第27章 浮光片影·二十
天魔歸來浮光片影·二十
【天人の少年】
「なんとか陛下のお帰りに間に合った。」
總算趕上迎接陛下回城的時候了。
【毘瑠璃】
「見慣れない顔だけど、今日初めて來たの?」
你這家夥看起來有些面生,今天是第一次來?
【天人の少年】
「うん、そんな感じ、今まではいつも人混みの一番後ろにいたけど、今日はなんとか前に來れました。お姉さんはとても格好いいですね。もしかして陛下に仕える将軍様ですか?」
嗯,算是吧,以往總是被人潮擠到後面,今天總算是在前排了。
這位姐姐,看您這副威武的模樣,莫不是朝中的武将?
【毘瑠璃】
「少し判斷力を備えているようね。私は毘瑠璃、陛下に仕える護衛。護衛と言っても、ただの武将じゃない。陛下が処理しきれない仕事を、私達姉妹が代わりに処理することもある。」
還算你有點見識,我叫毗琉璃,是陛下的侍衛。不過侍衛可不僅僅是武将,平日裏陛下無暇處理的一些事宜,有時也會由我和姐姐來處理。
【天人の少年】
「そうなんですか。じゃあ毘瑠璃お姉さんは、きっと陛下のことにとても詳しいですよね。」
Advertisement
原來如此,毗琉璃姐姐,那你一定知道許多陛下的故事吧。
【毘瑠璃】
「陛下のことを話したら、とても一日では終わらないわ。それでも聞きたい?」
要說陛下的故事,那可是一整天也講不完的。你很想聽?
【天人の少年】
「もちろんです!僕は子供の時から陛下に憧れていました。いつか陛下にお仕えしたいと思っています。」
那是自然!我自幼便仰慕陛下的風采,盼望有朝一日也能追随在他身後。
【毘瑠璃】
「立派な志ね。まだ時間があるから、少しだけ教えてあげましょう。」
不錯,很有志向。現在時候尚早,我倒是可以說與你一二。
善見城のゆったりとした鐘音の中で、毘瑠璃は語り始めた……
在善見城悠長的鐘聲裏,毗琉璃開始了她的講述——
天人と鬼族の千年続いた戦争の中、天域は神託を受け、本當の聖なる子供、即ち陛下を迎え入れた。
在天人和鬼族持續了千百年的戰争裏,天域受到神谕終于迎來了真正的聖子,那便是陛下。
陛下は若くして驚異的な才能を持ち、人の心を汲み取ることができて、誰に対しても平等に接する。
陛下自幼天賦異禀,善察人心,對待任何人都和睦親近,一視同仁。
成人すると、陛下は危険を顧みず、霊神體が戦闘に向かないにも関わらず、毅然と軍に入った。その後翼の団を立ち上げ、鬼族との戦いに身を投じ、天域を守るために全力を盡くした。
成年後不顧艱險,亦不在乎自己的靈神體不善實戰,毅然參軍,後親自組建翼之團與鬼族抗争,為守護天域不計一切代價。
最初、翼の団は軍需品を輸送することしかできなかった。でも陛下は有能な者を採用し、翼の団は日に日に実力を伸ばし、すぐに天域の精鋭部隊の一つになった。
一開始的翼之團只能運送軍用的物資,經陛下招賢納士,越來越多的年輕人加入,實力與日俱增,突飛猛進,很快成為了天域最為精銳的部隊之一。
そして私達は大役を任され、深淵の竜巣を突破して、鬼王迦樓羅を始めとする金翅鳥一族を討伐することになった。
于是我們被委以重任,要前去突破深淵的龍巢,殲滅以鬼王迦樓羅為首的金翅烏一族。
それは翼の団が成立して以來、一番厳しい戦闘だった。幸い、陛下が奇策を巡らせ、翼族の弱點をついた。おかげで最後は勝利を勝ち取り、見事に凱旋を果たすことができた。
那是翼之團有史以來經歷過最為艱難的一場戰役,所幸的是,陛下屢出奇招,将那翼族弱點各個擊破,最終凱旋而歸。
この戦いの後、聖なる子供である陛下に異を唱える者はいなくなり、皆口々に陛下は天人一族を救う英雄だと稱えた。竜巣の戦いであげた功績と聖なる子の名が相まって、十天衆は陛下を新王に任命すると宣言した。
這一戰後,城中再無人對聖子有所非議,大家都發自內心地崇拜身為聖子的陛下,将他視為能夠拯救天人一族的救星。陛下因龍巢之戰的功績和聖子之名被十天衆加冕為新王。
陛下が即位してから、天人を評価するのは出自ではなくなり、力のある平民は再評価され、相応な待遇を獲得した。
陛下登基以後,天人的地位不再以出身論處,越來越多出身平凡卻實力強大的天人得到了公正的對待。
天域に希望がようやく降臨したと思っていたけれど、私達は想像もしなかった。迦樓羅との戦いは単なる始まりで、その裏には、天魔阿修羅の勢力が隠れているなんて。
本以為天域的光明就此降臨,但未曾想到,迦樓羅一戰僅僅只是開始,在那魔頭背後,便是天魔阿修羅的勢力。
天魔は闇と罪の中から生まれる。彼が従える魔神は彼が定めた法を守り、深淵で殺し合いながら、進化を繰り返している。そしてそに過程の中で、また新たな闇と罪が生み出される。
天魔誕生于黑暗與罪孽之中,追随在他身後的魔神尊崇他所制定的法則,在深淵中互相吞噬殘殺,不斷進化,又從這其中所誕生出新的黑暗和新的罪孽。
彼は魔神を集結しながら、邪神とも共謀した。故に都の陰陽師と鬼王は真相を探すべく、長旅を経て善見城を訪れた。
他不斷集結魔神,又與邪神勾結,引得京都的陰陽師和鬼王不遠千裏來善見城一探究竟。
その時、天魔が企んでた戦いは火蓋を切った。彼は魔神を統べ侵攻を始め、私達を善見城の中に閉じ込めた。しかし陛下は異族の客人の協力のもと、城を守り抜き、善見塔にて天魔と死闘を繰り広げた。
天魔籌劃已久的大戰亦在那時爆發,他帶領魔神大軍進攻善見城,将我們圍困城中。
陛下與異族的能人異士通力合作,守住了城池,最後與天魔在善見塔頂決一死戰。
天域をも揺さぶる対決の間、私に見えたのは雲上で輝く眩しい金色の光だけだった。そして最後に、白と黒の二つの人影が光の中から深淵に堕落した。
在那場天地都為之撼動的對決中,我只能從雲端窺見灼目的金色光芒,而最終在那光芒中,向着深淵墜落了一黑一白兩個身影。
私と姉の蘇摩は、直ちに深淵に向かい捜索を始めた。そして柔らかい草むらで、気を失った陛下を見つけた。陛下の姿は亂れていたけれど、外傷は一つも見當たらなかった。きっと慈悲深い忉利天神が、陛下を守ってくださったのだと思う。
我與姐姐蘇摩即刻前往了深淵搜尋,最終在一處柔軟的草坪上發現了昏迷的陛下。陛下的模樣雖不如平日裏整潔,但卻無一處外傷。我想這一定是忉利天神對陛下的憐憫,庇佑他周全。
戦いが終わった後、天域は陛下の願い通りに鬼域の楽土となった。天魔は深淵に封印され、天人と鬼族との争いはなくなり、平和に商売をするようになった。
自打那場大戰結束後,天域如陛下所願那般成為了鬼域中的淨土。
天魔被封印在深淵中,天人與鬼族之間不再有紛争,取而代之的是互通商路,友好往來。
あの大戦での勝利を祝う鐘音が鳴り響く中、陛下は一人で深淵に向かった。陛下は記憶を失くしたと仰っていた。それにいつも天魔のことをお聞きになる。きっと陛下はあの日の出來事を思い出したいのでしょう。
當慶祝那場大戰勝利的鐘聲響起時,陛下卻獨自一人前往深淵所在的位置。
陛下曾提及自己失憶一事,又時常詢問起天魔相關的事宜,想來他的心中仍是希望能夠回憶起那天的境況。
でも私はこう思う。聖なる子である陛下の體內には、いかなる罪悪もきっと入ることができない。深淵天魔に纏わる罪の思い出は、本當に陛下の頭を侵すことができるのかしら?
但在我看來,陛下身為純白的聖子,與罪孽有關的一切都将不會留存于他的身體,深淵天魔飽含罪孽的回憶,真的會沾染陛下嗎?
そもそも、例え陛下が覚えていなくても、あの大戦を経験した天域の人々が全て覚えている。そして聖なる子の伝説は、天域で永遠に受け継がれる。
更何況,若是陛下不能記得,自有天域千萬經歷過大戰之人銘記所有,而關于聖子的一切傳說,都将在天域流芳千古。
【毘瑠璃】
「はい、今日はここまでね。あの馬車を見て、陛下のお戻りよ。」
好啦,今天就講到這裏吧。你看前方那隊車馬,陛下已經回城了。
【天人の少年】
「以前何度も遠くから見たけど、今日は近くで陛下の顔を拝むことができた。やはり特別なお方ですね。」
雖然從前遠距離看過很多次,今日就近得見陛下容姿,果真與衆不同。
【毘瑠璃】
「あなたも、これから頑張れ、いつか将軍になれるかもしれないわよ。」
你這家夥,現在開始好好努力,将來說不定也能成為一名大将。
【天人の少年】
「お褒めに預かり光栄です、ご期待に応えられるように頑張ります。」
那便借毗琉璃姐姐吉言,我一定不負所望。