の下

——深淵懸崖下

【小白】

「南北の二つの拠點の火が消えました。上手くいったのでしょうか?」

南北兩處哨所燈滅了,是上面得手了嗎?

【源頼光】

「鬼切、気分はどうだ?」

鬼切覺得如何了?

【天剣刃心鬼切】

「耳の中で聞こえる術の音が大分小さくなりました。そして頭も冴えています。いつでも戦えます。」

在耳中嗡嗡叫的法術變弱了,頭腦也清明了幾分,可以一戰。

【源頼光】

「鬼兵部、列を作れ、崖に行くぞ!」

鬼兵部整兵,随我上崖!

……本拠點の城壁の上

——總營要塞城牆上

【天人の将校】

「金翅鳥の連中は攪亂するだけで全く近くに來ない、一體何を企んでいる?」

那些金翅烏竟然只作佯攻并不靠近,究竟是什麽企圖?

【天人の兵士甲】

「報告です、矢がなくなりました。」

大人,箭不夠了。

【天人の将校】

「予備の矢をここに運べ!」

趕快下去領!

【天人の兵士乙】

「大変です!武器庫が燃えています!」

大人!武器庫失火了!

【天人の将校】

「何?衛兵に火を消せと伝えろ!矢がなければどうやって戦うんだ!」

什麽?讓後營的守衛去救火!沒有箭如何迎戰!

【天人の兵士乙】

「裏門にいる衛兵はすでに武器庫に向かいました、しかし今度は穀倉が燃え始めました!拠點に隠れていた術士は火の海に呑み込まれました。今夜は風が強いです、おかげで火の勢いが強く、城壁にも迫ってきています!」

後門的守衛已經去了,但一轉身糧草營也着了起來。哨塔裏的術士哨兵已經葬身火海,夜裏風大,火勢兇猛,隐隐有逼向我城牆之勢!

【天人の兵士甲】

「報告です!前方に敵が現れました!何者かが深淵から這い出てきました。今度現れたのは、侍のような姿をした戦士です。術士の精神操作は全く効かないようです!」

大人!前方有敵情!又有人爬上來了。這一回,是一群武士模樣的戰士,術士們的精神控制竟然無法起效!

【天人の将校】

「前には敵、後ろには火、金翅鳥どもは陽動だったんだ。はめられた!くそっ、それどころではない、撃て!」

前有兵後有火,這金翅烏不過是一群幌子,我們被算計了!顧不得那麽多了,放箭!

……城壁の下

——城牆下

【晴明】

「結界·守!」

結界·守!

【小白】

「危ない!やつら、自棄糞になっています!」

好險!他們是孤注一擲了!

【晴明】

「魔神達よ、結界の後ろに隠れて、今のうちに崖を登れ!」

諸位魔神,趁現在往上爬,躲在結界後面!

【源頼光】

「鬼兵部は一列に並び、私と鬼切を守りながら、前に進め。鬼切、連中が矢を放った隙を見計らって、鬼兵部の力を借りて城壁に上り、敵の大将を殺せ。」

鬼兵部隊列一字陣,保護我與鬼切,向前推進。鬼切,找準他們放箭的間隙,借鬼兵部的力跳上城牆,斬殺對方将領。

【天剣刃心鬼切】

「言われなくても、そのつもりです!」

不用你說,正有此意!

そう言うと、鬼切は鬼兵部の手の上に飛び上がり、そのまま走って肩まで駆け抜けると一飛びで城壁を飛びこえた。

說完跳上鬼兵部的手掌,順着手臂跑上肩後借力一躍跳上城牆。

【天剣刃心鬼切】

「死ね!」

死吧!

【小白】

「鬼切様、待ってください!」

鬼切大人等等我!

【天人の将校】

「術士を何人か殺せば、こっちを絶體絶命の危機に追い込めると思ったか?帝釈天様が我々に重要な役割を任せたのは、我々が全員王の術を心得ているからだ!つまり、ここにいる全員が術士なのだ!矢を使い切ったやつは、呪文を唱えろ!」

你以為殺幾個術士,我們就奈何不了你們了嗎?我們被帝釋天大人委以重任,正是因為我們全都對王的術法谙熟于心!人人都是術士!用完了箭的,通通給我誦經施術!

【天剣刃心鬼切】

「しまった、彼らの聲が頭の中で響き続けるせいで、方向感覚がおかしくなってきた。」

糟了,他們的聲音如同在我腦中回響,使我找不準方向。

【天人の将校】

「くたばりやがれ!」

受死吧!

【小白】

「狐影·守!危ない!鬼切様はご無事ですか!」

狐影·守!好險!鬼切大人您沒事吧!

【天人の将校】

「陛下の命令に従い、深淵の獄に入った者は出るべからず、それを破った者には死を!汝らがまだ生きている理由は、陛下の慈…」

陛下有令,深淵之獄只進不出,違者殺無赦,汝等茍活于此,全賴陛下好生之……

それを言い終える前に、一本の折れた矢が飛んできて、彼の喉を射抜いた。将軍は喉を押さえながら跪いた。

話音未落,一支斷箭從懸崖中飛出,射進他喉中,将領捂着喉嚨跪倒。

【阿修羅】

「俺のことを覚えているか?」

可還記得我是誰?

【天人の将校】

「あ……あなたは……」

你……你……

【阿修羅】

「この名を胸に刻め。あの世に行っても、生まれ変わっても、決してこの名を忘れるな。」

記好我的名字,到了黃泉,到了來世,也別忘了是誰殺的你。

【天人の将校】

「阿……修羅……」

阿……修羅……

将軍は喉を押さえながら崖から落ち、忽ち魔神達に食いちぎられた。

天人将領捂着脖子掉下懸崖,轉瞬就被魔神們撕成了碎片。

【魔神】

「天魔阿修羅!天魔阿修羅!」

天魔阿修羅!天魔阿修羅!

【阿修羅】

「我が姿を目に焼き付けろ、我が名を叫べ!これこそが破滅と闇をもたらす者の姿だ、今後口に出すことすら憚られるようになる名だ!だがお前らがくたばる前に、我が名を呼ぶ名譽を與えよう!」

看清我的樣子,高呼我的名字!這是将帶來毀滅與黑暗之人的模樣,是将來無人敢再訴諸于口的名諱!而我在死亡降臨之前,給了你們高呼我名的殊榮!

【魔神】

「天魔阿修羅!天魔阿修羅!」

天魔阿修羅!天魔阿修羅!

【阿修羅】

「この砦にいるやつらは皆殺しだ、一人たりとも生きて帰すな!」

殺光這堡壘裏所有的人,一個活口也不留!

魔神の大軍は城壁を粉々に壊した。上の天人の兵士達は急いで撤退しようとしたが、後ろは燃えているため、彼らには逃げ場すらなかった。

魔神大軍砸碎了城牆,上面的天人士兵急忙往後退,然而後營起火,退無可退。

【天人の兵士丙】

「うわあああ、壁が崩れた、落ちてしまう!」

哇啊啊啊,城牆碎了,要摔下去了!

【魔神】

「はははは、空からご馳走が降ってきた!遠慮なく頂くぞ!」

哈哈哈哈,天上掉美餐啊!那我就不客氣了!

【天人の兵士丙】

「助けて、あああああ!」

救我,啊啊啊啊啊!

【魔神】

「貴様らにも霊神體が砕かれ繋ぎ合わせられる気持ちを味わわせてやる!全員ひき肉にしてやる!」

也讓你們嘗嘗靈神體被揉碎粘合在一起的滋味,讓我将你們全都捏成肉泥!

城壁が崩れ落ち、砦は炎に包まれて崩壊した。拠點を守る衛兵達は魔神の魔の手に落ち、引き裂かれ、踏みつぶされ、食いちぎられた。ひっきりなしに悲鳴が上がる。空に聳える本拠點は、深淵の獄よりも地獄らしい場所に変えられた。

城牆碎裂,堡壘在火光中轟然倒塌,駐紮的天人士兵們跌落進魔神手中,馬上被魔神撕碎,踩碎,吞食。哀嚎聲此起彼伏,高高在上總營堡壘淪為了比深淵之獄更為血腥的地獄。

【魔神の将校】

「進め!やつらを皆殺しにするぞ、そうすれば自由になれるんだ!」

沖啊!殺光他們所有人,我們就能重獲自由!

【魔神】

「天魔様に続け、再び自由を!」

跟着天魔大人,重獲自由!

【阿修羅】

「天魔の名を聞きながら死んでいけ。今夜から、この名を聞いた者は皆、恐怖に支配される。」

我要他們聽着天魔之名死去,我要今夜之後,任何聽到這名號的人,都被恐懼所取代。

【魔神】

「天魔阿修羅!天魔阿修羅!」

天魔阿修羅!天魔阿修羅!

【天人の兵士甲】

「皆、この命を帝釈天様に捧げる時が來たぞ!全員将軍の命令に従え。武器を捨てて呪文を唱えろ、例え灰燼に帰しても、絶対にやめるな。例えこの身が滅んでも、この聖なる天域で魔物の狼藉を許すな!」

諸位,是我們為帝釋天大人獻出生命的時候了!所有人遵将軍遺命,放下武器念誦經文,就算化為灰燼,也不可停止。哪怕身死,也不能讓魔物污染聖潔的天域!

【天人の兵士衆】

「偉大なり、偉大なり、偉大なりし者。狂人は欲望に耽る、罪人は奈落に帰す。」

聖哉,聖哉,無上的聖明。狂徒耽于狂妄,罪人永墜幽冥。

生き殘った天人の兵士の霊神體が一體化して、巨大な白い網を編み出した。巨大な法陣が呪文を唱える聲と共に空から迫ってきて、まだ深淵を出ていなかった魔神、鬼兵部、鬼族、金翅鳥達を再び崖の底へと叩き落とした。そして次の瞬間、皆に迫ってきた。危機一髪で、阿修羅は炎に包まれている、いつ崩れてもおかしくない城壁に飛び上がり、両手で法陣を受け止めた。

殘存的天人戰士們将精神體化為一體,織成一張白色巨網。巨大的法陣順着誦經聲從天而降,将尚未爬出的魔神、鬼兵部、鬼族、金翅烏等砸回崖底。緊接着,又向衆人壓了下來。就在千鈞一發之際,阿修羅跳上火海中搖搖欲墜的哨塔,用雙手接住了法陣。

【鬼王酒呑童子】

「まったく予想外だったな、肝心な時に、とんでもないものを見せられちまった。」

沒想到關鍵時刻,這些家夥又來了這麽一出大戲。

【煉獄茨木童子】

「友よ!助けてやるべきか?」

摯友!我們可要去幫他一把?

【鬼王酒呑童子】

「それに觸るな。この法陣は全てを破壊しようとしているように見えるが、実のところ、目標はあいつだけだ。」

別碰那東西。這法陣看上去大殺四方,實際上卻是沖着他一人來的。

城壁が圧力に耐えられず、崩壊寸前になった時、一歩も引かなかった阿修羅の前に、突然帝釈天の幻影が現れた。

哨塔不堪重負,即将碎裂,而不肯退讓的阿修羅面前,卻突然出現了帝釋天的幻影。

【阿修羅】

「ずっとお前を待っていた。」

你讓我等得夠久。

【帝釈天】

「阿修羅、やはり來たか。どうして帰ってきた?深淵もなかなかいい場所だろう?あなたが一番好きな獲物を用意してあげたのに。金翅鳥、魔神、鬼族、そしてあなたが一番好きな遊び……終わりなき殺戮まで用意してあげたのに。それでも足りないのか?」

阿修羅,你果然來了。你為什麽要回來呢?難道深淵不好嗎?我可是為你準備了你最喜歡的獵物。金翅烏,魔神,鬼族,還為你準備了你最喜歡的游戲,永無止盡的殺戮。是我還不夠周到嗎?

【阿修羅】

「ふん、お前の力がちゃんと回復したか見せてくれ。全力を出すことすらできないようでは、あまりにもつまらない。」

哦,我來看看你恢複了沒,若你都沒法使出全力,就太無聊了。

【帝釈天】

「分かった、私がいないからだろう?あなたはいつもそうだった。殺している時、私が側にいなければ落ち着けないんだ。」

我明白了,是因為我不在對不對?你一直是這樣,殺戮的時候一定要我在旁邊才能安心。

【阿修羅】

「ああ、お前らがいないからだ。殺戮がいくら楽しくても、一番重要な獲物がいなければ、白けてしまう。いつまで待っても、お前が全然來ないから、仕方なく會いに來た。お前は苦労して一番偉い場所へと上り詰めたが、俺が來たと聞いた途端、慌てて様子を確かめに來た。この阿修羅がいない善見城での生活は、さぞかし辛かったようだな?」

是啊,正是因為你不在。獵殺再有趣,缺了我最想要的獵物,自然會變得索然無味。你又遲遲不肯來,我也只好親自上來找你。你終于爬上了那個高高在上的位置,卻一聽說我來了,就急急忙忙跑來看究竟。想必善見城裏沒有我阿修羅在,你過得寝食難安吧?

【帝釈天】

「ふふふ、よく言ったね。私は片時も、私の阿修羅のことを忘れていないよ。私の言いなりになる姿を、私を信じてくれた愚かさを、私に負けた時の悔しい表情を。ああ、もし時間を巻き戻せるなら、もう一度見たいものだ!しかし殘念ながら、あなたはもう私の知っている阿修羅ではない。英雄の名を失い、堕落に甘んじた上、天魔を名乗り、天人とも言えなくなった。我が友阿修羅は鬼でも神でもない怪物だが、そんな彼にすら劣るあなたは、一體何だ?」

呵呵呵,誰說不是呢。我日日夜夜都想着我的阿修羅。想着他對我言聽計從的樣子,輕信于我的愚蠢,敗在我手裏時不甘心的表情。真是恨不得時光倒流,好讓我再看一遍啊!只可惜如今的你早已不是我認識的阿修羅,你英名盡毀,自甘堕落,甚至自稱天魔,不再是天人。我的友人阿修羅,是非鬼非神的怪物,你卻連他都不是,你究竟算是什麽呢?

【阿修羅】

「俺が何かは、俺がお前の前に立ったら、すぐに分かるさ。その時、俺の姿を隅々までお前の全ての目に焼き付けてやる。忘れられないほどにな、帝釈天!」

我究竟是什麽,等我站在了你的面前,你就會知曉。到時,我一定會讓你的每一只眼睛都将我的樣子好好記個清楚,深深打上我的烙印,帝釋天!

阿修羅の手は帝釈天の幻影を突き抜け、法陣の中心を掴むと、真っ二つに引き裂いた。

阿修羅雙手穿過帝釋天的幻影,抓住了法陣中心向兩側撕扯,竟然将法陣生生撕裂。

【天人の兵士甲】

「うわあああ!呑み込まれてしまう、法陣が壊された、皆死ぬぞ!」

唔哇啊啊啊!是反噬,法陣敗了,我們要死了!

阿修羅が作った裂け目は法陣の両端に広がり、急に二つになった。

そしてまるで目を見開くように、巨大な目を形作った。それは深遠なる宇宙を白目に、懐かしい紺碧の目を瞳に持つ眼だった。漆黒の深淵の上で、眼は靜かに全てを見ている。

次の瞬間、眼は眩い光を放った。光が屆くところでは、魔物が忽ち灰燼と化す。天人の兵士もそれに耐えられず、目を押さえて倒れた。

阿修羅が目を開けると、そこは光の中だった。

被阿修羅撕開的裂縫越來越大,延伸向法陣兩側,然後竟然猛地分成兩片。

如同一雙眼睑般睜開,露出了後面巨大的眼睛,眼白是幽深的宇宙,而瞳仁則是熟悉的碧色。在漆黑的深淵之上,靜靜地注視着這一切。

緊接着,瞳孔中爆發出刺眼的光芒,魔物們皆瞬時化作了灰塵,甚至連天人士兵都捂住雙目跪倒在地。

等阿修羅回過神,已經到了一片光芒之中。

【阿修羅】

「この法陣の中は、また幻術になっているのか。帝釈天、出てこい。」

這法陣裏又是另一層幻術嗎。帝釋天,出來。

【帝釈天】

「やはり阿修羅には隠せないね。さっきは皆の前だったから、仕方なくあんなことを言ったけど、怒っていないかい?天人の王になった今、私はなかなか本音を言えないんだ。ここにいるのは私達二人だけだ。謝るから、許してくれないか?あなたは全然変わっていない、ずっと昔のままだ。変わったのは私の方だ。私には分かる、私が変わったから、あなたは怒っている。でも少し考えてみてほしい、私達はいつも最後には、必ず仲直りするだろう?あなたは私がついに見つけ出した奇跡、私はあなたがようやく出會った友。これこそが、私達にとって永遠に変わらない真実なんだ。私達の争いは、無駄な犠牲しかもたらさない。こっちに來るんだ、阿修羅。ここは無垢なる天國。全てを背負う必要はない。あなたはあなたがなりたい人になれるんだ。」

果然什麽都瞞不過阿修羅你。方才到處都是人,是我把話說重了,你沒有生氣吧。我如今是天人之王,不再能将心聲随意吐露。現在這裏只有我們兩個了,我向你道歉好不好?你沒有變,你一直都是原來的你,變的人是我。我知道我變了,惹了你生氣,但是想想看,哪次我們最後不是和好如初呢?你是我終于等到的奇跡,而我是你終于找到的友人,這才是你我二人永遠不變的真實。我們的争執,只會帶來無謂的犧牲。到這裏來吧,阿修羅,我這裏是無垢的天國。你不必再背負一切,你可以成為任何你想成為的人。

幻境の中の帝釈天が、阿修羅に手を伸ばした。

幻境中的帝釋□□着阿修羅伸出了手。

【阿修羅】

「帝釈天、俺がなりたい人を、お前は本當に知っているのか?」

帝釋天,你真的知道我想成為什麽樣的人嗎?

【帝釈天】

「自分で確かめずに、私が間違っていると斷言できるのか?」

不來親自看看,你又怎麽判斷我說得不對呢?

【阿修羅】

「お前が言う天國がどれほど素晴らしいものなのか、見てやろう。」

那我倒要看看,你所謂的天國有多美妙。

阿修羅が力強く帝釈天の手を掴むと、二人の姿は白い光に呑み込まれ、すぐに消えてなくなった。

阿修羅一把抓住了帝釋天的手,只見一片白光将兩人的身形吞沒,立刻消失不見了。

【小白】

「どういうことです?阿修羅様は幻術に惑わされたんですか?どうして帝釈天について行くんですか!小白にはもう何が何だか分かりません……」

這是什麽情況?難道阿修羅大人被幻術蠱惑了嗎?怎麽就跟帝釋天走了!小白已經搞不懂了……

【晴明】

「今度こそ、阿修羅がほしい答えを手に入れられるといいが。」

但願這一回,阿修羅能找到他想要的答案。

虛無の中で、阿修羅は再び目を開けた。

在一片虛無之中,阿修羅再度睜開了雙眼。

【帝釈天】

「阿修羅、案內するからちゃんと見屆けてくれ、私の終わりなき天國を。」

阿修羅,讓我帶你去親眼看看吧,我那永遠不會結束的天國。

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